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執拗なまでに追い続ける真実は、誰よりも身近な妻に眠る、というオリジナル設定が効き始める(「Nのために」第4話レビュー)

うーん、やはり島良かったなあという感想。第3話までは島の美しさと叙情的なタッチで引っ張り、第4話以降はミステリーで引っ張るということだろうか。第3話で最終的に殺人現場に居合わせるメンバー全員が出揃い、いよいよ事件に行き着くまでの歯車を見せられることになる。ドラマ冒頭やラストシーンで少しずつ事件のディテールが明かされて行くスタイルはなかなか考えられているなと思うが、個人的にはミステリーが好きなわけではないので、これまでの3話と比較すると淡々と見ることになった第4話であった。

とはいえ島編が終わったばかりなのに早速の同窓会で島に帰るなど、引き続き要素は続いている。成瀬の父の葬儀シーン、焼香をあげる希の向こう側の成瀬にフォーカスを当てる演出にいじらしさを感じる。言葉を交わさぬ二人の心の内を表現する間合いにどきっとする。

ここにきて改めて効いてきたのが「なっちゃん」と呼ばれる高野(三浦友和)の妻、夏恵(原日出子)の存在。時間が経ってもなお言葉を失ったままの彼女が、成瀬の父(モロ師岡)の死を前にして見せる表情と仕草。高野が知りたくてたまらない、と何年も固執する真実が、誰よりも身近な彼女に眠っている、そして言葉は失ったままという設定は非常によくできている。確かな愛情を夫から感じながら、大きな秘密を隠し続ける彼女もまた押しつぶされそうな業を抱える。「言葉を失う」展開に関しては、「踊る大捜査線」の序盤にて雪乃(水野美紀)が父を殺されて声が出なくなる部分を思い出す。父を殺された、というそれだけのショックでは失声症にまではなかなかならない、「何かお父様に対して大きな秘密を抱えていて、お父様の死によってそれが永遠に伝えることができなくなってしまった、とか」と語る医師がいたが、似たような状況をこの夏恵にも感じる。

今回のタイトルバックは東京の一シーン。これまでの島の絶景とはだいぶ趣向が変わったが、燃えるように明るい月が印象的だ。


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