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カリフォルニア州の非現実的な電力政策(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Sebastian GansoによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/mrganso-607585/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2742302

 2022年9月15日にヘリテージ財団は、カリフォルニア州が推進している環境政策と電力政策の現状に関する記事を発表した。内容は、温室効果ガス排出削減のために再生可能エネルギー発電を推進した結果、電力網が不安定となり、電力を他の州から輸入せざるを得ず、更には電力価格がアメリカ最大となっている悲惨な現状を概観するものである。
非現実的な電力政策の行きつく先をよく示した記事となっていることから、参考として概要を紹介させていただく。

↓リンク先(California Is Both Increasing Electrical Demand and Cutting Off Access to Electricity Sources)
https://www.heritage.org/energy-economics/commentary/california-both-increasing-electrical-demand-and-cutting-access

1.本記事の内容について
 ・カリフォルニア州は様々な点において、世界の先駆者たる地位を確立しており、環境政策においてはその最先端を行っていると言えるだろう。ただ10か所の電力網の危機及び頻発する電力緊急事態宣言により、エネルギー及び気候変動政策については、もはや撤回を余儀なくされる状況に陥っている。
 ・カリフォルニア州政府が2035年までにガソリン車を禁止する規制を制定した2週間後、電力網管理者から停電回避のため節電警告を受ける事態になった。これは記録的な熱波によりエアコンなどの電力需要が増大したためであるが、カリフォルニア州はしばしば熱波に見舞われる地域であり、電力網の安定性を確保するために考慮に入れておくべき要素である。
 ・カリフォルニア州は、あらゆるエネルギーを電気に転換しようとしており、以下の政策を推進している。
①    2035年までにガソリン車を廃止し、トラックについても2045年までに廃止することとしている。
②    2024年からは、ガソリンを使用する芝刈機なども廃止される。
③    一部の地域についてはガソリンスタンドや、天然ガスを利用する家庭用の暖房や調理器具なども廃止する。
④    電気自動車の購入に対して、最大4500ドルの補助金を連邦政府の優遇税制に上乗せして支給する。
 ・その他、2045年までに温室効果ガス排出ゼロの経済実現、天然ガスパイプライン建設の禁止、ガス田・油田への強固な規制などの政策を推進している。更に2030年までに再生可能発電量を50%以上とする目標を立て、ここ10年で石炭火力発電所をほぼ全廃し、天然ガス発電所は5ギガワット分削減してきた。その一方、原子力発電所は2ギガワット分削減し、最後のディアボ・キャニオン原子力発電所も廃止されようとしている。(ただ最近になって14億ドルの借入金拠出が可決され、今後5年に限って稼働することが認められた。)※排出量の削減計画については図1参照

 ・ここ10年で風力発電及び太陽光発電の電力量は17ギガワット増加したが、定格の容量に過ぎず、実際の発電量と合致しない。太陽光発電は夕方や需要増加時にはほとんど役に立たず、直近の電力ひっ迫警報は午後4時ごろに発生しており、最終的には天然ガスや石油発電で不足を賄っている状況である。
 ・電力網管理者は、カリフォルニア州の発電量が熱波に対応できないことを理解しており、不足分の20%から30%については他の州から輸入する事態に陥っている。これはアメリカで最大級の輸入量であり、このまま再生可能エネルギー発電を推進すると、ますます気象変化に弱くなる。このような先例があるにもかかわらず、バイデン政権は過剰な環境政策を推進し、アメリカの電力に危機をもたらしている。カリフォルニア州は電力網が不安定になるだけでなく、アメリカで最高値の電力料金になっている。たとえ全ての温室効果ガスを削減したとしても、今世紀末までに世界の気温は全くと言っていいほど下がらないのであり、効果がほとんどない政策に命を懸ける必要はないのである。

2.本記事読後の感想
  ウクライナ戦争で化石燃料の価格が高騰するに伴い、再生可能エネルギーの欠点が浮き彫りになってきたが、バイデン政権やEUなどの非現実的な左翼政策を推進したい勢力はこういった現実を見ていない。
イギリスのトラス新首相は行き過ぎたエネルギー政策を転換するとしており、日本も原発の再稼働にある程度舵を切るなど、化石燃料や原子力の重要性が再認識されるようになっている。インドや中国は石炭火力発電所の増強に努めており、南アフリカは小型原子力発電所の建設を推進するなど、真に賢明な国は現実的なエネルギー政策を放棄したりはしない。
 日本は愚かな政権にお付き合いする必要はなく、表向きだけいい顔をして実利を追及するだけでいい。天然ガスのEUへの融通などについても大きな条件を突き付け、今までの火力発電所批判のお返しをすればよいのである。今年ももうすぐ冬を迎えるが、冬を大過なく乗り切るには、暖房燃料価格を低く抑制することが必要である。エネルギー価格は人命に直結するため、今からできることを政権には期待したい。

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