銃弾

どうも坂の多い道に迷い込んでしまったようだし、今回が私自身の出来事というわけでもなさそうで、いつものように俯瞰した映像が流れていて、すでに夜、肌寒くなりつつある。 与えられたミッションは、誰かを暗殺しなければならないものの様だが、その相手を見つけ出すのにも当然一苦労している。 ゆるやかなカーブの大きい坂道を、桜の花が散る中、樹々の枝の隙間から指す太陽の光がジグザグに影を織りなす中、私は歩いていて、ボールか何かが転がってきて、車通りは全く無い。
すると突然、横から女があらわれて、私(おそらく本当の私だと思う)の腕を引っ張って、取調室の様なところに連れて行く。
ミッションがばれたか、と思い、銃を取り出してうつむいたところの頭の天辺を撃つ。撃てば当然貫通して砕け散るはずが、銃弾は頭蓋骨の表面近くに半分ほど埋まっただけで、それ以上進まないようだ。桃色の皮膚がめくれ、内側の空洞が見える。
撃たれた女は銃弾を頭から取り出すと、昔別の男の姿だったという話を語り始める。前任者か何かのようだ。 私は少し安心すると、銃を置いて、ラムネか何かを買いに出かけようと思う。

#小説

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