授精情報と異なるDNAを持つ和牛、宮城県で発覚

 和牛の厳格な遺伝情報管理システムを揺るがしかねない不祥事が宮城県で発生したようです。

  授精記録とは異なる種牛の精液を使った牛が出回っていることが宮城県などの調査で確認されました。

  筆者の問い合わせに対し、県農政部の畜産担当幹部が「現在もなお調査を続けているところだ」と口頭で回答しました。詳しい調査結果も近いうちに公表されることでしょう。

 県が育成した種雄牛のほか民間種畜業者などが提供する種雄牛の精液なども事実と異なる報告がなされていた可能性があるようです。

  調査を受けた獣医師は、私の問い合わせに対し、保存と県への提出が義務付けられている「人工授精の記録」と異なる種雄牛の精液を使ったのは「意図的なものではない」と説明しています。

  夜間の作業で取り違えたり、受胎できるまで異なる種雄牛授精を繰り返した結果、判別が難しくなったりした可能性がある、ということです。

  しかし、和牛の人工授精に詳しい専門家によると、授精の途中で複数の牛の精液を使うことは遺伝情報管理上の間違いを犯すもとになるため通常なら行なわないといいます。

  宮城県も家畜改良増殖法に基づいて立ち入り調査して、その原因を詳しく調査したもようです。関係者によると、現在もなお疑わしい牛を対象にDNA検査を実施中です。牛は全国に出荷されて、中には母牛として採卵する牛もいます。

 ニセ牛流通の噂は、宮城県産の子牛を購入した他県の畜産農家の間でも広まっていて、一刻も早く全容解明されることが望まれます

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