ステーキを最初に全部切りわけるあなたはきっと長生きをする


めがねを外して見た景色 第13回 


かるがも団地のめがね担当 日野林が送る
短歌とエッセイの連載です。



こんばんは。

星野源は「夢の外へ」のあたりで1stアルバムと2ndアルバムを急いで借り、
今ではあたかも古参のファンです、みたいな顔をしているミーハー女こと、日野林です。

「くせのうた」は名曲ですよね。
「君の癖を知りたいが ひかれそうで悩むのだ」の歌い出しでもう勝ち決定。
癖、みたいな無意識の部分とか、習慣って、確かに不思議な魅力がある。



ステーキを最初に全部切りわけるあなたはきっと長生きをする


例えば、食べきりサイズのヨーグルトを食べ終わったとき、
右手にスプーン、左手にヨーグルトの殻を持っていて、
スプーンは流しに、ヨーグルトの殻はゴミの袋に、と思っているのに、
いざ体を動かしてみるとスプーンがゴミ袋に入っていて、
ヨーグルトの殻が流しに置いてある、なんていうことがよくあります。


わたしは、何か考え事をしていたり、授業を受けたりしている時、
左手で後頭部の左側当たりの髪の毛の付け根当たりをいじる癖があります。
あんまりいい癖ではないと思っているのですが、どうも直らない。
癖というものは概して意識の外にあるものだから当然と言えば当然なのですが、
気づいたらやっているし、いつやり始めたか全然思い出せない。


わたしは脳科学のことなんて全く知らないけど、
さっきまで書いてきたこともきっと、脳科学とか生物科学とか医学とかが分かる人に言わせれば
「脳神経が…」「電気信号が…」「脳内の化学物質が…」「体内のホルモンが…」みたいに
それなりにちゃんと納得できる説明をしてくれるような気がします。

       


テレビをつけると、いつの時間でもどっかのチャンネルで誰かがめちゃくちゃおいしそうな食べ物をほおばって、あらゆることばをかき集めておいしさを表現しようとしています。
あれめっちゃすごい技術ですよね。瞬発力、頭の回転、ボキャブラリー、表現力、すべてが試される。食レポとは、言語能力を測るテスト、知の最終決戦かもしれない。
でも、どんな食レポも、白い息を吐きながら、友達と満面の笑みで肉まんをほおばる女子高生には勝てない。女子高生が食っている肉まんこそがこの世で一番うまい食べ物だといっても過言ではない。ん?これだと語弊がありますね。

      

科学はすごい。説明不可能なものを解明することも大事。
言葉を与える事で安心できることはたくさんあります。
でもわたしは何だか、スプーンを間違えてゴミ袋に入れちゃったり、気づいたら髪の毛を触っていたりすること、
人生最大に悲しいことがあった日に食べたアメリカンドックの味、
そういうものに、説明は要らないかなあ、と思います。

説明や科学そのものを否定する気はさらさらないのです。
でも、なんでもかんでも説明して安心してしまうような最近の自分を顧みて、
いやいやもっと言葉にできないことを楽しまないとだめだよなあ、と思った次第。
言葉を使う者こそ、言葉万能信仰を捨てなければならない。

意味わかんない癖とか、おいしすぎて「やばっ」しか言えない瞬間とか、そういうのが愛おしいんだと思います。
わたしは人のそういうところに、無理にことばを与えることなくそのまま好きでいたいし、わたしのそういうところもそのまま好きになってほしい、自分でも好きになりたい。

    


あ、どう文章を締めようか悩んでいたら、また髪の毛を触っていました。
星野源さん、読んでいますか?わたしの癖はこれです。付き合ってください。

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めがねを外して見た景色(短歌+エッセイ)

かるがも団地のめがね担当 日野林が 日々ぐるぐると考えたことを短歌(初挑戦)とエッセイで綴ります。
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