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カメラマン直伝?こども写真館攻略術(20220914追記


はじめに。

広告業界で5年、全く畑違いなこども写真業界に移り住んで5年。
いわゆるプロカメラマンになってはや10年。

そろそろ写真を語ってもバチは当たらんだろう、と。勝手に語ります。

巷に稀に生息するカメラマンという「へんないきもの」は、写真で人の役に立ちたいのです。では、僕の今属する世界について語りましょうぞ。

それもずばり、「こども写真館の攻略術」です。

主に年間300組以上の家族を撮影させてもらっている経験を元に、僕の主観で書き綴ってはいますが、ベテランのアシスタントさんやお客さん含め、親として大先輩なママさん、パパさんから教わった事に重きを置いてまとめます。
あくまでも僕が現在写真を撮っている奈良県橿原市の写真館、
TOOLS Sarah House」での撮影を前提に書いてはいますが、同じようなハウススタジオ型の写真館(第三世代写真館とか言われます)では通ずるところもあるかもしれませんので、お暇ならご一読いただけると喜びますし、もしお役に立てたのなら飛んで喜びます。



どんな撮影にも使えるコツ

知っていれば全然違う!
マタニティにお宮参り、七五三に成人式。
何を撮るにも共通するコツをまとめます。

撮影前日までの準備編

・家族みんなに予定を共有しましょう
家族みんなのイベントにできているかは大切です。
案外こどもたちには直前まで知らせずに、なんてご家族も多いですが、これは悪手。突然知らない場所に連れて行かれ、知らない人に囲まれ、家族もいるけどその家族含めみんなから笑顔を求められる・・・うーん、大人でも無理ですよね。
それを専門にする仕事あるくらいです。そうです、モデルさんたちなわけです。専門職があるくらいには難しい事なのです。
みんな一緒に写真を撮りに行こう!という前提があるだけで全然違います。

みんなの楽しみにしてもらえると僕らもうれしいのです。

・何を撮ろうか・・・
いつもうまく撮影を楽しまれているリピーター様たちに共通する特徴。
それは必ず撮りたい内容を家族みんなで1、2つ決めておく事。
それが家族みんな一緒の「遊び」になります。
お子様はそれだけで楽しんでくれるそうです。なるほど。
なによりみんなで写真を見返した時に思い出話になるのがいいですよね。

お子様がノリノリ。

・予約時間がこどもたちの生活リズムに合っているか
こどもたちが元気な時間か?これも意外と見落としがちです。
遊び疲れていたり、お腹が減って機嫌が悪い・・・撮影の前から難易度爆上がりです。こどもたちの元気な時間に合わせましょう。
特に赤ちゃんや七五三の撮影では要注意です。
朝早すぎたり、逆に夕方だったりする場合は、前々日くらいからお昼寝やごはんの時間を少しずらしてあげることで調整してあげましょう。

勝負の撮影当日編

・撮影前の食事は控えめに
お腹が膨れますし、眠気やだるさに繋がります。
特に七五三や成人式はお着物で強く圧迫されるので、撮影中に気分が悪くなるなんてことも。

・おやつや飲み物を持って行こう
撮影は大人もこども結構疲れます。特にのどはカラカラになります。撮影の合間におやつや飲み物をとって休憩しましょう。
ただし注意点も。
・色の強い飲食物は避けましょう
 舌に色がつきます。チョコとかえらいことになります。
・口に残るものは避けましょう
 特にソフトキャンディとかグミとかですね。
 撮影中ずっともぐもぐ・・・。

・撮影中の待機場所
カメラマンの真横がおすすめです。
お持ちのスマホやカメラで写真を撮りましょう。カメラマンの近くはベスト撮影スポットでもあるのです。ただカメラマンが急に動く場合がありますのでご注意を!
その際、しゃがんだりして目線をお子様の目線の高さに合わせていただくことでお子様は安心してくれます。もちろん大人の皆様の撮影でも同じです。緊張しているようならあえて見ないというのも効果的。
ちなみに、カメラマンやアシスタントより前に出てしまうと影が入ったり、お洋服の色(特に赤や青の原色)が反射し写真が汚くなる場合なんてことがあります。この辺りはカメラを趣味にされている方でないとピンとこない注意点ですね。「光の魔術師」と自称しているカメラマンもいるくらい、綺麗な写真を撮るために一番大切なのは光で、写真で一番難しいのも光のコントロール・・・カメラマンの立ち回りはその光を意識したものなんです。そういった面からもカメラマンの真横は安全な待機場所なのです。

大人が揃わない?集合写真のカオス編

実は難しい撮影です。特に油断している大人のみなさま・・・。
カメラマンはお子様のタイミングに合わせて撮影します。そこに大人の皆さまの目線が揃うのを待っています。こどもたちの様子が気になりますが、カメラから目を離さずに。パパママにご両家のじいじとばあば、こうなると、もはや主役のこども達より目の数多いですからね。
また、緊張はこどもたちにうつるのでリラックス、リラックス。いちばん緊張している大人の方はもれなくカメラマンかアシスタントがイジります。 

もちろん、こんな写真は例外ですよ!
バラバラだからいいってパターン。

「笑って」それは禁断の呪文編

カメラマン、アシスタントたちが戦慄する恐怖の言葉・・・。
写真撮影って緊張しますよね。プレッシャーが大敵なんです。
例えば、プロのモデルさんの撮影でも表情に指示を出すタイミングって一番見極めが難しいんです。今の感情がそのまま表情になっているわけですから、その感情を否定することになるんです。なのでカメラマンやアシスタントも要所以外は使わないようにしてます。
大人でも知らない場所で大勢に囲まれて笑ってと言われて笑うのは難しいです(そんな状況怖いです)。お子様なら尚更・・・大混乱です。特にこれがイヤイヤ期や反抗期の真っ盛りだと・・・。
こっそり変な顔をしたり、変なことを言ったり、遊んであげましょう。
緊張がほぐれていつもと同じ表情を見せてくれたら大成功です。

やっぱりパパママと一緒が楽しい。
つぶしちゃえー!って遊んでもらってるんです。

「いつもできるの・・・」と肩を落とさないでください。「いつも」と違う状況なのです。
目の前に大きなカメラを構えたカメラマン、アシスタントがいます。これだけでも緊張します。加えママ、パパ、兄弟姉妹、じいじにばあばもいるかもしれません。
自分より大きな大人たちの壁が、自分を取り囲んで注視している・・・しかも全員がいい表情を期待して、どうしてこうして、と右から左から言葉が飛び交います。
こうなったら主役さんは大混乱、もう誰の言葉も届きません。
みんなで「いつも」と同じ環境を作ってあげましょう。それができると「笑って」も「ニコニコ」も楽しい遊びになります。


不安でいっぱい七五三撮影

もっとも写真館利用が多い撮影項目になります。
写真館に慣れていないご家族はそれはもう苦戦必至。
でも案外簡単なことで大成功する撮影でもあります。

一番大切!撮影までの準備編

そもそも着物は着れるのか?そこからの勝負となるのが七五三撮影。特に3歳七五三は、数ある撮影の中でも最高難易度と言って差し支えない難しさを誇ります。
大人でもしんどい着物を3歳さん(数え年なら2歳!)がお着付けされるわけです。着れても安心できません。着続けられるのか、最後までご機嫌でいれるのか・・・?
家族の眩い期待を一身に受けるのはイヤイヤ期真っ盛り、不安定の極み、俗にいう「魔の2歳児、悪魔の3歳児」。あえてここを避けて「天使の4歳児」で撮影をされるご家族もあるほど・・・。
そこで、強者ママさん直伝の必勝法をお教えいたしましょうぞ。

・ある意味、洗脳(最重要!)
一番効果的なお着付け対策。すごく単純ですが、お着物に慣れておく事。
具体的には、撮影の前にアニメやバラエティのお正月特番や成人式、時代劇などでお着物を一緒に見る機会を作る、それだけなんです。
特に、晴れ着をまとったアニメキャラクターはとても強力です。
かっこいいね、可愛いね、着てみたいね、そんな会話をご家族でしましょう。これだけで楽しく着てくれちゃうんです。

・無理のないスケジュールを
七五三のお詣りと同日に撮影を希望されるご家族が多いですが、可能なら別日で。なんてったって疲れます。撮影前にお詣りなんてしたもんなら、それはもう大人もこどももクタクタです。撮影後にお詣りだと、撮影はうまくかもしれません。が、お詣りが大変だった・・・そうみなさまおっしゃられるのです。対策としてはコンディションの調整を事前に徹底していただくしかありません。半分運みたいなものですが・・・

・前撮り・後撮りシーズンがおすすめ
もちろん年中七五三撮影は可能なのですが・・・。
7、8月の夏真っ盛り、こども達は元気な季節ではあるのですが、お着物は暑く苦しい、おまけに汗もかく・・・さらに連日のプールで真っ黒。この辺りを嫌われる方は夏場は避けたほうがいいですね。
あといわゆる11月前後の七五三本シーズンもできれば避けていただいたほうが、というのが本音です。というのも前撮りや後撮りの方がお得な設定ですし、そのうえ予約が取りにくかったり・・・。さらにはこどもたちが体調も機嫌も崩しやすい季節でもあります。
暑すぎず寒すぎない季節が撮影に最適です。具体的には2月下旬から6月初旬、春先から梅雨前あたりが一番オススメです。涼しくて撮りやすですし、予約も比較的に空いています。
なのでカメラマンもアシスタントも元気です

全てが報われる瞬間!撮影当日編

3歳さんには難しいポーズも大成功!

お着物に慣れておく事の威力は凄まじいので着付けまでは特に苦労しないかもしれませんが、まだ油断できません。

・選ばせてあげる
こどもたちが「これがいい」と選んだ着物を着せてあげるとより成功の可能性は上がります。特に3歳さんはこだわりが強く芽生えはじめた時期でもあるので、そのこだわりを尊重してあげることで悠々と袖を通してくれるでしょう。
逆にここで、断ってしまうと一気にテンションが下がってしまうことも。

・求めすぎない
着物が着れた!ご家族の皆さまのテンションも最高潮です。
いろんなポーズ、いろんな表情を見たい!しかし、求めすぎてはいけません。知らない場所、知らない人たち、知らない服。お着物の匂いって独特だったりしますよね。
お子様は、なんだかんだ無理をしているかも。少しのことで体調や機嫌が崩れてしまう、怖い七五三撮影あるあるです。褒めてあげながら気長に撮影を楽しみましょう。

5・7歳七五三の難しさ編

基本的にはさくっとお着付けまでは完了します。もうお兄ちゃんお姉ちゃんですね。ただ3歳さんとは違った難しさもあります。それは・・・

・恥じらい
油断していた大敵です。自分が注目される事、緊張が原因ですね。もちろんこの表情が撮れるのも七五三撮影の醍醐味でもあるのですが、このままでは不自然な写真ばっかりなってしまいます。ご家族みんなで写真に入ったり、ふざけてみたり、とにかく緊張をほぐしてあげましょう。
一旦主役を変えて兄弟姉妹に注目したり、パパママでイチャイチャな写真を撮ったり(超オススメ)すると一気に解決するしたり。

・不安でいっぱい
期待を一身に感じているのは3歳さんも変わりませんが、分別がつく年齢です。特に7歳の女の子なんてカメラマンからしたら大人の方の撮影と何も変わりません。
みんなが楽しみにしていた晴れ舞台・・・そんな期待に応えられているのか、そんな不安で表情が曇りだします。家族みんなで褒めてあげましょう。かわいい!上手!それだけで表情は明るくなります。

逆に、緊張感ある撮りはじめは、
大人っぽい写真を撮るチャンスでもあります。


より思い出深い写真を残すために

僕がこども写真を撮りはじめて気づいた「写真」の本質。
・・・これだけでちょっとポエム臭いですが、僕が写真を続けている理由もここにあります。

絶対に撮っておきたい写真・・・普段着?

僕が何よりおすすめするのは「普段着」。貸衣装も準備しているスタジオで写真を撮っていてこんなこと言うのも変ですが、どんな撮影でも絶対におさえておきたい服装です。もちろん大人の皆様の服装も。こどもたちの泣き笑いといった表情と同じくらい大切なんです。というのも、写真の本質は記録であり記憶です。見返してあの頃の思い出に触れるというのが家族写真の醍醐味です。それが近い将来でも遠い未来でも。

 「いつもこのTシャツ着てたよね」とか、

 「この靴がお気に入りだったんだ」とか。

写真を見ればあの頃のこどもたちに会えます。
では、こどもたちがその写真を見て、あの頃の誰と出会うのでしょう。
写真は時間が経てば経つほどに、その意味が深まります。
いずれ、こどもたちが大人になったとき・・・パパやママになっているかもしれません。では大人の皆さんはじいじかばあばですね。もうお孫さんが家族の主役になってるのでしょうか。でも、あの頃の家族がそのままそこに残っているんです。みんなでその写真を見てどんな会話をするのでしょう。素敵ですよね。
そんな楽しみが写真にはあります。

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