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一度読んだら忘れない『シンプルな政府:“規制"をいかにデザインするか』

ルールと聞いて良い印象を持つ人は少ないのではないでしょうか?規制というのは面倒くさいし、複雑で分かりにくいイメージがあります。

しかし、規制は行動経済学の知識を用いて、シンプルにすると国民を良い方向に導くことができる。そう主張する本『シンプルな政府:“規制"をいかにデザインするか』を紹介します。

忘れない著者紹介

キャス・サンスティーン教授。1945年生まれ。ハーヴァード大学ロースクール(law schoolは法律の学校という意味)を修了し、アメリカ最高裁や司法省といった法律の現場を経験。その後シカゴ大学、ハーヴァード大学に勤務するという、まさに法律のエリートコースを歩んできた方です。

研究者として手掛けてきた仕事は幅広く、法学はもちろんのこと、動物の権利、クローンの倫理性などなど。果ては『スター・ウォーズによると世界は』なんて本まで。手広いですねー。

オバマ政権第1期の2009~2012年に、情報・規制問題室室長に抜擢。行動経済学の知識で社会の非効率をバッサバッサと無くしていった経験をもとに本書を書かれています。

こんな人は忘れない

・シンプルなことはなぜいいことなのか知りたい人
・会社作りをしようとしているが、どういう社内規則を作るべきか悩んでいる人
・行動経済学を実際の場面で活かすにはどうすればいいか知りたい人

忘れない要約

シンプルなことの利点とは何でしょうか?

例えば、100個の冷蔵庫の中から1つを選ぶのは、家電に疎い人にはただただ苦行でしょう。でも、「アマゾンの売り上げランキングの上位3個から選べ」と言われれば、良い選択ができると思いませんか?このように、シンプルであることは、特に何かを選ぶ際の複雑さ、面倒くささを減らしてくれます。

この時、重要なのが人間に備わっている二つの思考システム。二つのシステムは「システム1」と「システム2」と呼ばれています。
システム1は感情的で素早い思考
システム2は理論的で慎重な思考です。

大きな音を聞くと、ビックリして逃げ出したくなります。相手に悪口を言われれば殴りたくもなるでしょう。こうした行動はほとんど、自動操縦のようなものです。習慣などもシステム1ですね。家から出たら鍵をかけるし、ソファーに座ったらテレビをつけるでしょう?システム1は単純なことが大好きで、複雑でややこしいことは嫌いです。

一方システム2は、コンピューターや将棋の棋士のように熟慮し、計算します。大きな音が鳴ったらそれが何の音か考えます。時間をかけて考え、どう対処すべきか慎重に見極めるのがシステム2の特徴です。

先ほど習慣はシステム1だと話しましたが、時間がたって慣れてくると、処理の仕方が変わってきます。運転を習い始めたときはシステム2が一生懸命作用しています。運転はとても複雑ですからね。ところが経験を積むと、運転は習慣的になり、特に何も考えなくても運転することができるようになります。つまり、システム1で処理できるようになるわけです。ギターだって、初めは指をどこに置くとか考えますが、指先が硬くなるほど慣れてくれば、勝手に指が動くようになるでしょう?

このようにシステム2から1への移動は、熟練するということです。そしてシンプルなものは、素人でも熟練者のように導くことができます。

ではこれをどうルール作りに活かしたらいいのでしょうか?

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