01.レビューの御紹介

かつて地方の広告代理店+出版社勤務時代の元同僚:西田奈々江さんから「ペットの振り子時計-新規デザイン」のご注文を頂きました。
そして素敵なエッセイのようなレビューを頂戴したので御紹介します。
大切なプレゼントに選んでいただき、本当にありがとうございました!

ペットの振り子時計のカラクリ

関野絡繰堂さんとは、地方出版社で一緒に働いたことがある。当時、私が編集者、彼はグラフィックデザイナーでともに情報誌を制作していた。入社時期が近く、同僚というより同志で、お互い言いたいことを言いあって、読んでくださる方に思いを届けていた。その後、造形作家の道を目指して関野絡繰堂さんは退社。もともとアーティスト気質だった彼らしいと納得したし、有言実行し続けているブレのない姿勢に今も一目置いている。

いつかオーダーしてみたかったペットの振り子時計。この度、ようやくお願いする機会ができた。ご近所さんのお誕生日祝いに、愛犬“おかゆちゃん”の振り子時計をお願いさせてもらったのだ。おかゆちゃんはテリア系のミックスで、全身白い。子犬の時、炊き立てのおかゆのようだったから“おかゆちゃん”。白いフワフワした彼女が、どんなふうになるのだろうと、ワクワクしながら完成を待った。

お顔-s

届いた振り子時計をご近所さんと一緒に開封した時は、「わぁ、おかゆちゃんじゃ~ん」とその場にいた一同、目がハートに。壁にかけると振り子が揺れ、おかゆちゃんが手を振っているみたいでさらにかわいい。時計のおかゆちゃんが動き出したことで、リビングに生気が生まれたようにさえ感じる。また角度によっては、おかゆちゃんの顔が写真のようにも見える。近づいてよくよく見ると、白く見えるおかゆちゃんの顔には多くの色が重ねられていた。目も黒やこげ茶、茶色などのグラデーションで深みがある。時計そのものは平面なのに、じつに立体的に感じるのだ。この不思議な立体感が、イキイキとしたムードを放っているのかと、関野絡繰堂さんの腕前に驚いたのだった。

顔名前

このイキイキとした立体感について、絡繰堂さんに聞いてみた。その時、見せてくれたのがおかゆちゃん時計で制作した顔パーツのデザイン図。顔パーツは振子時計の肝ともいえる大切な部分だろう。デザイン図はイラストのように描いているとてっきり思っていたが、まったく違ってびっくり。それはレイヤーが重なり合わせた模型のようだ。

ベジェ

絡繰堂さんが写真を脳内でスキャニングして頭の中で立体化し、それをパーツのように細分化して重ねあわせ、平面にデザインとして再現しているように見える。使用する写真とにらめっこしながら、何時間もかけてこの図面を作るのだそうだ。今回、制作途中でデザインの大きな変更はできかねると事前に言われていたのも、このアプローチだからか。たしかにこの複雑さを前にして「ここの線を消して、もうちょっと丸くして」などと、素人感覚で簡単には言えない。繊細なデザインを生む時間は、作家がエネルギーを放出する瞬間だ。立体感を生む独特なアプローチこそ、絡繰作家の真骨頂ではないか。ペットの振り子時計のカラクリ、見たり

ふと関野絡繰堂さんがグラフィックデザインをしていた出版社時代を思い出した。PCの前で少し猫背になってマウスをちゃかちゃか動かしている姿を、デスクのレイアウト上、横から見ていた。ときにすごい集中で、声をかけること(とくに修正依頼の場合)がはばかられたのだが、魂みたいなものが、彼とPCを行ったり来たりしているように感じていたようにも思う。今もきっとあの感じで、かわいいあまたのワンちゃんやネコちゃんをカタチにしているんだろうな。

・・・
(関野より)西田さん、お忙しい年の瀬にレビューの依頼を快く受けて下さり感謝してます。
制作途中のやり取りも楽しく、関野からのご提案で「おかゆちゃんの手に持たせるもの」を、娘さんの手描きイラストにさせて頂いたことも良い思い出となりました。デザイン案をCG化するよりも、筆跡が残るイラストの方が、贈り先様に「あの子が考案した図案」であるだけでなく「あの子が自分で描いてくれた絵」として、より想いが伝わると考えての事でした。
ご依頼を受けた時には予期していなかった娘さんとの共作にも出来たことが今回のお仕事をより楽しくさせてくれました。
贈り先様にも喜んでいただけたようで、作り手冥利に尽きます。
ありがとうございました。そして猫背は直します。(無理です(笑)

富士山イラスト

ペットの振り子時計-新規デザイン
BASE店
https://sdr.base.ec/items/992159
minne店
https://minne.com/items/369663
Yahoo!店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/skdy/muumxswj0i.html


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