4:04 / 淡水

ひとりごとをもらせば
床が響くような夜である
めくった書物の一頁が音のつるを伸ばし
やがて、種子は時計の秒針にくだかれて
耐えがたい不安の香りと共に散乱した

僕の胸の中で おまえは増殖する
狼の群が 僕を懸崖へ追いつめる
白紙にインクが滲むようにじっくりと
不透明な不安が輝く天体を覆い尽くした
眼を閉じても なにも見えはしない
僕はひとりぼっちだ
いま 悲哀な虫の叫びなど聞きたくはない
どうか不断の問いに答えてほしいのだ

だれが狂っているのだろうか
合理的な思考が僕を苦しめているのだ
盲目な脳髄は矛盾を続けながら
しかし、合理的に
世界の一点に神を見出そうとしている

その箱を開けたのは 僕だったのだろうか
あらゆる言葉を死滅させる不在が噴き出したのだ
教えてくれ 星々はどこへ消えてしまった
教えてくれ この詩の意味はいったい

夜の果て それは
永遠に主体が否定される時間を
線分に分断する瞬間である

断絶 そして

一つの思考/生命が収斂される
剥製のように軽くなった時間は
いま その浮力によって太陽を上昇させる
一夜の終わりのように八月は突然おとずれた
ねっとりとした空気が全身をつつみこんで
遠くのほうで蝉の声が響きはじめる

僕は陽射しへ手をかざす
盲目な脳髄よ、太陽だ
目を覚ませ!
そして 進んでいくのだ
太陽に溶けあった 微睡みの世間を