2月20日発売『クイック・ジャパン vol.170』はサンドウィッチマン特集。
以下の記事で、取材執筆を担当してます。

・伊達みきおソロインタビュー
・サンドウィッチマン×久保史緒里対談
・バイきんぐ小峠英二が語るサンドのネタ
・狩野英孝による仙台出身芸人としてのサンド


伊達さんは語り口は淡々としているが、一言一言、重い。
「好感度ナンバーワン芸人」としての立ち位置の難しさ、
震災時に覚えた無力感と、惨状を伝えるためにあえて目に焼きつけた凄惨な光景、
芸歴25年を越えて、見据える未来。
当然ベテラン芸人としてのオーラもあるが、それ以上に50年近く生きてきた男のぶっとさに、インタビュー中は圧倒されっぱなしだった。
どこの地元にもいるであろう経験豊富な中年男性の圧が、小さな部屋を支配していて、それは腑抜けた僕がいちばん苦手としながらも憧れるもの。
真剣に生きてきた男の圧力。
かといって他者を威圧するわけではない。
海中に潜ったときに覚える、安心と不安の共存みたいな圧。
僕の考える男らしさのひとつは「伊達みきお」が体現していた。
かっこよかった。

仙台出身同士の「サンドウィッチマン×久保史緒里対談」は、地元・仙台への愛を溢れさせる3人が楽しそうでよかった。
原稿ではカットしたけど、対談中に僕が「自分は沖縄出身だけど、3人ほど地元に愛着を持ててないので、羨ましいです」とこぼすと、富澤さんがいちばん不思議そうにしてたのが印象的だった。
3人の揺るがない郷土愛が眩しかった対談。

サンドウィッチマンの盟友・バイきんぐ小峠と、同郷の後輩・狩野英孝インタビューもそれぞれありがたい機会だった。
『オモウマい店』の収録終わりで、すでにライダースに身を包んで若干気だるそうにしながらも、言葉を探しながら訥々と語る小峠さんもかっこいい。
狩野さんはリモート取材だったが、こちらの質問の意図を十二分に組んで話してくれるサービス精神あふれる人だった。

編集の山本さんの依頼で、特集冒頭のリードも書いています。
これがいちばん緊張した。ぜひ、読んでほしいです。
「こんなときこそ！　サンドウィッチマン　進化するガラパゴス芸人」
いい特集タイトル。「こんなとき」ってどんなときなのか、それはリードにほのめかしています。

正直、昨年末からかなり落ち込んでいたので、「サンドウィッチマン特集」に関われたのは本当にありがたかった。
「お笑い」に対して、常に憧れと反感のアンビバレントな思いを抱いているが、サンドウィッチマンはそのあわいをうまくかいくぐって自分の心にスッと入ってきてくれる、稀有な存在だった。
この特集を通して、それに気づけたのが自分にとっていちばんの収穫だ。

『クイック・ジャパン』では、2020年8月発売のvol151 「かまいたち」特集で、はじめて仕事をした。
当時はまだコロナ禍に入ったばかりで、ライター業も大変な頃だった。
昔から勝手に遠くで慕っている九龍ジョーさんが、当時編集部にいた小林さん（後に編集長、今は退任）を紹介してくれた。
自分が参加する前は『クイック・ジャパン』という媒体に読者として複雑な感情を抱いていたが（特に2010年代前半）、自分がかかわった記事は全部意味があったと思う。

以下、今までライターとしてかかわった『クイック・ジャパン』の記事。

・vol.151「かまいたち特集」アキナ山名インタビュー
・vol.153「次世代落語家研究所」特別版対談：立川吉笑×九龍ジョー
・vol.154「新しい語り手たちの声」松本穂香インタビュー
・vol.155「ハライチ特集」『ハライチのターン！』密着レポ
・vol.158「ラヴィット特集」「安くてウマくて○○な店」密着ルポ
・vol.159「みんなの引き継ぎ」魚豊インタビュー
・vol.160「練習のかたち」マキヒロチ インタビュー、怪奇!YesどんぐりRPG『AUN』優勝記念インタビュー
・vol.161「アルコ＆ピース特集」『アルコ＆ピース D.C.GARAGE』収録レポ
・vol.164「Ａマッソ特集」Ａマッソ×蓮見翔 対談
・vol.165「CHILL OUT×QuickJapan」タイムマシーン3号インタビュー
・vol.167「BiSH特集」セントチヒロ・チッチ インタビュー
・vol.169「Echoes of Career ～人気者の仕事遍歴～」ぼる塾インタビュー
・vol.170「サンドウィッチマン特集」伊達みきお ソロインタビュー、サンドウィッチマン×久保史緒里対談、バイきんぐ小峠英二インタビュー、狩野英孝インタビュー

『クイック・ジャパン』は今年で30周年。自分はそ10分の1の期間しか関わってないんだなと思うと、身が引き締まる。