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クロマグロ漁獲隠し、青森県警が捜査へ~大間漁協などの出荷データ分析始める

「大間まぐろ」で知られる大間漁業協同組合に23日、青森県警の刑事が訪れました。クロマグロの漁獲報告義務違反での任意の捜査です。漁協所属の漁業者の2021年度分の出荷伝票などの提出を求め、持ち帰ったもようです。

 青森県は19日、大間、奥戸(おこっぺ)、大畑町の3漁協で2021年度の漁獲報告義務違反が60トンあったと県議会で報告し、警察にも情報提供していることを明らかにしていました。県警捜査は同じ大間町内の奥戸漁協、隣のむつ市にある大畑町漁協でも始まっていることでしょう。

 クロマグロの漁獲規制が法定のTAC(漁獲可能量)管理になったのは2018年。漁獲量の把握なしにTACは運用できませんから、報告義務違反は刑事罰の対象になります。青森県水産振興課は違反者20人に対する行政処分として漁船の停泊命令を検討していますが、それだけでは終わらないのです。

 私は5年前、当時の東京・築地市場に出荷された大間産クロマグロの数量が青森県へお漁獲報告数量よりも多いことに気づき、水産庁、青森県、大間漁協にそれぞれ問い合わせをしました。しかし、残念なことにその時の回答は「クロマグロ漁獲量を100%捕捉できているものと考えている」とする大間漁協の説明を青森県も水産庁も追認しただけでした。

 法定管理になるとペナルティが重くなります。「ヤミに隠れた漁獲量を調べるなら最後のチャンスでは?」と青森県とは何度も電話でやりとりをした記憶があります。もし、その時、水産庁と青森県が漁業法で認められている検査権限を今回のように使って本当の漁獲量を確認していたら一時的な痛みはあっても、青森県や大間の漁業者に与えられる漁獲枠はいまよりずっと大きなものになっていたかもしれません。

 逆に言えば、大間の一部の漁業者らはクロマグロ漁獲報告のデタラメを修正するチャンスを逸してしまい、その結果、毎年、正規の漁獲枠に収まらないマグロを産地仲買業者に頼んで安く売りさばいてもらうという違反行為を続けるはめに陥っているのです。

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