nreal Airを買った

ずっときになっていた本機。某店頭で触る機会があったので、買ってみた。

競合製品に対して圧倒的に安価であるが、幾つかの問題があり、手放しにはお勧めしにくい。 これは2023年5月の本稿執筆時点の評価であることをお断りしておく。


幾つかの問題

  • アクティベーション必須

  • 接眼プリズムが非常に近い

    • メガネの利用には難あり(不可能ではない)

  • 本体にバッテリーがない

    • USB type-Cコネクタは充電用ではない

    • 母艦(PCもしくはスマフォ)に給電性能が必要

  • 本体にはAR機能そのものはない

    • それが母艦アプリ Nebulaの役目

  • 本体はUSB C DisplayPort alternate modeのみ対応している

    • Nebula非対応機種でも表示はするが、AR機能は使えない。

    • 母艦PCがHDMI専用等の場合変換が必須

  • 本体にon screen display機能はない。

単体でARが成立しない以上、本製品を「ARゴーグルです」と呼ぶのは語弊があるだろう。

事実上は、USB C DisplayPort alternate mode専用のモーションセンサー付きバスパワー専用サブディスプレイだと思った方がむしろ誤解は少ないかもしれない。

Nebula対応機種をすでに持ってる場合

nreal air にはコンパクトな専用ケースが付属しており、かなり携帯性が良い。 ゆえに対応機種を持っているならば、そのメリットだけを存分に活かすことができる。

お勧め度90% M1/M2 macbook をすでに持ってる場合

例えばmacbook 2018以降は USB C DisplayPort alternate mode をサポートしており、また beta版のM1専用 Nebula for Macにより唯一ARマルチスクリーンが使える。

Nebula for Mac はオフィシャルサイトの下の方にダウンロードがある。
intel macでもダウンロードもインストールもできるが、M1バイナリなので起動はできない。注意が必要。

SPAサイトだと直接リンクが貼れなくて不便なんだが.....

お勧め度70% Nebula対応Androidスマートフォンをすでに持っている場合

nreal airは母艦に厳密な条件が必須であり

  • USB C Displayport alternate mode に対応してなければならず、

  • さらに十分な給電性能が必要となる。悪くいえば、母艦スマフォをモバイルバッテリー代わりにするわけだ。

この条件を満たすスマートフォンはかなり少ないようで、それを「Nebula対応スマートフォン」という形で指定しているのだと忖度する。

残念ながら小生は対応スマートフォンを所有してない。新品の値段を確認したら、どれもこれも10万円近いようだ。 比較的安価だったはずの nreal airを使うために10万円さらに出費するのは本末転倒と思える。

しかもNebulaそのものも、for Macと比べると機能が少ない。

準対応機種

windowsのUMPCの一部は USB C Display alternate modeに対応してるらしい。

小生の知る限りでは例えば GPD WIN4がそうだ。ただし14万円。

大画面で自由な姿勢で楽しめるというメリットはあるかもしれない。
小生が断言できるのがこれだけという意図で、他にも対応機種は多いと思われる。

対応機種をもっていない場合.....

対応機種を持っていない場合、HDMIから変換することにより使えはする。しかしお勧め度は格段に下がる。

母艦PCにHDMI接続機種しかない場合、USB C Displayport alternate modeコンバータを経由すれば利用できる。 ただし、前述のとおり、nreal airへの給電が必須であるため、アダプター自体への給電が必須であり、携帯性がやや落ちる。

例えばこのページのような有様になる。Xboxと接続した場合。

少なくとも、「出先で気軽に大画面でゲーム!」というのには語弊があると思われる。

nreal Adapter

nrealオフィシャルのHDMIコンバータとしては、nreal adapterがあるにはある。

これはなんなのかというと、バッテリー内蔵のUSB C Displayport alternate modeコンバータなのだ。 それなりにコンパクトにできており、一見、携帯性は問題なさそうに見える。 しかし、nreal airのケースには全く収まらないので、携帯するなら別枠の荷物となる。

しかもUSB Cが一口しかなく。Displayport出力と充電入力の共用なため、充電しながらの運用は事実上不可能と言える。 USB PD対応のハブを挟めば解消できるかもしれないが、充電のために荷物を増やすのは本末転倒だろう。

アクティベーションは可能

nreal airはかならずアクティベーションが必要で、google chrome89もしくはandroid10のスマフォが必要である。

google chromeの場合は、おそらくwebusbという機能を使ってる。そのため機種依存はなく、intel macbookでも操作できる。

誤解をまねく表現をしてるのだが、Nebula非対応のスマフォでも、android10であればNebulaのアプリを起動すること自体は可能だ。 事実、小生はNebula非対応の Xiaomi MI MIXでアップデートした。 しかしAR機能は使えないので、本当にアップデートするだけである。

どうやらアップデートがアクティベーションのことらしいのだが、そう明記してる記述がどこにもない。事実、アカウント入力はしない。

nreal air本体は安い。しかし....

以上の通り、nreal airは安い。お手頃価格である。しかしそれは機能のほとんどを母艦に頼ってこそである。 極めて大胆なトレードオフだ。コンセプト自体はわからないでもない。

しかし母艦対応機はいずれも「非お手頃価格」であり、air本体の価格メリットを完全に相殺する。

ゆえに、すでにそれらの機種を持っているか否かは重大な選択基準となる。

購入を考えてる方に、本稿が考慮の一助となれば幸いである。

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