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入門歯科保険診療-カルテの書き方- 「初診」

歯科の保険診療のABCを解説する不定期連載です。カルテの記載方法、カルテメーカーでの入力方法などを解説していきます。研修医の先生や、新規、個別指導を控えた先生の参考になればと思います。


初診

患者さんが来院された場合、基本診療料として初診再診を算定します。まったく初めての患者さん(新患)なら、ほぼ間違いなく初診ですが、しばらくぶりに来院された患者さんは、それが初診なのか再診なのかを判断しないといけません。

研修先などでは、「1枚(月)空いたから初診だね」とか「前回歯管を取ってるから2枚(月)空かないと初診にならないなぁ」とかと聞いて、漠然と「初診はひと月空けないと算定できない」とか「歯管とったら2月空ける」と覚えているかと思います。あるいはレセコンに指示されるままに選択しているかもしれません。

でも、これって結構危険です。特に歯周が絡んだ場合、ある日突然、数ヶ月分とか何十名分の返戻がどさっと戻ってくるなんて事例がありますので、ここで一度、初診か再診かのルールを再確認しておきましょう。

ちなみに最初の会話で「1枚」とか「2枚」とか言ってるのは「レセプトの枚数」です。保険絡みの会話で1枚、2枚といったらレセプト単位の話だなと思ってください。

初診のルール

初診に関連する主要な点数表、留意事項、通知等(ルール)を以下にピックアップします。

  1. 患者の傷病について歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合に算定する。

  2. 1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合は、それらの傷病に係る初診料は併せて1回とし、第1回の初診時に算定する。

  3. 同一患者について1月以内に初診料を算定すべき初診を2回以上行った場合は、初診料は1回とし、第1回の初診時に算定する。

  4. 患者が任意に診療を中止し1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合は、その診療が同一病名または同一症状によるものであっても、その際の診療は初診として取り扱う。

  5. 歯科疾患管理料(歯管)又は歯科疾患在宅療養管理料(在歯管)を算定した場合は、管理計画に基づく一連の治療が終了した日(患者が任意に診療を中止した場合も含む。)から起算して2月以内は再診として取り扱い、2月を超えた場合は初診として取り扱う。

  6. 歯管を算定し、管理計画に基づく治療が終了して2月を経過するまでに、当初の疾病管理を行なっていた時には予想していなかった外傷等の新たに生じた疾病については、当初の初診より1月以上を経過している場合は初診料を算定して差し支えない。

  7. 4、5にかかわらず、次に掲げる場合は、初診として取り扱わない。
    イ 欠損補綴を前提とした抜歯で抜歯後印象採得まで1月以上経過した場合
    ロ 歯周病等の慢性疾患である場合等であって、明らかに同一の疾病又は負傷に係る診療が継続している場合

  8. 患者が違和を訴え診療を求めた場合は、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合であっても初診料を算定する。

  9. 自覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が特に治療の必要性を認め治療を開始した場合は、初診料は算定できない。

  10. 労災保険、健康診断、自費等により傷病の治療中は、医療保険給付の対象となる診療を受けた場合も、初診料は算定できない。

まぁ、ルールの原本なので難解というか意味不明な役所言葉の羅列ですので(これでも以前よりはかなりマシにはなっているんですけどねぇ)口語訳というかもうすこし砕いていうと次のような感じですかね。

初診のルール(口語訳)

  1. 新しい傷病で受診したら原則初診です。

  2. でも、ある傷病を治療中に発症した新しい傷病での受診は初診ではありません。

  3. また、初診の日から1月以内に発症した新しい傷病での受診も初診ではありません。

  4. 患者さんの都合で1月以上空いてから来院した場合は、初診にしていいですよ。

  5. 歯管、在歯管を算定している患者さんは最終来院日(厳密には治療終了日あるいは患者さんの都合による中断)から2月は初診にできないけど、それを過ぎたら初診してもいいですよ。

  6. 歯管、在歯管を算定している患者さんで治療終了後、2月以内に怪我などの計画になく予測できない傷病で来院した場合は、初診にしていいですよ。

  7. とはいっても、抜歯してから同じ部分の補綴を開始するまでと、歯周病などの慢性疾患を治療している時は、患者の都合だろうがなんだろうが関係なく初診にはできません❗️

  8. 患者さんが何かおかしいって来院してきて、結果なんの異常もなく診断名がつかなくても、来院したのなら初診でいいですよ。

  9. 市町村の歯科検診、自分が担当している学校や施設の歯科検診、歯科の健康診断などで見つけた傷病で治療を開始するときは初診ではありません。

  10. 自費での治療中あるいは定期検診中、労災で治療中で、他の部位などに保険対象の治療を開始する場合も初診とはとれません。

こんな感じでしょうか。ちなみに流行りのChatGPTで要約すると

ChatGPTさんにお願い

1、傷病の初診料:
・初めて患者が診療を受ける場合、それを初診として算定します。
・同一の保険医療機関で診療を受けながら、他の傷病が発生した場合、それらの傷病に係る初診料は1回であり、最初の初診時に算定されます。
2、診療の中断:
・患者が診療を中止し、1か月以上経過後に再び同じ保険医療機関で診療を受ける場合、その診療は初診として取り扱われます。
・歯科疾患管理料を算定した場合、管理計画に基づく治療が終了した日から2か月以内は再診として取り扱い、2か月を超える場合は初診として扱います。
3、初診料の例外:
・欠損補綴を前提とした抜歯で、抜歯後印象採得まで1か月以上経過した場合、初診として取り扱いません。
・歯周病などの慢性疾患で、同一の疾病や負傷に係る診療が継続している場合、初診として取り扱いません。
4、複数の初診料:
・同一患者について1か月以内に初診料を2回以上算定すべき場合、初診料は1回とし、最初の初診時に算定します。
5、違和を訴えた場合:
・患者が違和を訴えて診療を求めた場合、疾病の徴候がなくても初診料を算定します。
6、自覚的症状がなく健康診断:
・自覚的な症状がなく、健康診断のために受診した場合、初診料は算定できません。
7、他の保険給付と初診料:
・労災保険、健康診断、自費診療などで傷病の治療を受けている場合でも、初診料は算定できません。
8、予想外の疾病:
・歯管を算定し、管理計画に基づく治療が終了してから2か月以内に予想していなかった外傷など新たな疾病が生じた場合、初診料を算定しても問題ありません。

chatGPT

侮れません
こっちのほうがわかりやすいかも…(^^;

今回はここまで、次回から具体例でカルテ記載方法を含めて解説していきます。



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