資金繰りピンチ!認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン③2017年度の債務超過契機に村上世彰氏への依存強める

5、PWJ、借入先の公開範囲を狭める

 筆者はこれまでに何度もCivic ForceやPWJに貸し借りの目的などに関する質問を送りましたが、回答はありません。とても残念な対応です。

 先日、PWJの観光部門ともいえるNPO法人・瀬戸内アートプラットフォームが本部を広島県神石高原町から愛媛県上島町に移転させる問題で、問い合わせ先としてホームページに掲げられている國田博史国内事業部長の携帯電話に連絡したところ、國田氏は「この電話を受けることはできません」と一方的に切りました。

 支援者や市民から寄せられた質問、疑問にNPO自身が自発的、積極的に答え、説明責任を果たしていくことを前提として、NPOに対する国や地方自治体の監督はゆるいのですが、大西健丞氏が代表を務めるNPOや公益法人はその点を逆手に取り、おカネ集めに役立つ都合の良いことは費用をかけてでも宣伝する半面、不都合なことには口を閉ざしてしまうようです。

 國田氏は、朝日新聞出身で記者経験があるようです。自ら積極的に説明責任を果たしていくことが期待されているNPOの幹部としても、また、疑問をどんどん取材対象にぶつけて真実を掘り起こしていくことを職務としていたはずの元記者としても残念な対応ですね。

 資料を実際に見ていただければお分かりと思いますが、PWJはホームページ等で公開している資料では借入先の公開範囲を絞り、Civic Forceとの取引を隠しています。

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 筆者は情報公開制度を利用して入手した広島県の行政文書でCivic Forceからの借り入れの事実を確認しました。

 しかし、その文書も2018年度以降は公開範囲が狭まっています。2019年度末は借入金の額でおよそ半分を占める貸し手(おそらく複数)は「その他」の扱いで伏せられています。

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 PWJの負債は2年間で2倍に増えました。負債の膨張とともにPWJは借入先情報を隠すようになっているのです。いったい、何を恐れているのでしょうか?

6、債務超過への転落が転機

 2019年5月、東京新聞は夕刊1面などを使ってPWJの保護犬活動(ピースワンコ)を好意的に紹介する記事を掲載しました。ヨイショすることを前提にしていて、事実確認をおろそかにしたいわゆる「提灯記事」の類です。

 その記事での大西代表による説明によれば、2018年に表面化した狂犬病予防法違反でPWJがメディアなどから激しい批判を浴びたため、銀行による5億円融資計画が撤回されてしまったといいます。

 当初は「融資を引き揚げられた」という間違い記事でした。筆者の指摘を受けて訂正したものの、東京新聞は融資撤回の理由については大西氏の説明を鵜呑みにし、融資撤回の時期もぼかしています。

 融資撤回の原因がメディアによるPWJ批判だという大西氏の説明は、検証、ファクトチェックが必要だと思います。

 銀行は融資の判断にあたって風評や法令順守状況も参考にするでしょうが、最も重視するのは財務内容や経営者の能力です。銀行が融資計画を撤回したのは、PWJの債務超過転落(2017年度)が原因ではないのでしょうか?

 2017年度決算での債務超過に陥った時、救いの手を差し伸べたのは投資家・村上世彰氏が率いた旧村上ファンド系の投資会社C&Iホールディングスです。PWJに3億3千万円を貸し付けていました。

 もし、2018年度、PWJの保護犬(ピースワンコ)事業が狂犬病予防法違反容疑で広島県警の捜査をうけ、書類送検された年ですが、銀行から最大5億円を借り入れることができていたら、PWJの資金繰りは楽になっていたでしょう。

 しかし、銀行は新規の融資には応じなかったようです。困り果てたPWJは、資金繰り破綻を避けるため、同じ大西氏が代表理事を務めるCivic Forceを財布代わりに使ったのでしょう。Civic Forceから3億円を借り、2017年度に緊急支援してくれた旧村上ファンド系の会社からの借り入れを減らしたのです。(続く)

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