カミーノ 5日目 テコ入れ

2019.05.23

テキトーなことばかり書いていたのでテコ入れ。とはいえ、メモしてるだけでまだ載せてないのもある。記録なので、時間あるときに掲載しよう。テキトーな内容だけど。

★まず旅の目的
・ブーツを仕上げること
・見つからないものを見つけること
・生きていることの証明
・達成すること
・心を強くすること

カッコつければこんなところか。二つ目三番目はゲームの受け売りだけれども。

★本日のできごとの一部
まとめあり。

さて今日は、プエンテラレイナからエステージャまで約22キロ歩いた。道中、この旅で知り合った人たちと追い抜き追い越したりした。

そのうちの一人、チコちゃん。日本人。もちろん名前に ちこ が付くからその呼び名だが、ちっこいので ちっこいチコちゃん でも覚えやすい。彼女はもう私のお母さん並みに生きている方らしいのだが、何かと気にかけてくれるし凄いいい人だ。これまでも石鹸をくれたり絆創膏をくれたりトイレットペーパーをくれたり情報をくれたり、貰ってばかりでほとんど返せていないのが、私の罪だ。
一度追い抜いたチコちゃんに、私はもう一度出会った。坂の上の村に着いた際、疲れと水不足でバルに入ったのだ。その結果、いつのまにか抜かされていた。私はまぁまぁ大きい方の 巨人、彼女はちっこい 小人。普通に歩けば私は早いが、追い抜かれた。ウサギとカメ の話を思い出し、案外リアルな話なんだなと可笑しく思った。
二度目の彼女を追い抜こうとした時のこと。さくらんぼいる? 彼女は言った。えっ? 私は2つの意味でそう言った。1つは何でさくらんぼ?もう1つはまた貰ってしまうのか、という戸惑い。 道中たまたま実がなってるのを見つけたから一緒にいたおばちゃんとかっぱらったんだ、嫌でなければどうぞ。 そういう彼女の言葉に甘えて、私はありがたく4粒頂戴した。すごく甘いわけではないが、みずみずしくて歩き疲れている身体にすぅーっと染み渡った。人の優しさと自然の恵みの有り難みも、しみじみ染み渡った。

もう一人は、うらら だ。こちらも日本人。彼女は2日目3日目が同じアルベルゲで結構話した。元気でボーイッシュ、笑顔が可愛らしい楽しげな女の子だ。道中、丘の上に佇む小さな村で巡礼手帳にスタンプを押していると、あとから うらら がウルグアイ人・フェルナンド とともに現れた。彼女は流れるようにスタンプを押すとそのまま私を追い抜いていった。交わした挨拶は オラ だけだった。
二度目に彼女とあったのは、坂の上の村に着いた際、疲れと水不足で立ち寄ったバルの中だ。彼女も水不足で休憩がてらコーヒーを飲んでいた。私もコーヒーを注文し、出てきたエスプレッソを持って適当に席に着こうとすると、向かいの席を叩きながら彼女は私の名前を呼び、座るよう促した。私は ありがとう と言い、向かいに座った。肩の荷が文字通り降りたこともあり、彼女との会話を楽しんだ。バルを出ると、彼女は瞬く間に小さくなった。

最後に3人目、ジョナサン。スウェーデン人で、3日目4日目が同じ宿だった上に、どちらも向かいのベッドでなかなか意気投合した。言語はできないのでフィーリングの会話ばかりだけれど、何とか伝えようとする私の心意気に彼も一生懸命聞き入ってくれた。私が休憩した坂の上の村、に向かう坂を はぁはぁぜぇぜぇ 言いながらおよそ両足の腱を切られながらもピラミッドを登り通したシュウさながらに坂を登りながらつと振り返ると、彼が微笑みながら登ってきていた。いつからいたんだ?と思いつつ、 やぁ!奇遇だね! 私は言った。彼は そうだね!足大丈夫? と気遣ってくれたので、 割といいかな。君は疲れてないの? と返す。 あんまり!休みながら歩いてるからね。君も休んだ方がいいよ! じゃあ! 彼は爽やかに、しかし坂道と感じさせない軽やかさで登り去ってしまった。 丘の上の村に着いたら休憩しよう、私は心の中で固く決心した。

おまけにもう一人。リラ、もしくは、ニナ。彼女は昨日のプエンテラレイナで知り合った。両脚ズル剥けそら豆かかと をさらけながら街を歩いていると、 それ大丈夫? 声をかけてくれたのが、彼女だった。 クリームとか持ってないの? と気にかけてくれる彼女の心配そうな顔は、可愛らしくもあり慈愛に満ちた顔のようにも見えた。 持ってないんだ 私はあたかもやってしまったようなジェスチャーと苦笑いを浮かべながら返事をした。彼女は、あたかも私がやってしまってるね、というようなジェスチャーと苦笑いを浮かべながら 着いてきて。塗り薬持ってるから。 そういう彼女の両のかかとには、とても大きな絆創膏が貼られていた。 ありがとう、とても助かります そう答えながら彼女の後をついて行ったのだった。
宿は別だったこともあり出発時間も異なったのだろう、道中彼女とは遭遇しなかった。彼女との荷度目の再開は、今日の目的地・エステージャの宿の中だった。先に到着していたのは私だったが、先に私に気がついたのは彼女だった。 足の調子はどう? 自分の足も辛いだろうに真っ先に心配してくれる彼女の優しさに ああ国籍は関係ないんだな と感動したりしていた。
しかし、私は 昨日よりは調子いい、ありがとう! と自分のことしか答えられなかった。ので、日本から持参していた和柄の折り紙で折り鶴を作ると、ぺらぺらの折り紙一枚と折り鶴を持って彼女の元へ行き 私は日本人、そしてこれはジャパニーズ折り紙、これがこうなった。 と言いながら折り鶴を見せた。 ドゥーユーウォント?欲しい? あってるか分からない英語で話しかけると ぺらぺらの折り紙を見せていた時はぽかんとしていたものの、折り鶴を見て喜んで受け取ってくれた。言語はなくとも心が近づいた瞬間の一つだろうか、と少しメルヘンチックに考えた。

他にも美しい景色とか、やっぱりかかと痛いよね、とか、ファンタジックなシーンとか、いろいろあるけれど、毎日がそれの連続なので、今日は割愛しよう。これだけでも素晴らしい1日だったな、と今は素直にそう感じていたい。


★まとめ
5日目にして、すでに知り合いもでき、そういう人たちとの思い出をさらに築き上げられて嬉しい。そう思った日。