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アメリカ政府のAI活用に関する基準に必要なことは(LAWFAREの記事)

写真出展:Evgeniya BondによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/evgeniafor-2644777/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2704621

 2024年3月28日にLAWFAREは、アメリカの政府によるAI活用の基準策定に関する取組についての記事を発表した。内容は、大統領令やNISTなどによる基準策定の状況を概観し、今後のあるべき政策の方向性を提示するものである。AIに関しては様々な基準が提示され始めているが、まだ初期段階にあり、手探りの部分が多い。このような中アメリカは一歩先んじた動きを見せているが、それでもなお不十分な部分が残っているのである。今後の科学技術政策の方向性を考えるうえでの参考として本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(For Government Use of AI, What Gets Measured Gets Managed)
https://www.lawfaremedia.org/article/for-government-use-of-ai-what-gets-measured-gets-managed

1.本記事の内容について
 ・バイデン政権はここ数年、政府によるAIの利用に関する各種文書を大量に発出しており、AIを重視していることが見て取れる。政府がAIを利用するに際して明確な基準が必要であることは当然であるが、あるAIが政府の基準を満たしているか否かを判断することはまだ困難な状況である。このような中、NISTのAI安全研究所の創設は大きな一歩であるが、十分な予算を計上する必要がある。
 ・2023年10月30日、バイデン政権はAIに関する大統領令を発出した。この文書は行政予算管理局のガイダンスと併せて作成されており、政府によるAIシステムの調達や活用に関するガイドラインとなっている。しかしながら、定義や条件を適用することは大きな困難を伴う。
 ・AIの検証の困難さを理解するには、水質検査を例にとるとわかりやすい。水の安全性を確認するためには、何が含まれていると危険なのか、どのように検証するのか、どこまでを許容範囲とするのかの3つの基準を明確にしておく必要がある。環境保護庁は水の安全性1つであっても大量の検査項目を提示しており、この項目は長年に渡る研究に基づいて決定されているのである。
 ・この点、AIを検証する基準についてはまだ初期段階にあると言える。例えば、天候が良い日に十分な機能を発揮する自動運転のAIが、風雨の日にも問題なく稼働するか否かは不明確である。水質検査に例えると、いくつもの検査方法があり、しかもどの微生物なら許容可能なのかについての明確な基準がないようなものである。
 ・NISTの枠組みや参考資料も様々な基準を提示しているが、それでもなお曖昧さが残っている。AIシステムの検証方法について様々な方法が提示されており、企業にとっては非常に参考となるものであるが、個々に提示されている項目は確立された基準にまでは至っておらず、十分なものになっているとは言えない。これは手探りの部分が大きいこともさることながら、NISTの予算不足によるところもある。議会はNISTをAIの先導役にしたいと考えているが、庁舎の老朽化が著しく水漏れや停電などが発生し、維持管理予算にすら苦労している現状がある。
 ・AI安全研究所の予算は、上院の法案ではたった1,000万ドルである。イギリスの場合は1億ポンドであり、もし議会がAIに関する政策を推進したいのであれば、少なくともこれ以上の予算を計上するべきである。また現在の基準をより地に足の着いたものとしていく必要があり、そのためにはAI安全研究所の強化から始めるべきだろう。

2.本記事読後の感想
  羊頭狗肉と言うか、政府の声高な宣言に反して十分な予算が割り当てられていない事業は以外にも多い。科学技術政策はその最たるものであり、
日本だけでなくアメリカでも同様の問題があるわけだが、アメリカの予算規模は相対的に大きく、日本よりもましである。財務省ごときに牛耳られている自民党政権では、将来の投資になるような予算編成など全く期待できない。  
  このことについて、日本人は危機感が足りていないのではないだろうか。裏金問題で権力闘争をしている間も、世界は大きく動いている。こんなつまらないことで権力に空白を作り、法案の審議を遅らせる余裕などないはずである。国民がもう少し賢明にならなければ、物事は進まない。危機感を持って権力に対峙するべきであり、エンタメ感覚で政治を見るべきではない。

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