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教えて大西さん、ピースワンコのこと㉘法を守れないなら退場しましょう

1、ガバナンスに懸念

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、神石高原町、大西健丞代表理事)は日本のNPOの中では最大級ということですが、これまでも見てきた通り、ガバナンスという点では問題が多々あります。

 最終的に起訴猶予となりましたが、2018年11月20日に広島県警生活環境課と福山北署がPWJの大西健丞代表理事夫妻ら3人を狂犬病予防法違反の被疑者として書類送検した際の容疑は以下の3つでした。

 (1)2018年3月31日、神石高原町内、福山市内または岡山県高梁市内において生後91日以上の犬25頭について狂犬病予防注射を受けさせなかった

(2)同年6月21日、同犬25頭について、市町村長から交付を受けた犬の鑑札を装着しなかった

(3)そのうち14頭について、注射済票を装着しなかった

 ちなみに、この時は県動物愛護管理条例違反の容疑もありました。2018年2月20日午後7時頃から21日午前8時頃までの間に、つまり従業員が帰宅した後に戸締りなどが不十分で、スコラ犬舎から犬12頭を逸走させてしまったのです。その後、まだ見つからない犬もいます。

 6月21日という日付は、県警がPWJ事務所や大西健丞代表理事自宅などを家宅捜索した日のことです。

2、法令違反発覚からまもなく3年

 PWJは2017年12月末に、すでに広島県動物愛護センターから狂犬病予防法で義務付けられた登録、犬鑑札の装着、狂犬病予防注射の接種と注射済票の装着を徹底するよう指導を受けていました。

 県警が強制捜査を始めたのはそれから半年もあとです。狂犬病予防注射は通常4月から6月の間に集中して実施することになっていますので、県から警告を受けていたPWJはなんとか県警捜査までの間に完了させておくことができました。

 しかし、犬の鑑札、注射済票の装着はいまもなお徹底されていない状態が続いていています。公開された行政文書で確認できる最初の口頭指導から3年近くたっています。

3、法令を守る意思はあるのか?

 PWJの保護犬事業はふるさと納税の交付金などで10億円をゆうに上回る収入があり、他の部門の赤字を埋めて余りあるだけの黒字を計上しています。鑑札や注射済票を装着するための首輪などを購入したり、凶暴な犬でも取り付けられるようにする設備を導入したりするおカネや時間は十分にあったはずです。
 
 それなのに、PWJはどうみても犬鑑札を装着していない犬を自慢のドッグランで遊ばせている写真を新聞やSNSなどで発信していますから、法令を守る意思があるのかどうか疑わしいところがあります。

 ドッグランの利用ルールでも、鑑札・注射済票の装着確認を明記せず、つい数日前までは「一歳未満の子犬なら狂犬病予防接種をしていなくても利用可能」という法令違反を助長するかのような注意事項も盛り込まれていました。犬を扱う動物取扱業者として幹部や職員の再教育が必要です。

4、「違反解消」~罪深い知事のウソ発表

 広島県はこれまで「PWJの法令違反は解消されている」とウソをついていました。

 例えば、県警家宅捜索後の2018年7月3日の湯埼英彦県知事の記者会見での説明です。

「(6月)28日に神石高原町と一緒に、動物愛護及び管理に関する法律に基づく立入調査をさせていただいて、その結果、調査時点では狂犬病予防注射が適切に実施されて、法令違反は解消されていたということが確認されております」

「今後の再発防止策についても適切に講じられていること、それから、犬の飼養管理の状況であるとか、あるいは施設の衛生管理の状況等も調査いたしまして、特段の問題はなかったということであります」

 そして、犬鑑札や注射済票の未装着という法令違反が残っていることを明かさないまま、県警捜査を受けて6月21日から停止していたPWJへの県動物愛護センター収容犬の引き渡しを会見の当日から再開すると発表したのです。

 湯崎知事が犬鑑札等の装着が不徹底であることに言及せぬまま「法令違反は解消」と説明したことで、PWJも神石高原町も「広島県の立ち入り調査によっても特段の問題がないと評価を受けている」などと説明して、法令違反が解消していないことの説明を避けることができました。

 記者会見の想定問答を作ったのは県食品生活衛生課で、法令違反を残したまま犬をPWJに引き渡しことに後ろめたさを感じ、注射を終えたことを持って法令違反が消えたかのようなごまかし答弁を作ったのでしょう。

5、ため込んだ黒字ごと県に寄付を!

 県動物愛護センターは、鑑札や注射済票の未装着を注意しているというのですが、その実態の報告を求めたり、改善計画の提出を求めたりしていませんでした。PWJは法令違反をそのままにしておいてもいいと思っていたのかもしれません。

 冒頭に掲げた文書の写真は、2018年11月20日、広島県警がPWJを狂犬病予防法違反で書類送検した際に県健康福祉局が作成したメモの写しです。狂犬病予防注射や登録がなされていることには言及していますが、その証である犬鑑札や注射済票の装着について触れていません。

 県の側も、かたちばかり指導はしても違反を黙認するつもりだったのかもしれません。

 しかし、状況は変わりました。譲渡適性が乏しい犬を中心におよそ700頭収容するシェルターが置かれている岡山県高梁市は「速やかに」対応するよう繰り返し指導していて、もはや広島県だけで隠して置ける問題ではなくなっています。

 広島県も9月、ついにPWJに犬鑑札等の装着状況の報告を求めることを決めました。

 大西さん、今度こそ真剣に法令順守を徹底しましょう。

 法を守れないなら退場すればいいのです。

 ピースワンコがこれまでに稼ぎ出した黒字分は、地方創生や緊急援助など赤字だらけのPWJ他部門に使われてしまっているかもしれませんが、赤字部門をつぶしてでもお金を回収しましょう、そして犬やシェルターとともに広島県にプレゼントしませんか?

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