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播磨陰陽師の独り言・第486話「成仏不動産」

 最近、事故物件を専門に扱う業者が増えているそうです。〈成仏不動産〉と呼ばれています。部屋で自殺した人が出たり、住人が殺された建物や、孤独死した人が住んでいた物件を〈事故物件〉と呼びます。それを成仏不動産が扱うとは、真面目なんだかふざけているのか、気味の悪い呼び方をするものだと思いました。
 そこに住もうとする人は、単に安いからと言う理由で探し求めるそうです。そこでどのようなことがあったのかについては気にしない様子。安いからと言って入居すれば不幸に見舞われる可能性が高くなります。
 霊的なものを信じない人はそれで良いでしょうが、起きることは起きるのです。なのに好んで事故物件に住むとは、何とも驚くばかりです。
 業者側は、
「キチンとお祓いもして、リフォームもやっている」
 と言います。ですが、祓っても祓えない事例が多いので、気休めくらいにしかなりません。特に自殺した部屋を祓うのは困難です。そんな場所に住むと、不審死をとげるのがオチだと思います。
 世の中には、人の力ではどうすることも出来ない物事があります。土地の因縁や、そこに残った恨みや悲しみが霊的な厄を生み出すのです。事故物件は、そのような原因によって生まれます。
 そして、霊的な厄は、建物を建て替えてもどうにもなりません。業者はリフォームしたと言います。確かに見た目がキレイになるとは思います。しかし、見た目が変わったからと言って、根本的な解決には結びつきません。
 多くの霊現象は、実は根拠のない噂話から発生します。最初は嘘でも、恐怖がたまると、現実の世界にやって来るのです。
 恐怖にはある種の臭いがあります。その臭いにつられて、霊的な世界から何かがやって来ます。何が来るから分かりません。そうやって、廃墟がオカルトスポットとなります。これは祓おうと思えば祓えます。
 しかし、自殺の現場は違います。死んだ人は、死んだその日を繰り返すのです。そして、近くにいる他人を巻き込んでしなせると言う嫌なオプションが付きます。だから自殺した場所で次々に人が亡くなるのです。
 一方、殺された部屋でも、毎日の繰り返しが起こります。殺された人の無念さが、次第に強くなって行きます。すると、そこに住む人は影響を受け、悪夢を見はじめます。そして、やがて不運がはじまり死に至るのですが……。

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