時間外労働60時間超の割増賃金率50%⇒社会保険の月額変更の対象ですよ。

注:この記事以降、取り扱いが変更になっています。
変更後の取り扱いは 
「時間外労働60時間超の割増賃金率50%⇒社会保険の月額変更の対象ですよ(2023/4/24訂正版)」をご確認ください(削除してしまうと変更点がわかりにくくなってしまうので、以下の記事も残しておきます)

↓↓↓ ここから元記事 ↓↓↓

2023.4~、中小企業においても時間外労働60時間を超える場合には割増賃金率が50%になります。

これに伴い割増率が50%になった時間外手当が支給された場合は、社会保険料改定の判断の対象になるので注意が必要です。

下記

社会保険料改定の判断ポイント

社会保険料の変更対象になるとして、いつ、どのように判断されるかというと、下記となります。

※注:下記取り扱いについては現段階での年金事務所からの回答であり、変更の可能性があります。再調整中にて改めて統一見解が出される見込みです。(2023.4.20時点情報)。

「初めて」割増率50%での時間外手当が支給された月を固定給変動月として、3ヶ月間に支払われる賃金で判断する
「初めて割増率50%での時間外手当が支給された月」についてはこの先ずっと追いかける必要がある(2023.4~3ヶ月、とか今年度内、とかでなく、その人が退職するまでずっと
③2023.4~に入社した人は上記の対象外となる(入社した時点から、割増率は50%なので、賃金の支給単価変更に該当しないため)

で、どう対応したらよいのか


はっきりいって、現実の運用はかなり困難です。これ、誰が追うんですか?

ある人が時間外労働60時間を超えて割増賃金率50%での時間外手当が支給されたとして、それが今月とか来月とかだったらわかりやすいです。

しかし、5年後、10年後になって、すっかり50%割増が当たり前の世の中になった頃に、「たまたま」割増賃金率50%での時間外手当が支給された人が発生した場合に、その人が、2023.4~に一度でも50%割増での時間外手当を支給されたことがあったかどうかなんて、管理しきれません。それがその人退職するまで管理し続けなければならないわけですよ。

しかも、2023.4~に入社した人は対象外ですって。

すぐ思いつくやり方としては下記のような対応が考えられますが。。。

・会社として「割増賃金50%以上での時間外手当を払ったことがある人リスト」を作って常に自社内でメンテナンスしていく。割増賃金50%以上の支給があった場合にそのリストを毎回確認する。この作業を忘れないように確実に引き継ぐ。
・システム会社の人にお願いして、人事DBとか給与計算ソフトかなんかに、「割増賃金50%以上の時間外手当を払ったことがある人フラグ」かなんかつけて自動的に排除してもらうようにする。

いったい誰が管理できるんでしょうか?
ほかにいいやり方あったらどなたか教えてください(涙)。

おそらく、結果的に社会保険料の改定の対象になる人は非常に少ないと思います。でも「該当しない」という判断のための作業はしなければならないことになりますよね。

社会保険料の計算はデジタルガバメントの障害である

デジタルガバメント、実現したいならこういうルールをやめるところから始めるのがよいと思います。DXの妨げです。

この取り扱い、いまからでもやめてほしい!

ということで、ここから要望を送ってみました。

「国民の皆様の声」募集 送信フォーム
https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail

賛同された方、あなたも送ってみませんか?

判断根拠は?文書でのアナウンスは?

なお、この取り扱いについて現在のところHPや疑義照会等の正式に公表されている文書はなく(2023.4.18)、年金事務所からの照会に対する日本年金機構内での回答、内部通達とのことです。

なお、判断の基準となる考え方は下記となるそうです。

■社会保険の月額変更に該当することの判断基準

標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(P6)

■固定給変動月をいつと考えるのかの判断基準

標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(P7)

なお、今回の割増賃金率変更は「支給単価の変更」であり、「非固定的賃金の創設」には該当しないため、下記は該当しないそうです。


標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(P8)



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