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バーチャル蠱毒とやさしい世界

バーチャルAV女優のKarinです。
端くれとはいえ同業として、今回の「バーチャル蠱毒」と揶揄されている《最強バーチャルタレントオーディション〜極〜》について、少しでも意見を表明しておきたかったので記事にしておきます。

まず最初に

Showroomさんのことを少し怖いな、と思いました。
個人的に信頼している、VR技術や美術(≠バーチャルYoutuber)関係の方がVTuber需要に伴って複数人入社されているので、「わかっている人」が増えることでVTuberの企画も洗練されていくのではないかと思っていました。

ところが、蓋を開けてみれば今回のバーチャル蠱毒が堂々と企画として通っている。考えてみれば当たり前のことで、企業として企画部署と技術部署は別でしょう。しかも、元々Showroomではリアルのアイドル候補生が同じように番号のみを与えられて配信をするというオーディション企画をしていたようなので(要出典)、企画担当者も「いつものオーディションのVTuber版やるか~」ぐらいに考えていたのではないでしょうか。

過去の企画との唯一にして最大の違いは、全員に等しい(設定上の)パーソナリティが割り振られているという点でしょう。
この形式による大きな問題は、「No.1とNo.2の候補生は競い合う関係にある"別人である"」というオーディション形式の前提が崩壊していることにあると考えます。

この"別人である"という前提が崩壊しているからこそ、「立場」ではなく「身体」の奪い合い、しかも同一人物によるという、生命の本質により近い部分が侵されているように感じるのではないでしょうか。

本題

これだけ前提が崩壊している最悪のイベントに対し、主にVTuberファンの皆さんの反応は、主に企画に対する批判に向いています。

これって結構、「やさしい世界」じゃないですか?

もちろん、これは「悲惨な戦争が起きた後、その反省から人権意識や生命倫理に対する保護が厚くなった」みたいな話です。根本的に不適切だった過去が消えたことにはならないし、そこで消えてしまった命は戻りません。
でも、それに「こんなの残酷だ」と堂々と言える人もたくさんいることが今回わかったと思いませんか?少なくとも私達は「バーチャル蠱毒はエグい」という事実を、思考実験ではなく現実に手に入れたことになります。

バーチャルYoutuberブームの最初期に囁かれた「やさしい世界」という言葉には、「単なる仲良し」とか「単に伸びやすい」という意味ではなく、「どんな存在にも、バーチャルの身体に準じた人格を認めることができる世界」という意味が籠もっていた気がします。

そんな空気を作ったのは、最初期の各クリエイターの功績に他なりません。
が、それを維持してきたのは視聴者の草の根の力と言っても過言ではないでしょう。
少なくとも、こんなオーディションに対して「怖い」という言葉を上げられる人がこんなにいるだけで、まだ世界は捨てたもんじゃないなと思います。
このファン層が浮き彫りになれば、今後他の会社もここまでエグいことはそうそうしてこないんじゃないかな……と思います。

【追記】本物の演者はタフだという話

私達が外野からこんなこと言わなくても、本物の演者は本物だった。
詳しくは【↓】の記事を参照して下さい。(この下も少し続きます)

今晩の九条林檎No.5さんの配信で、「もし私が残ったら、縫いぐるみなんかを用意して私よりも優れた部分のある他の九条林檎を招こうかな……」みたいな話をしていました。

これで心から応援する気になった人、結構いるんじゃないでしょうか?本当にかっこいい。これもどちらかと言えば「やさしさ」に立脚したセリフですよね。それが刺さるの最高!!!

何が言いたいかと言うと!!いい界隈じゃん!!!!


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バーチャルAV女優のKarinです。 「性別に囚われず好きな仕事のできる世界」を目指して、男性向けセックスワークをやっています。