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播磨陰陽師の独り言・第479話「鹿を見に奈良へ」

 以前に広島の宮島へ行ったことがあります。鹿のいるあの宮島です。観光していると、登り坂ばかりで疲れました。道端に座って、ふとため息をつくと、鹿が擦り寄って来て横に座りました。なんだか友達のように優しく寄り添ってくれたのです。頭をなでると嬉しそうにしていました。
 その時、
——鹿は大きなウサギのような生き物だな。
 と思いました。
 馬も大きなウサギのような生き物だと思います。臆病で優しくて、可愛らしい性格をしています。
 奈良へ行った時も鹿を見ました。まだ外国人が少ない頃のことだったので、日本人ばかりでした。最近は多くの外国人が観光しているようです。宮島より行きやすいのか、奈良へ行く人の方が多いそうです。どちらの鹿もステキですが、奈良の方が色々と芸達者のように感じました。外国人によると、お辞儀する鹿が可愛いそうです。信号を守って道路を渡ったり、人と一緒に雨宿りする姿を配信して、その賢さを褒めていました。
 以前、兵庫県の山奥にある書寫山しょさざん圓教寺えんきょうじで夜中にお祓いした後、鹿を呼んで守ってもらいました。律儀なことに鹿たちは、朝までまわりを守りながら鳴いていました。鹿の鳴き声は魔物を祓う力を持ちます。このお寺は映画『ラストサムライ』の撮影で有名です。
 鹿と言えば、わが国にはおおむね七種類の亜種がいるそうです。エゾシカとホンシュウシカが違う種類であることは知っていましたが、そんなにいるとは思いませんでした。九州にいる鹿もキュウシュウシカと言う種類だそうです。
 アメリカにはヘラジカがいます。この鹿はかなり凶暴で最大の大きさを誇ります。ヘラジカのバンビくらいの大きさが、奈良の鹿の大人サイズのようです。アメリカ人にとっての奈良の鹿は、小さくて可愛らしい生き物に見えると言います。
 前にも書きましたが、エゾシカの肉を貰って家で焼いて食べたことがありました。醤油で味付けをしましたが、なぜか北海道の昆布醤油しかあいませんでした。もっと良い醤油と思い、和歌山の高級醤油や九州の醤油などを試しましたが何とも微妙な味でした。
 京都で鹿の肉を食べた時は、関西の醤油で美味しくいただきました。鹿が多い地域では農作物の被害が発生していますが、もっと鹿肉を食べたら良いのにと思いました。

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