まぼろしを待つ / 完全なQ体

私は虫を殺すように私を解体する
その過程、そのさなか
私のものではない舌が
私の口の中で死にたいと呟く

電線が夜の闇に潜んで機を伺っている
見上げると風
この町で毎晩ねこは死んでいる
この町の全ての釘は錆びている
ずっとまぼろしを待っていた

この何もない通りの
目の端で点滅する街灯の先
廃墟に破船の光を見つけるとき
記憶は荒れ果て、町は美しく腐ってゆく

二十二時
徐々に冷たくなってしまった
私の身体には銃が埋められていて
いつかそれは暴発するだろう、そのとき
私の臓腑を
私の四肢を
私の皮膚を
私のこえを
叫びと言葉が別れる前の歌を
あなたの住む南の国へ