2018年に観たドラマを全部、思い出した

2018年に視聴したドラマは全部で25本。今年のドラマを少しずつ思い起こしながら、独断偏見のランキングと共にご紹介します。

私は全然嫌いにはならなかったけど、吉岡里帆にイライラする女性続出と話題だった、25位『君が心に棲みついた』。吉岡里帆はシンプルに演技が上手くて特段否定するところはなかったけれど、愛されにくい主人公で少々可哀想でした。久々にヒール役が見たいよアリスちゃん。タイトルバックの白モヘア桐谷健太は、10位『大恋愛 〜僕を忘れる君と』のタイトルバック、白シャツのムロツヨシにも通じる似合わなさ。そういえばムロツヨシ、『きみすい』では漫画家、『大恋愛』では小説家。いずれも編集者との関係がなかなか濃厚でした。

作家に奉仕する編集者といえば、17位『忘却のサチコ』。高畑充希の素晴らしい食べっぷり。気持ちの良さと元婚約者を思い出しちゃう切なさとのバランスが絶妙なドラマでした。カクカクしかじかな動きも良かったです。しかし今年のキャリアウーマン像は「角を90度で曲がる」「頭を90度まで下げる」なのでしょうか。9位『義母と娘のブルース』の綾瀬はるかも同様な動きでいらっしゃいました。しかし二人とも可愛くて愛おしいんだよな。愛されるキャリアウーマンを目指すべくあの動きを習得するべきでしょうか…。

俳優の動きが特徴的、というかもはや異常だった、15位『今日から俺は!!』。榮倉奈々の夫、こんな引き出しあったんだと驚愕。そして何よりオープニングが毎度最高でした。男子も女子も最高に可愛かった!そして、13位『半分、青い。』出演の清野菜名とブッチャーが見られるのも喜び。ついブッチャーって呼んじゃうよね。秋風塾以降はすっかり魅力を失ってしまった半青だけれど、「人間、生きていれば何度でもやり直せる」メッセージは良かったです。しかし結末の幼馴染ラブに向けてダシにされた石橋静河と間宮祥太朗はやっぱり気の毒と思ってしまったよ。

「結論ラブに向けたダシ」と言えば、24位『中学聖日記』のるなちゃんと渡辺大。うら若き乙女を自分に釘付けにした上に「お泊り」までして捨て去る岡田健史。ウルトラ好青年な渡辺大の腕で泣きながらも秒で捨て去る有村架純。おいおい。でも嵐の中の山小屋シーンはまさに、23位『やれたかも委員会』に持っていけるネタでした。あれは流石に白石麻衣先生も「やれた」札を挙げてくれるでしょう。

「やれたかも知れない」一夜の後悔を昇華するドラマあれば、「やってしまった」一夜の後悔を議論するドラマあり。20位『獣になれない私たち』の新垣結衣と松田龍平の事後反省会、5tapマスターも何か札を挙げて判定してあげるべきだったのかも。もっともっとしょうもない、酷く割り切れない、かっこ悪い夜と生き様を語ったのが、6位『宮本から君へ』。ドラマ全編を通した濃すぎる暑苦しさがめちゃくちゃ印象的だった。池松壮亮が好き。

暑苦しそう、と思いきやそうでもなく爽やか恋愛ドラマだったのが4位『おっさんずラブ』。良かったけど、タイトルが「おっさんず」なのに牧春ばかり愛されまくるのってどうなの。おっさんの立場はどうなるの。立場のなくなったおっさん、日頃の鬱憤を晴らすべく青虫うどん投稿しちゃうかも知れないよ、19位『フェイクニュース』。SNS、Web広告、ヘイトスピーチ、政治汚職、など大量の伏線を二回で華麗に回収するさまは見事だった。

伏線の回収の美、といえば今年一番は4位『コンフィデンスマンJP』。10話通して見た人にしか分からない、強烈な「コンゲーム」を視聴者相手に繰り広げたドラマ。騙される快感に酔いしれました。逆に単発ドラマながらにケロリと騙されました、21位『黒井戸殺し』。ザ・推理モノに人情劇のエッセンスを足す大泉洋、良かった。

推理モノを人間ドラマに仕立て上げた人気作品、16位『アンナチュラル』。全体の順位低めだけど、話単体でいったら三本の指に入るレベル。第五話、泉澤祐希回。婚約者を殺された男性役で、怒りに任せてナイフを持った手が振り下ろされる。葛藤を打ち破ってしまった泉澤祐希の震えに圧倒されました。そして泉澤祐希の美しさが証明されるもう一つの作品、14位『西郷どん』。かつての親友を「葬る」一瞬、脇役ながら心から痺れた。彼の葛藤をもっともっと深掘りしたら、より素晴らしいシーンが出来上がっただろうな…。

悪い意味で脇役をもっと深掘りしてほしかったのは、11位『結婚相手は抽選で』。大谷亮平のダメ男具合をちゃんと描いて欲しかった。でも全体的にとても真面目にLGBTやいじめなど、弱者に寄り添うテーマを捉えた良作でした。ドラマに真摯さは不可欠だけど、それが飛び抜けて真っ直ぐに伝わってきたのは8位『この世界の片隅に』。戦時の日常が人間愛に溢れていて心に響きました。映画作品とのトラブルを感じさせるニュースはあったけれど、少なくとも漫画原作へのリスペクトなしに、あのクオリティにはならなかったと思います。

漫画原作へのリスペクト、それをドキュメンタリー的に映し出したのが『このマンガがすごい!』。各俳優が「自分が演じたいマンガ」を持ち寄るさまが興味深い。原作と実写の距離についてどう考えるか、それぞれの俳優が語る言葉も十人十色で最高に面白かった。18位『海月姫』は視聴率こそ振るわなかったものの、「実写化ありがとう!」と叫びたくなるほどの瀬戸康史の可愛さにやられました。そして全体トーンの明るさでシンプルに元気が出た月9。

元気ハツラツ、というよりはじんわり温かい飲み物のように心を潤してくれたのが5位『僕らは奇跡でできている』。みんなと同じようにできなくたっていい、生きているだけで奇跡なのだ、それって本当に「すごいです」。シンプルながらに辿り着くのが難しい答えをゆっくりと伝えてくれる素敵なドラマでした。同じように、「みんなと同じようにできなかった」広瀬すずが、奇跡みたいな疑似家族を通して人との繋がりを噛み締めていくドラマが2位『anone』。

広瀬すずとその恋敵、香澄のシーンが最高に切ない。「ごめんね、横入りしようとしちゃって」と自分のズルさとカッコ悪さを吐露する香澄に心をぐさっと刺された。女の子が持っている、かっこ悪くてずるい恋心って大好き。その意味で、3位『dele』の橋本愛回が最高だった。重体で意識が戻らない恋の相手。彼の婚約者と偽って菅田将暉からデータの内容を聞き出そうとする橋本愛。そのなりふり構わず一生懸命な姿、彼が意識を戻した一瞬で分かる真実が、きりきりするほど切なかった。そして第七話。和歌山カレー事件を題材にしたであろう、ジュース毒物混入事件。調べれば調べるほどあらゆる人間の悪意が掘り出され、容疑者が増え続けて結論が出ない。「答えの出ない問い」をそのまま問いとして残す姿勢は、カタルシスとは対極でありながらも真摯で意義あるものだったと感じる。

「答えの出ない問い」を最後まで問い続けたもうひとつのドラマが7位『ワンダーウォール』。100年の歴史を持つ大学寮「近衛寮」の存亡について、大学生が等身大の問いを投げかけ続ける60分間。「存続決定」という希望に満ち満ちた結論はない。でも意見をぶつけ合い、寮への愛をぶつけ合った末に偶然見つけた掛け軸を前にした「はからずも暁の茶事」が微かな光を見せる。遠い遠い時代と繋がった近衛寮を心深くにじんわりと染み込ませる、粋なラスト。

時代との繋がり、粋を強烈に感じさせた今年一番のドラマが『昭和元禄落語心中』。戦前から現代に至るまでの時代を落語という芸能で繋ぎとめ、その道程を生きた人間ドラマが鮮烈に描かれる。次回への落差が心配になるほどの驚異的な質の高さを毎話保ち続けた、まさに最高傑作でした。

「真剣にドラマを見ると楽しい」ことを身をもって実感した2018年。来年も引き続き真剣に楽しもうと思います。皆様、良いお年を。

▼2018年ドラマランキング
1 昭和元禄落語心中
2 anone
3 dele
4 コンフィデンスマンJP
5 僕らは奇跡でできている
6 宮本から君へ
7 ワンダーウォール
8 この世界の片隅に
9 義母と娘のブルース
10 大恋愛〜僕を忘れる君と
11 結婚相手は抽選で
12 このマンガがすごい!
13 半分、青い。
14 西郷どん
15 今日から俺は!!
16 アンナチュラル
17 忘却のサチコ
18 海月姫
19 フェイクニュース
20 獣になれない私たち
21 黒井戸殺し
22 おっさんずラブ
23 やれたかも委員会
24 中学聖日記
25 きみが心に棲みついた


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