Masao Katagishi

文学くずれです。文学フリマにて、『季刊 枯片吟』で活動中です。

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銃弾

どうも坂の多い道に迷い込んでしまったようだし、今回が私自身の出来事というわけでもなさそうで、いつものように俯瞰した映像が流れていて、すでに夜、肌寒くなりつつある。 与えられたミッションは、誰かを暗殺しなければならないものの様だが、その相手を見つけ出すのにも当然一苦労している。 ゆるやかなカーブの大きい坂道を、桜の花が散る中、樹々の枝の隙間から指す太陽の光がジグザグに影を織りなす中、私は歩いていて、ボールか何かが転がってきて、車通りは全く無い。 すると突然、

    • はじめに書かれるべき文言

      はじめに書かれるべき文言が、パソコンを開くと既に画面の中に書かれていた。アイコンが明滅し、続きを書けといざなう様でもあるのだが、私はその続きに書くべき文言を知らない。部屋の中は冬特有の日差しの弱さと微小な埃のきらめきに満ちていて、まだきちんと朝起きたのかどうかという確信が持てない。起きてからパソコンを立ち上げたのには訳があり、昨日いくらのお金を使ったのかを記録するためと、眠りの中で錯覚と取り違えそうな記憶をより一層確定的なものへと変える為であった。 書こうと思えば、床に

      • 銀色のボールペン

        ボールペンで文字を書き始めると、銀色の血が流れるように、紙の上にうっすらと湿り気が帯び始め、やがて紙が置いてあるテーブルの端にまで到達し、床にこぼれ落ち、そこが源流となって、大きな河が流れ始める。 我々はその河の源流を辿る旅に出る事を命題としていた。旅をして何かを見つける事ではなく、旅に出る事自体を目的としていたわけだ。 我々が旅に出ようと思ったきっかけは、六畳一間の相棒の家で布団も引かれず寝っ転がって、天井を眺めていた時の事であった。相棒は目を開けて

        • アカウントを開設してはいたものの、特に興が乗るような状況でもないように思えたので、放置して数ヶ月。使ってみてどれ程のものかというのも、使わねばわからないことなので、幾つか転載してみようとも思う。

        • はじめに書かれるべき文言

        • 銀色のボールペン

        • アカウントを開設してはいたものの、特に興が乗るような状況でもないように思えたので、放置して数ヶ月。使ってみてどれ程のものかというのも、使わねばわからないことなので、幾つか転載してみようとも思う。

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