見出し画像

神石高原町の町長&町議会議員の皆様へ〜NPO法人ピースウィンズ・ジャパンとの対話・監視・指導強化のお願い

11月の選挙を意識しているのでしょう、現職の町長さんも対抗馬も連日、街角に立って挨拶を始めているようです。顔を売るのもいいのですが、町政を担う人たちによく考えていただきたいことがあるので、私は以下のような文書を広島県神石高原町の町長さんや町議会議員へ送付を始めました。NPO法人ピースウィンズ・ジャパンの保護犬事業(ピースワンコ )についてしっかり調査をして欲しいからです。既存のメディアにも資料を提供していこうと思います。皆様もご意見や感想をお寄せください。

NPO法人ピースウィンズ・ジャパンとの対話・監視・指導強化のお願い

 私は動物愛護問題や地方再生に関心を持つフリージャーナリスト(日本記者クラブ会員、元・日本経済新聞社編集委員)です。
 狂犬病予防法違反や動物愛護管理法違反の容疑で広島県警から2度にわたって捜査を受け、書類送検(結果は起訴猶予、不起訴)された保護犬事業(ピースワンコ)を中心に、神石高原町に本部を置いているNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、大西健丞代表理事)の活動について、情報公開制度を利用して、県や町から行政文書を入手し、この1年余り分析してきました。
 その結果、以下のように、いまなお多くの課題を抱え込んでいることがわかりました。

1、 法令順守問題(狂犬病予防法「犬鑑札」等の装着が不徹底) 

① 狂犬病予防法で義務付けられている犬鑑札等の装着が徹底できていない状態が続き、広島県や神石高原町のみならず、隣の岡山県高梁市からも是正指導を受けている。
② 神石高原ティアガルテン「ドッグラン」での犬鑑札装着状況の確認、スタッフに対する法令順守教育が不足(入場時に犬鑑札の装着を確認するのが優良ドッグランの通例)
③ 鑑札の未装着など法令違反の実情把握と改善計画。2017年12月の県による是正指導から3年。ピースワンコへのドッグラン運営委託の中止なども検討する時期である。
2、 保護犬部門のスタッフ不足(国は「1人当たり飼養頭数規制」導入を審議会に諮問) 
 ピースワンコ西山犬舎(岡山県高梁市)では犬を世話するためのスタッフが「少なすぎる」として、今年6月、岡山県動物愛護センターが是正を指導(岡山県の目安は1人あたり犬30頭まで。環境省は2021年から1人あたり犬15~20頭とする国による規制案を環境省の審議会に諮問中で、大幅な雇用増か、頭数削減が必要になる可能性)仙養、スコラの犬収容状況、スタッフ配属状況も公表して、町議会・地域住民に説明させる必要がある。
3、 危険な財政状態(ピースワンコ部門2億円黒字、全体は2億円赤字、借金15億円) 
 ピースワンコ部門の黒字(2019年度2億5千万円)がありながら、緊急援助や地域創生など他部門は全て赤字で、PWJ全体では2019年度2億円の赤字を計上している。借入金残高は15億円にのぼり、返済資金をどのようにして確保するのか不明である。町が渡す「ふるさと納税交付金」から最大15%が一般管理費として事業目的以外にも利用できるPWJ独自の仕組みについて、その妥当性は役場や議会で十分にチェックされていない。(町からの交付金が借金返済に回る恐れもある)
4、 情報公開の不足、説明責任の欠如 
 PWJの観光事業部門ともいえるNPO瀬戸内アートプラットフォーム(大西健丞理事長)2020年6月、主たる事務所を神石高原町から愛媛県上島町に移転。上島町役場からも「ふるさと納税」からの援助を受けていたものの、同町の条例では対象NPOは「町内に主たる事務所を置く団体」に限られていたので、援助の打ち切りか本部移転かを迫られた。本部移転と神石高原町でのこれまでの事業成果や本部移転後の活動について、PWJは神石高原町議会や住民に十分な説明をしていない。

 NPOのような市民組織と自治体や住民との連携は、人口減少が進む中、将来のまちづくりでも欠かせないものになっていて、各地で様々な取り組みが行われています。神石高原町においても町役場がPWJに対し年間5億円規模のふるさと納税交付金を提供し、活動をサポートするとともに、入江嘉則町長の主導のもと包括的な連携協定を結んでさらなる関係強化を模索しているようです。

 しかしながら、PWJの情報公開は十分とは言えない状態です。PWJの2020年度ふるさと納税交付金申請のための事業計画によると、ふるさと納税交付金をあてにして緊急医療・過疎医療も1億8千万円の事業計画(2019年度実績約1900万円)を示していますが、前年度実績の10倍近いその計画の内容を町民や町議会議員の皆さまはご存じでしょうか?

 ピースワンコ事業については「殺処分対象をすべて引き取る」とした宣言を事実上撤回していますが、いまも一般にははっきりと説明していません。2019事業年度からは自治体から引き取る犬の頭数に「上限」を設けていますが、これまでに飼養困難な犬をたくさん引き取っているので譲渡できないままシェルターで終生過ごす犬は膨大な数にのぼっているはずです。

 そうした犬たちの世話を続けるのに必要な費用を毎年の余剰金から積み立てておく必要があるはずです。しかしながら、保護犬以外はすべて赤字状態であるPWJは、ピースワンコから上がる黒字を別会計にためておくことが困難なようで、今後、町に予想もしないような負担がのしかかる危険があるかもしれません。将来展望をPWJから早急に説明させる必要があります。

 犬事業でさえ懸念が残る中、医療、災害などひとの健康や生命にもかかわる問題での連携を深めるのであれば、住民や住民代表である町議会議員も、パートナーとなるべきNPOの経営内容に関して、いままで以上に詳しい情報開示を求め、間違いが生じないよう日頃から対話できる環境をしっかりと整えておくことが必要ではないでしょうか。

 当方はジャーナリストとして情報公開で入手した行政文書等をもとに分析してきました。まだ不明の点がたくさんありますが、私の力ではここまで解明するのが限界かもしれません。町役場・議会では一般よりもはるかに多く情報にアクセスする機会があると思います。皆さまには、実情を調査のうえ、健全な関係構築を進めていただくことを祈ります。

                                  2020年10月

経済ジャーナリスト樫原弘志

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?