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"私の"パーティクルライブの作り方(ナラティブ編)

はじめに

お久しぶりです、ブルージーです。
本日のパーティクルライブのコラム「"私の"パーティクルライブの作り方」では、パーティクルライブを構成するのに欠かせない「ストーリーテイリング」と「ナラティブ」に関しての私の考え方をまとめようと思います。

ストーリーテイリング?ナラティブ?

ストーリーテイリングとは?

ストーリーテイリングとは、文字通り「物語を語ること」です。
皆様は漫画、本、小説、アニメ、ドラマ、映画と言ったコンテンツや、琵琶法師や吟遊詩人たちの語る物語に耳を傾けた事も多いのではないでしょうか?

平家が如何に隆盛を極めそして滅んでいった話や、ヒンメルの死から二十余年のフリーレンの歩んでいく物語、ましゅまいれっしゅのライブに突如現れるダークモンスターや茶柱さんの話など、この世界は多くの物語があり、そしてそれは様々な媒体で語られていきました。

SHOWBYROCK!! ましゅまいれっしゅ!! キセキかもしれないレゾナンス

それは、パーティクルライブという表現媒体においても同じ事で、パーティクルライブはその表現で物語を語っていくジャンルとも言えるわけですね。

ナラティブとは?そしてその変遷と本題

さて、一方でナラティブとは、「物事や出来事に対して、人々が自分の視点や経験を通じて語ること」を指しますが、この言葉は今や変質を帯び始めている事はご存じでしょうか?

2012年、おそらくナラティブという言葉が語られ始めたのはこの年になります。
CEDEC2012ではBest Writing Awardが消え、Best Narrative Awardに置き換わった事や、国産ゲームのこれからの物語を「ナラティブ」という言葉に置き換えた動きが広がっていきました。
その話が日本で現れたのがCEDEC 2013でのカンファレンスでした。

この中で、ナラティブとは、「(ゲームと言う)体験によって感じ取った自らの心の中に内包したもの」を指し示すようになりました。

ナラティブを内包した作品というものは自分自身がフリーレンになったり茶柱さんになったりするわけです。
ヒンメルが亡くなった時の感情、旅をする中で出会ったもの、ミミックに食べられた時の温度感を想像し、自らに内包する。
茶柱さんの好きな音楽が何かや、状況の思いやなぜ裏切られたのかを考えてしまう事がナラティブなんですね。
そして、それらを無意識に想像した時、それはあなたが体感するあなただけの物語になる。

これが「ナラティブ」です。
これこそが今回の肝になります。

観覧者自身で完成する物語(ナラティブ)であること

私はパーティクルライブにおいては常にナラティブを意識します。
これは、私にとってはただ一つの例外もありませんでしたし、これからもそうするでしょう。

曲や歌を聴いているときや歌って口ずさむ時、曲の物語を思い浮かべることはありませんか?

十字架に張り付けられながらいい人生だと歌うユダヤ人の気持ちになったとき、どれだけ心が晴れやかになのでしょう?
または、幾千幾万幾億の旋律が奏でられるとき、どれほど多くの旅人が心半ばで朽ち果てて逝ったか、またはどれだけが生き残ってその先を歩むことができたのでしょう?


Always Look on the Bright Side of Life(モンティ・パイソン)
忘れ時の言の葉(未来古代楽団)/Lia_リア 私の一番好きなライバーの一人です

これを思わずにはいられないことこそがナラティブだと私は考えています。
そして、それぞれの観覧者がパーティクルライブという曲と演出によってナラティブを思わせる事こそが私にとっての目標になるのですね。

その物語をどう解釈するかは問題ではありません、あくまでも観た人がナラティブに囚われたかがです。

己のナラティブを形にする事

そんなわけで、ここからはオーバーライドという曲のパーティクルライブを教材にしながら、ナラティブを感じてもらうためのストーリーテイリングの考え方をまとめていこうと思います。

まあ、実情は開発後記なのでどこまで教材になるかはわかりませんが・・・。

作るきっかけ

この曲はこれからこのライブを見るニコニコの投稿者・視聴者に向けて作ったものでした。

特に、紫苑ちゃんというニコニコ投稿者がこの曲の再現MV風を動画で作っていたことが大きなきっかけになります。

※動画は完成版ですが、途中までできたバージョンを観て作ったのがきっかけです

そのため、最初の演出は必ずニコニコ風にしようと考えましたというのと、いつもの作り方は限界を感じたので、違う作風で作りたかったんですね。
なので、オーバーリアアリスことリアアリス版オーバーライドの再現を最初はある程度忠実になぞる事にしました。

ちなみに、本人から顔のアニメーションと、数枚画像をお借りいたしました。
心よりお礼を申し上げます。

そして、時には曲に叛逆すること

まあ、しかし原曲のMVそのものから思ってたのですが、2題目のMVの時点でダレ始めてくるんですよね。
曲がインスタントな分手軽なんだけど、緩やかに堕落して埋没していく感じの曲っぽさはどうしてもあったんですね。
それに共感できるならそのままでよかったのですが、ちょっと共感しきれんかったんだな自分は。

というわけで、曲の解釈と自分のナラティブの嗜好が合わないときは、思い切って曲の内容に叛逆する勇気も必要になります。
とはいえ、1題目のサビはリアアリスの表情がかわいいので、そこまではMV再現風であった方がいいだろうなと考えていました。
なのであそこまでは「かわいいリアアリスを見ろ!」と思ってパーティクルを極限まで控えました。

逆に飽きが始まりそうな(改めて言うとすごく失礼だけど)、ここから元のPVに逆らう必要があると考えたのですね。

テトが言い訳をしながらペダルを漕いでいるシーンに対して2題目のAメロは「もう、来ないからねー」と返されるシーンでした。

元のシーンは自転車を漕いでいるテトが言い訳をしているシーンになる

叛逆するならここからだと思い、まずはここで助走をつける事にしました。
自転車を漕いでいるテト=リアアリスは言い訳を聞く側に変わり、自転車を漕ぐリアアリスは必死に漕いで今の現状に逆らい始めようとする。

そして、言い訳をする自分に「もう、来ないからねー」と別れを切り出させます。

言い訳をしている人物が変わり、言い訳せずに反対側の方向へ必死にペダルを漕ぐ人物になった

そして再現PVから"私の"パーティクルライブにする

今までのニコニコのフレームをここで割り、新しい世界を作りました。
本来はここを到達点にする予定でしたが、せっかくならBitAnimatorで作ったオーディオスペクトラムの空、これをもう少し生かしたいなと思ったんですね。
いっそのこと暗闇を壊して青空を掴んでしまおう。

そのためには黒い"天蓋を壊す"しかない

かつて、四面楚歌さんという方が描いた「夢現」と言う東方二次創作の小説がありました。
幻想郷が消滅する前、魔理沙が放ったのは小説という文字そのものすら吹き飛ばすマスタースパークでした。
何かを壊し、何かを成し遂げる。その最期の思いだったように思えます。

ならば鬼の子のように天蓋すら壊し、青空を拝んでやろうじゃないか

ならばと思い、私もマスタースパークを放ち、暗い世界を壊す事にしました。
そして残ったのは青空。彼女は何かを成し遂げたのか、それができず朽ち果てて逝ったかはわかりません。
しかし、彼女の元に広がっていたのは、その雲すらも美しい眩いばかりの青空なのは間違いないのでした。

あんたの書いた杜撰なコードの裏側の世界

この物語をどう受け取りましたか?

もし、この曲のパーティクルライブを見た方がいたら、どのような物語を感受したか教えていただければと思っています。
どのように感じたかはおそらく人によって異なると思います。

もし、ナラティブがあなたの心の内に発生したのなら、これ以上の喜びはないだろうな・・・と思いながら締めさせていただきます。

そして最後にひとこと。

さあ、あなたの物語を教えて

そして、あなたの物語を受け取り、何を思ったかという語らいができればと思います。
なので、あなたもパーティクルライバーになろう!!

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