私という下地にいくつかのためらい傷を / shakainu

生柔らかく、じんわりと染めるような薄桃色をベールで覆ったような白肌は、少女が自ら眺めたって心動かされるものでもなかった。
魔女は嫉妬し「白壁みたいね」と彼女に言った。

魔女の言う言葉が嫉妬であろうと言うことは、なんとなく分かっていた。
だが彼女は白雪姫ではない。森へ追いやられることもなく、彼女のフラストレーションが溜まり時は過ぎた。

彼女はこの肌が嫌になった。この身体でなければ魔女に嫉妬されずに済むだろうか、方法は分からない。
肌を痛めつければ誰も羨ましがることはないだろう、身体を手放したかった。

切れば溢れ出る真紅は乾ききった涙腺の代替品であるかのようで、生の匂いが強い。吐き出したかった。持っている生命、すべて。

魔女は言い放った。
「貴女の腕はバーコードでも付けたのかしら?」
次は何をすればいいのだろう。
虫にでもなったら、少女は殺されてしまうように夢想した。
それでもいいような気がしていた。