SOPHIE が死んだ。

悪い天気がひたすらに続いて気分も落ち込み気味、周りでもいろんなことがキャンセルされていく中で、SOPHIEが死んだとのニュースを知った。

https://youtu.be/m_S0qCeA-pc

特に、熱狂的なファンというわけではない。一度だけ、参加したフェスティバルの一環で豆粒のような大きさでパフォーマンスを見たことがある。
ただ、圧巻だった。そのファン以外にも、強靭なカリスマ性が伝わる存在感を持ち合わせているミュージシャンだということを、一瞬にして理解した。

人には、それぞれの人生の一定の期間において、繰り返しよく聞いていた曲というのがあると思う。悲しみだったり楽しさだったり、その音楽には色々な感情が伴うものだと思うが、私にとってSOPHIE の「It's Okay To Cry」は、ぬぐってもぬぐいきれない人生に対する絶望感、みたいなのが慢性的に、毎日のように強い時期によく聞いていた曲だった。

私は、SOPHIEは、私たちが「生きづらさ」というものを内包していても、それでいいし、歩んでいける、というものを爆発的に体現している存在のように感じていた。「生きづらさ」は拭うものではなく、(拭う必要のあるものではなく、)むしろ逆回転させてクリエイティビティのエンジンにもなるものなのだと。そして、いろんな世界で強制される漠然とした「人生は幸せじゃなきゃいけない」みたいな綺麗事に、圧巻のパフォーマンスと美しさでもって中指を立ててくれている人のような気がしていた。
世界中で、SOPHIEの曲を聞いて安堵し、解放された人は数えきれないと思う。特に全世界のクィアの言葉を代弁し、自分のアイデンティティを深く、深く掘り下げ、表現というアウトプットを完成させた存在。その生き様に、ファンでない私でさえも、救われた。そのような人物が、こうしてとても、早く逝ってしまうことは、何らかの生きづらさを抱え、彼女に共感した全ての人々にとっても大きな悲劇だと思う。

ご冥福を深くお祈りします。このMVのように、美しい場所で、凛として平和な時を過ごせていますように。




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