真っ青のポロシャツ、ジーパン、白い靴 ハローマイプリンセスわたし


めがねを外して見た景色 第4回

かるがも団地のめがね担当 日野林が送る
短歌とエッセイの連載です。


梅雨が始まりそうですね。

雨の日を楽しむ精神は大事ですが、
どうしても気分が上がりません。

梅雨は着る服に困ってしまいます。
わたしは傘をさすのが下手くそなので、
何を着てもずぶぬれになってしまうのです。


真っ青のポロシャツ、ジーパン、白い靴 ハローマイプリンセスわたし


黒と白のギンガムチェックのシャツ。
生地をたっぷり使った黒のロングスカート。お気に入り。
真っ赤な靴下。
黒の合皮の靴。
白いトートバッグ。


これが、昨日のわたしの服装です。
わたしは服が好きです。


服が好きと言っても
わたしは古着を着こなす下北系おしゃれガールでも、
ショップ店員さんのような垢抜けガールでもなく、
郊外の芋臭い大学に通う、平々凡々な女でございます。
持っている服の3分の1くらいはUNIQLOだし。

それでも、日々の洋服を選んで着ることや、
洋服を買うこと、
大事な日におめかしをすることはわたしにとってすごく大切なことです。


わたしは、友だちとどこかにお出かけした日とか、好きな人とあった日とか、
久々に祖父母に顔を見せに行った日とかに自分が何を着ていたか、だいたい覚えています。

記憶を引き出すとき、気色とか、気温、風の感じ、匂い、そういうのと同じように、
自分が着ていた服も思い出されます。

服は、わたしの記憶を支える一つの要素だし、
そのとき、自分がどれだけ自分を大事にできたかの物差しでもあるように思っています。

成人式で振袖を着たり、
卒業式で袴を着たり、
表参道に行く日に気合を入れたり(こういうところが田舎者ですね)、
そういうことって、もちろんその日の見栄もあるのですが、
後から思い出したとき、その日の自分を愛せるか、
どれだけ大事な記憶になるか、ということに関係があるのではないでしょうか。


ただ、その日のおしゃれは、すぐには報われないことも多い。
せっかくいろいろ悩んで着ていったのに「いつもそういう色だね」とか言われちゃったり(ふざけんな、こちとら前日から悩んでるんじゃ)、
袖に付いたリボンが途中でほどけてしまっていたり。
わたしは一時間かけて準備してきたのに、寝坊した女友達の方がなんだか可愛かったりとか。

はーあ、もうやだやだ、
こんなことなら毎日ジャージでもいいじゃないかい、
とわたしの中のものぐささんがささやいてきます。


でも、ちゃんと選んだ、自分の好きな服を着ていたときの記憶は、
結構愛せる。きれいな記憶になる気がします。
思い出の中の自分が素敵な恰好をしていたら、
「ああ、このときわたしは、自分のために時間をかけたんだな」と思う。

今自分に絶望していても、
あの時の自分は、自分に少し期待していたんだな、
少なくともあの日の自分は、自分を見捨てていなかった。

そういう記憶で、今日のわたしは未来のわたしのために、
今日のわたしに手間をかけて、大事にしてあげられる。
どんなに嫌なことがあっても、なんとか生きていける。

うん、ちょっと長い目で見れば、わたしのおしゃれは大体報われています。

わたしはわたしのことがあまり好きではないし、
鏡を見れば全然美しくない顔が映って本当に嫌になるけれど、
記憶の中でおめかししている自分はまちがいなくチャーミングです。


今年の梅雨は、雨にもめげずにおめかししてみようと思います。
そうしたら、来年には梅雨が好きになっているかもしれません。


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めがねを外して見た景色(短歌+エッセイ)

かるがも団地のめがね担当 日野林が 日々ぐるぐると考えたことを短歌(初挑戦)とエッセイで綴ります。
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