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世界と前提と魔法

いや、こう並べると、浅学菲才の身としては、何も付け足すことはないのだけど。生きてみて気がついたことを、私の言葉で述べます。

  • 世界はそういうものだ

  • 社会の前提と前提知識

  • ゲームに例えると初回特典の経験値1000倍の時期なので、将来使わないかもしれないけど、レベル上げだけしておくといい

先に、要点書いておきますね。では、本文。


人は何故学ぶのかは、どう納得するかでもあります。僕は小学生の頃に、「受験で良い成績を取った人がルールを決めるから」やるしかないと思いました。

どうやら せかいは そういう かたちを している

ということですよね。世界はもっと複雑で、ルールを誰か1人が決めてはいないけど、勉強した人が意思決定に関われるのは、だいたい合っていました。

それとは別に、小学5年生の頃、学ぶことは思い出すことと何が異なるのだろうと思いました。

想像してください。真っ白で何もない空間で、ウィダーインゼリー的な食事と飲み物はあって、ナイフもホークも箸も無くて、寝台には毛布さえなくて、空調で調整している空間があるとします。刑務所と宇宙ステーションをあわせたような空間。もちろん、誰もいない。

筆記用具がない。文字を発明するのも、難しい。時間の流れを記録するのも難しいかもしれません。ゴミは回収されてしまうから、部屋に変化は少ないので。この環境で「思い出せる」として、例えばダンテの『神曲』は、知らないなら出てこないはずです。(※知らないはずのことを思い出す問題は、議論が複雑になるので、ここでは横におきます)

11歳の私に、この視点はありませんでした。多角的に考えられるか、ツッコミを入れられるかだけに絞っても、学ぶ意味はあります。

次に、「可能か否か」という点では、良い着眼点です。

例えば、どんなに賢い狸だろうと、山岡荘八の『徳川家康』を読んで、出版社に、とっておきの木の葉を便箋にして、熱い感想を書いて届けることはしません。「家康の我慢強さは、僕だと思いました」と、書いてあったら可愛いけど、無いですよね。言語を扱う機能を持っていないから。

対して、人の赤ちゃんなら、仮に10万年前の存在が現代に甦っても、普通に現代人になるはずです。人種は少し異なるかもしれないけど。これは、言葉を覚えたり抽象概念を扱ったり人間関係を築いたり、誰かを愛したりすることが出来る能力が備わっているからですよね。「思い出す」のではなく「受け止めて自分に受け入れて一体化出来る」こと、つまり、自分が新しいことを学ぶことの不思議さと、その背景のことは、ピントが合っていないだけで、感じてはいますね。惜しい。

と、11歳の私の疑問を振り返りました。

今述べたことを共有できたのは何故でしょうか? 「前提」を共有しているからです。

私は、あらゆることの「前提」の獲得が勉強だと思います。自他の尊重を行うために自他を理解するにも、前提は必要です。社会は、前提を踏まえて出来ている。

「巨人の肩の上」というニュートンの言葉も、前提に含めることも可能です。

誰かと対話する際の共通言語も前提です。

会話や思考のための母語も前提知識です。紛らわしいけど、現代は多くのことを「前提」にしていて、そこに前提知識(≒基礎教養)や考える力も含まれます。

そして前提は自分自身の一部になり、見えなくなります。例えば、アナログ時計の読み方を習った7歳の頃の私の「デジタル時計があるのに」という不満は、出来るようになると忘れてしまいます。(一体化するから)

だけど、他人に分かるように書くか、他人に教えると、タイムマシンのようにあの頃の自分が蘇ります。幼い人達を好ましく感じるのは、動物としての本能だけでなく、文化的な意味もあるかもしれませんね。

勉強が嫌いな子に無理強いはしませんけど、覚えて損することは何一つ無いことは伝えたい。もしも、食わず嫌いの範囲なら、セロリなのかピーマンなのか、どのように食べにくい(学びにくい)のかは分からないけど、理解した上で捨てても構わないから、10代の内に学ぶことを、強く勧めます。

大人になって、働きながら通信制大学を出て受験資格を取って、例えば精神保健福祉士の資格を取る方は存在します。だけど、10代の無限にありそうな時間や、疲れ知らずの体力や、何でも吸収できる、魔法がかかったような状態は、人によるけど25歳くらいで無くなります。

この「魔法」をゲームに例えると、初回特典で1000倍の経験値が入る限定期間だから、役に立つか分からないけど、とりあえずキャラのレベルを上げないともったいないでしょ? 脅すわけじゃないけど、魔法が解けると、今より1000倍努力が必要だから、不可能ではないけど、今の魔法がかかってる時期を逃すのは損です。

過ぎてみないと、魔法がかかってるの分からないのが、人生の不思議ですね。



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