すれ違う小学生が口遊む知らない歌に「さだめ」という詞


めがねを外して見た景色 第8回

かるがも団地のめがね担当 日野林が送る
短歌とエッセイの連載です。



生まれ変わったらなりたい人/ものは何個かあるのですが、
やっぱりaikoになりたいなって思うわけです結局。

あんなにうねうねしたメロディを
あんなに上手にパワフルに歌えたらそりゃあ楽しいだろうなあと思います。

いいよねえ、音楽。



すれ違う小学生が口遊む知らない歌に「さだめ」という詞


1日に音楽を聴いている時間ってどれくらいなんでしょう。


意識して聴いていない分も含めたら、たぶん相当な量の音楽に触れていると思います。

だってどのお店にいってもなんかの曲が流れているし、
テレビ番組をつけてもBGMとかジングルとかでたくさんの曲が流れているし、
道を歩いていても路上ミュージシャンとか、宣伝カーとかの音は聞こえてくるし、
わたしたちはきっと自分で自覚している何倍も、音楽を聴いて過ごしている。

で、気に入った曲があれば買ったり、レンタルしたりして
正式にわたしの生活のBGM、あるいはテーマソングに仲間入りするわけです。



わたしが入っている「かるがも団地」という団体は、実は劇団です。
わたしは中学生から演劇をやっています。

演劇なんて生産性もないし、非効率だし、費用対効果も低いし、
なんじゃいこの無駄が多いメディアは!とか思うのですが、
でもやっぱり、わたしは演劇がNo.1カッコいいしおもしれえと思っています。


うーん、でも、
音楽のこの携帯性とか、
生活に密着している感じに少し憧れています。というか、すっごく羨ましい。

自分が歌ったり、演奏したり、作ったりした音楽が、誰かの耳に届いていて、
しかもそれが、誰かの生活を盛り上げたり、慰めたり、寄り添ったりしているのって、とてもすごいことです。

昔の恋人のことは忘れても、
その人に教えてもらった曲はふと口ずさんでしまうこともあるかもしれないし、
ちょっと嫌いなあいつの歌声が意外と優しく寄り添ってくれるかもしれない。


うまく言えないけど、
それって本当に尊いことです。
音楽は、誰かの記憶のかなり深いところ、無意識のところで小さく光ることができる。


わたしは、そういう曲たちにたくさん彩ってもらってきた。
慰めてももらったし、
「わたしも同じ気持ちだよ」って言ってもらえた。
「そんなこと気にしてないでノろうぜ」って言ってくれる曲もあったし、
ただただ歌詞や メロディの素晴らしさに驚かされる曲もあった。


今世の中に存在するすべての曲がわたしにとって大事な曲なわけではないけど
誰かにとって大事な曲である可能性はある。
これから大事な曲になる可能性もある。

だから音楽も
音楽を生み出している人も、
みんな本当にカッコいい。演劇の次にな。


わたしの文章や、わたしがいつか舞台上で発した言葉も、
あの曲みたいに、あの曲ほどじゃなくていいから、だれかの記憶のちょっと深いところに居座れればいいなあ。おこがましいかな。

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めがねを外して見た景色(短歌+エッセイ)

かるがも団地のめがね担当 日野林が 日々ぐるぐると考えたことを短歌(初挑戦)とエッセイで綴ります。
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