見出し画像

結婚式をデザインしたら、儀式儀礼の未来を考えることになった

デザインリサーチャーの浅野翔です。2018年5月某日に名古屋市・有松にて、親族のみの小さな結婚式をおこないました。デザイナーとして友人の結婚披露宴に関するデザインをしたときもですが、そもそも「結婚式ってなんでやるのか」と深く考えたことありますか?

僕自身、友人の結婚式に参列した時に、「ブライダル産業は形骸化している…。」とドライな気持ちで、にぎやかな出来事をどこか遠くで見ていたのが事実です(ごめんね)。個性が出ているなと思う紙ものも、カタログから選ぶ引き出物も、ほとんどの人が「そういうもの」として受け止めているのではないでしょうか。

さらには、超ド級の少子高齢化に伴う縮小する共同体や、シェアハウスやLGBTなどさまざまなかたちの共同体が生まれつつある現代で、「結婚式」はもっとバージョンアップされる必要があるんじゃない!?という考えに私は至ったのです。

日本は、古代→中世→近代と時代が変化する中で、貴族間の自由な恋愛や家族観や荘園のような「土地」、武家社会を中心にした「血縁」という概念が生まれたようです。明治維新以降は、職業や家系などのしがらみから離れ、さらに交通や情報が発達して土地からも脱却できる現代では、個人間の問題と捉えるようになってきたとされています。

「儀式/儀礼」としての結婚式は、食・衣装・空間など日常と切り離された非日常 体験をともに共有することで、それぞれの共同体を半分リセットして、超越的なひとつの共同体となっているのです。それでは、ネットを経由してゆるやかーに繋がった現代のわたしたちが所属するコミュニティは、土地や血縁といった旧来のネットワークやコミュニティとどのように結び付けられるのでしょうか。

SNSなどメディアという場や、カタチを変えて行われる非日常をどのように共体験することができるのでしょうか。そのような意識から私は、名古屋市・有松の伝統工芸である有松鳴海絞の白無垢や色打掛をお借りし、公式記録としては初めてとなる有松天満社での挙式をおこないました。この結婚式を個人的な関係で撮影してくださったケイスケさんや各関係者に協力いただき、写真とリサーチトピックをまとめた展示「絞婚―血と地をめぐる共同体のかたち」をおこなうことになりました。「血と地」というテーマを通じて、これからの結婚式という体験を考えるきっかけになることを期待しています。

概要
名 称|絞婚──血と地をめぐる共同体のかたち
日 程|2018年10月6日[土]、7日[日]、8日[月祝]
時 間|10:00-17:00(最終日のみ15時閉籠)
会 場|有松内 旧緑のカーテン(桝屋 角地)
入場料|無料
企 画|オープニング・ギャラリートーク(ゲスト:ケイスケ)
    結婚式をめぐる対話(ゲスト:道前美佐緒[名古屋文化短期大学 准教授])
主 催|浅野翔[合同会社 ありまつ中心家守会社]
協 力|有松文嶺講、株式会社 竹田嘉兵衛商店
フォトグラファー|ケイスケ

関連企画
・オープニング・ギャラリートーク
日 時|10月7日[日] 10:00-11:00
ゲスト|ケイスケ(フォトグラファー、ブロガー)

・結婚式をめぐる対話――儀式が超越する共同体のすがた
日 時|10月7日[日] 15:00-16:30
ゲスト|道前美佐緒[名古屋文化短期大学准教授]

マップ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?