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2019新春 広告・PR 主なできごとリスト

この記事を書いているころ、魅惑の9連休も、その終焉を迎えつつあります。

限界いっぱいまでだらだらしたい気持ちもありますが、ここらでリハビリしておかないと明日からの仕事に耐えられそうにない…!

ということで、気合を振り絞って、この年末年始に起こった広告・PR関連のできごとを振り返っていきたいと思います。

おしながき

幸楽苑 「2億円事件。」(12/31)
星のドラゴンクエスト 「広告にも出ていますが、ドラクエをやったことありません。」(1/1)
西武・そごう 「女の時代、なんていらない?」(1/1)
メルカリ 「メルカリは三日坊主を応援します。」(1/3)
すしざんまい 3億3360万円クロマグロ落札(1/5)
ZOZO(前澤社長) 総額1億円お年玉(1/5)

幸楽苑 「2億円事件。」

年中無休を売りにしていたラーメンチェーン店の幸楽苑が、大晦日の新聞広告で1月1日の休業を発表。

1月1日の推定売上2億円を失ってでも、「働く人の気持ち」を大事にしたいという。

昨今の「ブラック企業」「働き方改革」の流れもあり、企業が従業員を大切に扱っているかどうかに対する社会の注目度は高い。

施策としての社会的意義があることはもちろんだが、年末年始の文脈の中で上手に企業イメージを向上させた広告と見ることができるだろう。

なお類似の事例として、2015年にアメリカのアウトドアブレンドREIが「一年で一番稼げる」といわれるブラック・フライデーの全店休業を宣言する"#OptOutside"キャンペーンを実施。従業員12,000人に有給休暇を呼びかけ、「値下げに飛びついて店舗に閉じ込められるのではなく、自然の中で過ごそう」というメッセージを発信した。翌年、カンヌライオンズのチタニウム部門でグランプリを受賞している。(参考リンク

星のドラゴンクエスト 「広告にも出ていますが、ドラクエをやったことありません。」

スマホゲームアプリ『星のドラゴンクエスト』の宣伝にあたり、SMAP解散後に結成された『新しい地図』を起用した広告。

元日の新聞広告およびテレビCMにて展開され、公式サイト上には特設ページが設けられている。

ドラクエシリーズをプレイしたことがないという稲垣吾郎をプロデューサーに就任させ、「僕と一緒に星ドラはじめませんか。」とメッセージを送った。

戦略的な背景としては、『星のドラゴンクエスト』はドラゴンクエストシリーズのスピンオフ作品のため「既存ファン向け」のイメージを持たれやすい。そのためシリーズ未プレイ層から敬遠されやすいという課題があったのではと推察できる。

おそらくは今後の広告シリーズを展開する中で、稲垣吾郎が「シリーズ未プレイながらにゲームを楽しむ様子」を公開し、シリーズ未プレイ層の「やってみたい」という気持ちを呼び起こしていく方針なのではないだろうか。

ただ「ドラクエシリーズをやったことがない人も楽しめます」と伝えるのではなく、芸能人を感情移入しやすい"アバター"に据える手口がウマい。

西武・そごう 「女の時代、なんていらない?」

元日に掲載された新聞広告および、オリジナルWebムービー。

女性差別問題を取り上げたが、その扱いに問題があるのではとしてSNS上で大きな波紋を呼んだ。

この広告についてはさまざまな記事が考察を行っているので、この記事では大きく取り扱わない。下記、いくつか紹介しておく。

▲コピー内で2つのテーマが混在していることが混乱を招いているのでは、という指摘。

▲社会問題の解決に向けた企業の具体的な行動が示されていないことが問題なのでは、という指摘。

▲拙作。提言されている内容がすでに時代遅れなのではないか、という指摘。

メルカリ 「メルカリは三日坊主を応援します。」

1月3日の新聞に掲載された、草なぎ剛出演の新聞広告および、1月5日放送開始の新テレビCM。

「三日坊主でもいいじゃない。やってみて、続かなかったら道具はメルカリで売っちゃおうよ」というようなメッセージ。メルカリの存在によって新しいことにチャレンジしやすくなる、という論理の作り方がウマい。

新年の空気感ともマッチしていて、よいタイミングで広告を展開してきたなという印象。

草なぎ剛を丸坊主にするビジュアルも、ニュース性がある。

すしざんまい 3億3360万円クロマグロ落札

1月5日に豊洲市場で初競りが行われ、青森県大間産のクロマグロが3億3360円で落札された。

史上最高価格ということもあって情報のインパクトが大きく、広く話題を呼んだ。(参考値として、昨年の落札価格は3645万円)

落札したのは、すしチェーン「すしざんまい」を運営する株式会社喜代村。

SNS上では「やりすぎ」との声もあったようだが、仲卸業者「やま幸」との競り合いの末にこの金額に達しており、このクロマグロに同程度の価値を見出す企業は他にもあった、ということになる。

参考リンク1)(参考リンク2

商品の品質にかける情熱を話題性に乗せて拡散することに成功したといえるのではないだろうか。

ZOZO(前澤社長) 総額1億円お年玉

1月5日夜、株式会社ZOZOを経営する前澤友作社長が、100名に100万円をプレゼントする「総額1億円お年玉」企画を実施した。

企業が公式アカウントのフォローとリツイートを条件に賞品・賞金をプレゼントするSNSキャンペーンは珍しくないが、今回は金額規模が異例だ。

このツイートはまたたく間に拡散し、翌日6日の正午にはリツイート数が60万件に達し、日本国内の最高記録を塗り替えた。(それ以前の過去最高はYouTuberヒカル氏によるプレーステーション4 30台プレゼント企画で、54万件超)

これに伴い前澤社長のTwitterフォロワー数も約75万人から200万人以上に激増した。

参考リンク

また、前澤社長は6日の朝に以下のツイートを投稿。

この企画を、「参加者の夢を叶えるもの」として位置付けている。

1億円でこれだけの話題性を生めるならCMを放映するよりも効率がよく、他企業も追従すべきなのでは、という考え方も確かにある。

しかし個人的には、この企画は「前澤社長のキャラクターありき」なのではと考えている。

バスキアの絵画を124億円で落札したり、総額750円以上が必要と推定される月旅行を発表したりと、セルフブランド確立のための巨額投資を惜しまない前澤社長だからこそ、この企画と彼のキャラクターには一貫性がある。

だからこそ、この企画が終了したとしてもその熱は一過性で終わらず、「次はどんなことをしてくれるんだろう」という継続的な期待感をもたせることができるのではないだろうか。

さいごに

以上、この新春に起きた広告・PR関連のできごとをまとめてみました。

年末年始はニュースやSNSから離れて家族やお友達との時間を大切にしていたという方も、情報に追いついていただけたのではないでしょうか。

よろしければTwitterのフォローもよろしくお願いします。

しがない広告ライター


それでは!

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