一話たくさん見ました(2019年冬クール 〜1/14)

あけましておめでとうございます。そして早速始まりました、2019年冬クール。1月14日までに第1話が放送された作品を、おすすめ順でご紹介いたします。

・いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~
・新しい王様
・スキャンダル専門弁護士QUEEN
・ゆうべはお楽しみでしたね
・3年A組 ―今から皆さんは、人質です―
・フルーツ宅配便
・メゾン・ド・ポリス
・家売るオンナの逆襲
・トレース 〜科捜研の男〜

▼日曜20:00『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK/大河ドラマ) 主演:中村勘九郎、阿部サダヲ  脚本:宮藤官九郎

めちゃくちゃ面白い。とりあえず観たほうがいい。多分、この1年間のエンターテイメントを保証してくれる。

とにかく第1話の勢い、勢い、勢い!次々出てくる登場人物が豪華なこと豪華なこと。主演の二人はもちろんだけど、役所広司、森山未來、ビートたけし、松坂桃李、星野源、生田斗真、満島真之介、ちょっと書ききれないんだけどとにかく怒涛のように主役級の俳優が飛び出してくる。しかも何でだか、たった60分なのに全員が「飛び出してくる」っていう活きの良さなのだ。ほぼ台詞ナシだった杉咲花だって、ガッツポーズが妙に輝いてた。

そしてオープニングテーマが最高にすんばらしいのだけど、それはこちらの記事にお任せします。うわぁ、最高!!!!って気持ちをきちんとした言葉で書ききっていただいています。

やってくるぞオリンピック、やってくるぞいだてん、やってくるぞクドカンの本気が!という期待に満ち満ち満ち満ちた第1話。ドラマを見ていてドキドキワクワクってこういうことか!まるでスポーツだ!ということで、とりあえず観たほうがいいです!

▼『新しい王様』(TBS/TBS×Paraviスペシャルドラマ) 主演:藤原竜也  脚本:山口雅俊

ほぼ連日オンエア、8話でSeason1が完結。続いてParaviにてSeason2を配信、という特殊な放送スタイル。既に放送では後半に入ってますが、とりあえず1話分だけでレビューを。

これはIT業界にいる人にとってはたまらなく面白いに違いない。アノ会社のアノ経営者に、ソノ会社のソノ経営者を足して2で割った感じね!分かるぅ!みたいな楽しみ方ができますよ。楽しそうでしょう。

藤原竜也が藤原竜也にしてはナチュラルな役どころかと思いきや、やっぱりそんなにナチュラルでもなかった、クレイジーでドラスティックな熱いハートの持ち主でした。「暇人の時間を買う」アプリを発明して投資家に売却、5億をビットコインで受け取り、その金をサイの保護団体に寄付するクレイジーマン。

「あ、Uberがちょっとつかまんなくて」で流しのタクシーつかまえ、「現金はないけど決済はできるから」とスマホを出す、「とにかく上場して金が欲しい」などなど、おぉ、何かとっても近くで最近聞くぜという台詞と細工がいっぱいで楽しい。話も面白い。TBSは不動産会社!Season2まで突っ込むかはともかく、まずはSeason1をさらおうと思います!

▼木曜22:00『スキャンダル専門弁護士QUEEN』(フジテレビ/木曜劇場) 主演:竹内結子 脚本:倉光泰子・三浦駿斗

弁護士モノ好きじゃないので、全く期待してなかったんですが1話とても良かったです。一番はやっぱり関和亮氏の演出かな。サカナクション、星野源などのMVを担当されている映像監督。コントラスト強めで色彩がぎゅっとしている独特な味のある映像で、べたーっとしがちなテレビドラマ映像とは違った空気を醸し出しています。テレビドラマって当然「お話」が重要なので脚本が中心軸にあるわけだけど、やっぱり画の撮り方でそのお話の「姿勢」を感じられる気がする。べたーっとした弁護士ドラマじゃないんだよ、を表現するのに、脚本だと少し時間がかかるけど、画なら一発で伝えられるからいいですよね。

印象は「アンナチュラル」に近い。一話完結、人気の出やすい職業モノ、という定番パターンでありながら映像の質と人間関係の緻密な描写で繋いでいく感じ。「アンナチュラル」好きだった人には是非見てほしい作品です。

▼火曜25:28(関東圏)『ゆうべはお楽しみでしたね』(TBS系/MBSドラマイズム) 主演:本田翼・岡山天音 脚本:吹原幸太

ドラクエオンライン上で知り合った二人が、お互いに同性だと思ってルームシェアを始めたら、男と女だった!ロンバケに始まり脈々と受け継がれる「偶然男女一緒に住んじゃったケース」のゲーマー版。第1話、シンプルにポップで面白いです。ただし勘違いで住んじゃうまでの展開が設定上の面白さだから、この後設定以上の面白さになるかが重要。

ラストシーン、「ジェラピケふわもこ本田翼が絶対領域を顕にしながらおかゆを作り看病」という強烈ボディブロー展開。これ、現実では「キャベツでも食って寝てな!」と蹴りを食らう、みたいな夢オチが一般的だと思う。だがこのドラマは違う!この超ありきたりな「男子の夢妄想タイム」みたいなシーンが「現実」なのです。まじかよ、それはもうすっごいよ。そんなん反則やで。って感じで本田翼が本気出してくるのでそんな楽しみ方もアリだと思います。

▼日曜22:30『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ/日曜ドラマ) 主演:菅田将暉  脚本:武藤将吾

全力のおふざけドラマ『今日から俺は!!』に続く学園モノ。とはいえ、うってかわって全力のダークトーンでお送りする日曜ドラマです。生徒一人の自殺の真相を、クラスメイト自ら解明すべく「俺(=菅田将暉)の授業」が展開される。初回で一人殺すという狂乱っぷり、菅田将暉のサイコパスは心待ちにしてました。ごちそうさまです。

流石にセンセーショナルすぎるとか、結局オチは大したことないんじゃない?とか、色々あると思うんですが、個人的には菅田将暉の明暗彷徨う演技を毎週見られるだけでだいぶ満足度高い。通しで狂乱状態ではなく、謎のガチダンス指導などの朗らかタイム、涙の切実授業タイム、元恋人への心の揺らぎ?タイムなど、バリエーション豊かで、かつ演技の質が高いので見応えがあります。

学園モノって、生徒役に必ず棒役者が交じるのでクオリティ担保難しいよなーと思うんだけど、教師である菅田将暉と、キーになる生徒としての永野芽郁、川栄李奈辺りでちゃんと固めてくるんだろうなと。永野芽郁は果たして「半分、青い。」で引き出しを開けきってしまったのか、まだ隠れ棚を持ってるのかが見どころです。その他にも、めちゃくちゃ旬な若手俳優のシリアス演技を見られるのも楽しいですよね。

ストーリーに関しては、上白石ちゃんより永野芽郁のウエストの方が断然エモそうだけどな…とか思ってしまうくらいには共感度低いですが、何やかんや最後まで見てしまうサスペンスになりそう。

▼金曜24:12『フルーツ宅配便』(テレビ東京/ドラマ24) 主演:濱田岳 脚本:吹原幸太

映画監督:白石和彌が手がける深夜ドラマ。スタッフ視点だと今回最も注目されるべき作品と言っていいのではないでしょうか。「フルーツ宅配便」というデリヘルで働くことになってしまった濱田岳が、そこで働く女性たちの人生に目を向けていくお話のよう。

第1話だけではそこまでピンとこなかったけど、甘さなし渋めの人生やら人間関係やらを、濱田岳の受け身演技がじわじわと顕にしていくことへの期待は高い。主役とはいえ濱田岳は終始「聞き手」なのだろうと思われて、そういう役どころに関してはめちゃくちゃいいだろうなと。濱田岳を見てるとどうしても金八時代の慎太郎を思い起こしてしまうのだけど、本当にめちゃくちゃいい俳優になりましたよね…。

徳永えりも、味のある独自のポジションを手にしている印象。これからどう効いてくるのか楽しみです。

からっと明るい作品にはまずならないでしょうが、エグみと温かさを兼ね備える人間ドラマになることを期待してます。

▼金曜22:00『メゾン・ド・ポリス』(TBS/金曜ドラマ) 主演:高畑充希 脚本:黒岩 勉

退職刑事たちが住むシェアハウスに迷い込んだ新人刑事、高畑充希。見ての通り大変豪華なおじさんたちがいらっしゃって、それぞれ愛らしくて楽しい。のだけど、うーん、見続けないかなあ。

全体的に明るさもあり、テンポも良く、おじさん達も愛らしく、全然悪くはないのだけど。やっぱり今クールは刑事モノと弁護士モノが多すぎ。「もうええわ」という気持ちになってしまいました。個人的に刑事弁護士医療ドラマは好きじゃないので、相当ハードル超えてこないと見ようと思わない。なので本作は単にハードルを超えてこなかったなという印象です。逆に刑事モノが好きな人には十分楽しめる面白さがあると思います。

高畑充希もなぁ。いいんだけど。これだったら「忘却のサチコ」「過保護のカホコ」の方が、キャラ強さ故の可愛らしさがあって良かったな。今回はもっとナチュラルな新人刑事なんですよね。そしてナチュラル女子だったら「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の木穂子ちゃんが最強オブ最強なのだ。まあ全然違うキャラクターなので比べるべきでないんだけど。あれくらい、めちゃくちゃ微細繊細な気持ちを表現してくる高畑充希が久しぶりに見たい。

▼水曜22:00『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ/水10) 主演:北川景子 脚本:大石静

人気作品の続きもの。かつ脚本が『大恋愛』に続いて大石静ということで1話見ましたが、全くはまれず。元々お仕事キャラモノが好きじゃないのと、前作未見ということもあり、いまいち世界観が受け入れ難く面白く感じませんでした。

前作見てれば「きたぁぁwwww」となるのかな、と予想されるのだけど、どうやら笑いを取りに行っているらしい場面も単にスベっているように感じてしまいました。全体的なキャラクター説明と世界観の構築が1話の段階でまだ整ってないのに、「お約束」とばかりにネタを飛ばされてもなあ、と。前作見てる人だけが対象ならともかく、さすがに新規ファンも取り込みにいっているはず。だったらもうちょっと丁寧に楽しませにいってもいいんじゃないかなあ。

スッキリパッキリとしたドラマが好きな人、ドクターXとか好きな人ははまれると思います!しかし久々に視聴率が戻って日テレも安心という展開になるのかな。ここでちょいと視聴率戻して、再び実験的なところへの投資に回してくれたらいいんだけど、「やっぱ数字取れるのコレだよな」でこの方向性に固定されてったら、やだなぁ…。

▼月曜21:00『トレース 〜科捜研の男〜』(フジテレビ/月9) 主演:錦戸亮 脚本:相沢友子

錦戸亮という俳優の良さを、船越英一郎が全力で相殺しにいくドラマ、で良いでしょうか。

何が面白くて「科捜研の男」なんだかちょっとよく分からない。受け身振り回され子犬演技の天才である錦戸亮の無駄遣い。新木優子は普通、小雪は白衣素敵なんだけど、もう何だろうとにかく船越英一郎が驚くほど良くないです。

シュッとした論理派な錦戸亮が気に入らない船越英一郎。彼の永遠シャウトがうるさいのなんの。昭和の遺産が歩ってる感じです。いやそういう役柄なんだと思うんですけど、そうは言っても演じ方があるんじゃないかと。月9は火サスじゃないですし、2019年だし、パワハラとか色々言う時代だし、何かとにかく「時代が分かってない感」が満載で。

当然、そこに対する批判的な視点も込められて制作されてるんだと思うんですが、演者側にその視点伝わってる?って疑問が浮かぶくらいの時代錯誤感。苦しい…。

『恋ノチカラ』の相沢友子氏なのに本当に残念。サスペンスものじゃなくて、今だったら『けもなれ』みたいなお話を相沢友子脚本で見たいなあ。

木10のQUEENの方が力入った企画に思えるんですが、何でそっちを月9にしなかったんだろう。月9×錦戸亮が先に決まってたんじゃないかと思うんだけど、何で錦戸亮の魅力を引き出す企画にならなかったんだろう…と諸々疑問だらけですが、まあ月9は次クールを待つことといたします。

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