野村證券がまもなく調査報告提出、広島県の「公民連携型」動物愛護センター、PFIで建設、2022年度開所目標

広島県が動物愛護センターの移転計画に並行して、同センターをPPP/PFIの手法を使って整備・運用しようとしています。3年後、2022年度開所が目標です。

PPP(パブリックプライベートパートナーシップ)は公民連携ともいい、運営委託や指定管理など民間のノウハウや活力を取り入れ、行政サービス改革を進めます。
https://www8.cao.go.jp/pfi/actionplan/action_index.html

動物愛護センターの所管課である広島県食品生活衛生課は「広島県新動物愛護センター移転整備に係るPPP/PFI導入詳細検討業務委託仕様書」を4月17日に公表して、委託調査先を公募しました。5月23日に入札を実施した結果、野村證券が落札しています。

そう、証券会社の野村證券です。

契約金額は約612万円です。もう1社応札した日本経済研究所が提示した800万円より野村證券が安かったのが決め手でしょう。
仕様書によると、新しい愛護センターは現在と同じ三原市本郷町内ですが、クルマで15分ほど離れた広島空港近くの県有地(1万3458平方メートル)に整備します。現在は山の中腹にあり不便ですが、空港の近くなら人が集まりやすく、魅力的な施設にすることができると考えたようです。

本館、運動場、動物ふれあい広場、駐車場に加え、民間事業者が整備・運営にあたる付帯施設(ペット用品売場、ドッグラン、カフェ、ペットホテルなど)も作ります。

動物愛護センターは移転後も狂犬病予防法や動物愛護管理法に基づく業務を行います。委託調査はPPP/PFIの対象とする事業やその運営方式、事業期間、官民のリスク分担などを検討することになっていますが、野良犬の抑留や許認可、登録事務など法定の業務は今後も県が行うものと見られます。

報告の提出期限(委託期間の終了日)は8月31日です。わずか3ヶ月の間にまとめる調査とは極めて珍しく、既存の文献や事例報告を参考に描き出すことにならざるを得ないはずです。

野村證券は、欧米風に言えば資金調達をアドバイスする投資銀行でもありますから、純粋にファイナンスの専門家として動物愛護センターの事業を分析し、県の意見を反映させつつ、センター全体の建設・運営や付帯施設の誘致方法などを提言するのではないでしょうか。

期間中に5回ほど県庁で打ち合わせすることも仕様書に明記されていて、実質的には県食品生活衛生課の下請けの立場かもしれません。締め切りの8月末は過ぎていますが、県との協議で内容の微調整を施しているらしく、報告書はまだ出来上がっていないようです。

広島県は2018年3月に「広島県動物愛護センターにおける収容・譲渡業務等のあり方について」という報告書をまとめ、その中で空港周辺に動物愛護センターを移転する方針を打ち出していました。

同年3月19日開催の県動物愛護管理推進協議会では「賑わいになるような付随する事業の実施を民間委託も含めて検討して頂きたい」との要望も出ていました。

今回の委託調査は、民間事業者参画意向調査や事業スキームに対する意見聴取も行うことになっています。野村證券がどんな事業者から意見を聞いたのかも興味深いところです。

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