見出し画像

週刊からあげNews【第3号】(2019.05.04~05.10)

 「週刊からあげNews」第3号配信します。GWはいかがお過ごしでしたでしょうか?私は、Maker Faire Kyoto 2019 と趣味TECH祭という、モノづくり・電子工作界隈のコミケ的なイベントに行ってきました。レポートの方はブログ等に書きたいと思いますが、初回ながらなかなかの盛況でした。特に子供連れのお客さんが多かったのかなという印象でした。簡単なダイジェスト動画も作成しましたので、興味のある方は以下ご覧ください。雰囲気だけでも伝われば幸いです。

今週の気になる話題
1. 京大のディープラーニングで気候変動が精度97%で予測できるって本当?

 京大が「ディープラーニングにより精度 97%で気温の上下を推定する手法を開発」というプレスリリースをして話題になっていました。

 私は「へーすごいなー」くらいしか思わなかったのですが、Twitterのタイムラインでは、以下の様な強めの意見が話題になっていました。

  私も論文を読んでみたのですが、そもそもあまり気候変動に関する知見がないため、本当に意味のない研究なのかどうなのか判断ができませんでした。

 そうこうしているように、早速追試をしている人も現れたりしています。機械学習の分野は、注目を浴びるニュースは強い人から総ツッコミが入るので、なかなか発表する方も勇気がいりますね。ただ、オープンに色々な人が査読をしていると考えると、これはこれであるべき自浄作用の姿なのかもしれませんね。

 素人目には、どこかの会社の様にソースコードをCNNにかけてソースコードの品質をチェックするという無茶な取り組みよりは筋が良い様に感じたのですが、色々なツッコミをみていくと、画期的な取り組みというよりは、よくあるやってみた系の論文の一つとして捉えた方がよいのかなと個人的には感じました。

 最近のAI分野の発表は、玉石混合でどう考えても怪しいものも混じっているので、リテラシーが重要ですね。気になるものは論文を読んだり、知見者の意見を見聞きした上で、最後は自分自身で考えた上で評価することが大切だと思います。


2. 日本のベンチャーIdeinさんのディープラーニングの技術が凄い!

 以下の動画は、Raspberry Pi Zero(パイゼロ)を使ったディープラーニングのデモです。

 上記の技術は、セマンティックセグメンテーションといって、ピクセルごとの物体検出をする技術で、かなりのマシンパワーを使用するデモです。この高度な処理を、パイゼロのような非力なマシンでリアルタイムに動かすというのは、とんでもないことです。

 これは、「Idein」という日本のベンチャーがラズパイのGPUを最大限活用するソフトを開発することで実現しているものです。そして、IdeinのCEOが、なんとラズパイのGPUを活用する技術の一部をネットで公開しているじゃないですか。

 このGPU周りのノウハウはIdeinのコア技術だと思っていたので、公開するのは驚きました。裏を返せば、Ideinの持っているコア技術はこんなもんじゃないぜ!というアピールでもあるわけですね。凄いですIdeinさん。

 先日、NVIDIA Jetson Nanoを購入し、ラズパイサイズでCUDAも動くし、小型デバイスでのディープラーニングもNVIDIAの一人勝ちかなと思っていたのですが、日本もまだ負けてはいないですね。こんな小型かつ低コスト、低電力でエッジでのディープラーニングを実現できるソフトは、私が知る限りではここだけだと思います。

 Ideinさんは、ActcastというIoTプラットフォームサービスを提供していて、無料のα版を使用するとラズパイ上でディープラーニングを試すことができるようです。興味ある方は是非試してみて下さい。

 「桁違いに安価に提供できる予定」という表現から分かる様に、Ideinさんは、この技術を単体で売って儲けるつもりではなく、この技術を用いて小型デバイスを知能化し、そこから得たデータを扱うプラットフォームビジネスを展開するようですね。よく考えられています。


3. ディープラーニングを知らなくて許されるのは小学生まで?PFNが始めるディープラーニング早期教育

 日本で今最も勢いのあるAIベンチャーPreferred Networks(以下PFN)が小学生向けのディープラーニング体験教室を開催するそうです。

 からあげNews創刊号でも取り上げましたが、Googleは「Grow with Google」としてテクノロジーに関する教育を無料で提供するプログラムを開始し、すでに日本でもUdemyで無料でAIに関するコンテンツが配信されています。
 こういう動きの速さをみていると、プログラム関係の教育は、民間と協力していくのが良さそうだなと感じます。日本政府がするという、100万人規模のAI教育も、こういう民間とうまく連携できるのかなと思いました。

 「小学生にいきなりディープなの?」という疑問もありますが、ディープラーニングのチュートリアルとして数学の基礎から始めるPFNさんなので、それほど心配はないかなと思っています。PFNの以下チュートリアルは、このまま大学の授業の資料として使えるのではないかと思えるくらい良いので、興味ある人は必見です。

 近い将来、小学生に「まだディープラーニングしてないの?SVMが許されるのは小学生までだよねー」と煽られる未来も近い(!?)のかもしれませんね。

今週の本

1. 数学の復習に最適な2冊の数学本

 GW中に読んだ2冊です。ブログに書評書いたので、数学が好きな方や、数学の復習をしたいという方は参考にして下さい。今回の記事で触れた、AI技術に関するリテラシーを高める上でも重要な本だと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?