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『シスコン王子』 総集編!!!上映後、取り留めもなく溢れ出るおはなし…


⚫︎『シスコン王子』  2023  ワカメと還暦

『進め シスコーン』の歌の部分のフィルム。夏の猛暑と経年劣化でプリントの状態か悪くなっていく。

この夏の殺人的猛暑で『シスコン王子』のフィルムたちがいよいよ「ワカメ」になりそうな気配。フィルムの現物を見たことがない方には想像しにくいかもしれないが、フィルムが劣化するとクネクネ波打って酸っぱい臭いがしてくるのだ。我々の間で「ワカメ」といえばまずそれ。もはや業界用語。『デジタル化したからフィルムはもう要らん!』と捨てられるフィルムも多いらしいけれど、私の場合、両親が映画をつくる人で、母においては本当に涙ぐましい努力で父の作品を支えてきた。そうして大事に遺されたフィルムたちだから、捨てるのは無理。例えばこの『シスコン王子』、撮影されたのは1963年で、60年も我が家で眠っていた。60年といえば、赤いちゃんちゃんこの還暦。生まれたばかりの赤ちゃんが定年退職を考える立派な老人となるくらいの長い歳月、よくぞ、ご無事で…というわけで、この度の国立新美術館、「イントゥ・アニメーション」での公開で、あんなにたくさんの拍手をもらえたのは『シスコン王子』のフィルムたちにとって、最高の「還暦祝い」だった。シワシワ、クネクネの「ワカメ」になる前に皆さんにお披露目できて本当によかった…と、いろいろ思うとますます捨てられない。フィルムだけでなくて私もそろそろシワシワのポワポワ。老い先、このものたちはどうなるだろう。と、最近、真面目に考えている。

⚫︎『進め シスコーン』 !安否確認のご報告

『シスコン王子』は藤子不二雄の漫画が原作で未だにファンの多い作品。築地の倉庫にもうフィルムが残っていないのだとしたら、我が家に遺されたこのプリントたちは希少!…と思っていたけれど、既にデジタル化された1話から3話の本編の中にも今回上映された『進めシスコーン』の歌の特撮場面、野沢雅子さんの懐かしい声が聞ける『ピノキオ紹介』の場面が入っていてDVDになっいるらしい。それなら、うちで発見してこの前上映された『シスコン王子』の映像はそれほど珍しいものではなかったか…ガックシ。えっ、でも、あの本編から抜いた予告篇の映像は?あれは1話から3話ではなくて6話!…ということは、まだデジタル化されていないはず。築地の倉庫にフィルムが残っていなくて、本当にもうデジタル化が無理で、『シスコン王子』の4話以降は観られない!となったら、たった90秒で無音でも6話本編から抜いたあれは貴重な映像…ということで今日も私は絶叫する!『すみませ〜ん!どこかの美術館とか藤子不二雄ファンの方、藤子スタジオの社長さん…このプリントたち、助けて〜!』…お仕事依頼というか延命措置願というか、ホント、私の力だけではもう無理〜!『墓場の中まで持っていけば?』と簡単に言う勿れ。今や、墓場の中まで持って行くっていうのも難しい世の中。両親が他界したときに、棺桶やお墓に入れるものには、いろいろ決まりがあることを学んだのだ。おばあちゃん(北原白秋とスーパー仲良しだった父の母、珠江)のときとは違って現代では棺の中に金属納入禁止!古いから黒い金属リールなんです、シスコンは。それにフィルムは燃えると有毒ガスが出るそうで勝手に捨ててはいけない産業廃棄物。だから、私が棺桶に入ったとして、『じゃあコレも入れようか?』って入れちゃダメダメ〜!ってなる。をっと、脇道に逸れた。とにかく暑い。『老い先の棺桶より目先の猛暑&シスコーン!』…この夏の殺人的猛暑で大事なフィルムたちが泣いている。『大丈夫…?』と、定期的に安否確認するが心配。で、今回、久しぶりにリールを取り出してみたら酸っぱい臭いが漂って3本の中の2本が見た目にもうヤバい。予告篇の方はまだ大丈夫そうだけど、一番ヤバいのは『進めシスコーン』の主題歌の特撮場面。これにはうちで飼っていた熱帯魚も出演。私はこの熱帯魚を父と一緒に買いに行ったのをよく覚えている。『シスコン王子』の撮影のためとは知らなかったけど。

 で、この瀕死の『進め シスコーン』のフィルムには、今は亡き伴久美子さんとビクター児童合唱団の貴重な歌声が入っている。多分、このクネクネが一番最初に撮影されたに違いない立派な証拠…と悠長に観察している場合ではないけれど、やっぱり写メ、写メ…って撮ったのが上から2番目の写真。シスコン王子の頭が見えるが、ポワポワでぎょえー!『進め、進め、シスコーン!』ってこれ以上の劣化が進むのは勘弁してほしい。危険⚠️
冷房ガンガンにして、これもまた必要経費。嫌だなぁ、困るなぁ…って流石の私もマイナス思考になりかけていたけど、この前の還暦祝い、イントゥの上映、大拍手をいただいたことですっかり気をよくして太っ腹。(まぁ、もともと太いけどね)プラス思考に転換。『きみたちはどう生きるか』…そうだ、棺桶の心配はまだ先でいいじゃないか。ということで、『頑張ろう シスコン!』の日々となった。
↑↑↑の記事については、この文章の最後の方、いろいろわかったことがあって、9月9日付、9月12日付で大幅に修正しました。『シスコン王子』の冒頭の歌は国府田氏の作詞。イントゥで上映された髙橋克雄の特撮の歌の場面(作詞も髙橋克雄)とピノキオ紹介の映像は後ろの『ピノキオの冒険』の方に編集で繋いで『シスコン王子』から切り離されていたため、1話から3話には写っていない…とわかりました次第。後ほどそのことについても詳しく記載しています。

⚫︎「デジタル貧乏大臣」とは…

教員の薄給でこれまでフィルムや1インチビデオのデジタル化、データ化学を続けて、YouTubeやSNSで無料公開してきたけれど、やっぱり費用がとてもかかる!気がつけば、すっかり「デジタル貧乏大臣」…!ホント、これは何とかしないとマズイなぁ。私にできるのは喋ることと書くこと、あと英語がわかる…くらいで、商才は父譲りでまるでナシ。でも、もうちょっと頑張ってみようかな。ラボにもデジタル化の費用をお支払いしないとならないし、この先、まだまだデジタル化したい作品が山ほどあるから何とか費用を捻出する方法を考えないとなりません。この前の上映&トーク後、『シスコン王子』の謎解きをするうちに本気で本編を観てみたい! と、思うようになったから、
『シスコン王子を探す旅』のためにも資金調達が必要。私が日清シスコさんとお話ししたり、メールでやり取りしていた頃は、『シスコ製菓から引き継がれていないし、何の権利もないから…』と担当の方からお聞きしたけど、今はまた違うっていう話も耳に入っている。日清シスコや電通への「打診」「お願い」「お接待」…以前、父の会社で撮影の手伝い&映像制作の営業もしていたからいろいろお金がかかるのをよくしっている。教員の薄給だけでは無理〜!なのよ。ということで、今回、初めて有料記事を書いてみることにした次第。また、この前のイントゥのような楽しい上映&トークができたら幸せ…!機会があれば、いろいろ上映してお話しますから、是非、お声がけくださいませね。で、記事もたくさん書きます〜!「デジタル貧乏大臣を救え!」の巻。皆様のご参加、ご協力、お力添えをいただけますよう、今後ともよろしくお願いします!

⚫︎元祖トランスフォーマー?ポニー号 現る!

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レトロな「教育映画」や万博映画などの映画や映像を上映&トークしています。「レオニード・モギー賞」や「国際赤十字賞」など国際映画祭や芸術祭受賞作『野ばら』をはじめ、貴重な映像のフィルムのデジタル化にぜひご協力くださいませ。