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中国にメバチマグロ漁獲枠をプレゼントした日中農相会談の関係文書が存在しないという不思議

 いまから12年前、民主党政権時代の日中農相会談で合意した内容を記したプレスリリースが手元にあります。当時の山田正彦農相が中国に日本のメバチマグロ漁獲枠の一部を無償で移譲すると約束したのです。



 太平洋の真ん中から西側の海は日本周辺で産卵するクロマグロがたくさんとれる地域ですが、それ以上にメバチやカツオの好漁場でもあって、中国や台湾が島嶼国との関係強化も狙って巨大まき網漁船の増強を進めていました。

 日本の農相が中国に新船建造を思いとどまるよう説得しに北京に出掛けて、手土産にメバチ漁獲枠をプレゼントしてきたというわけですが、日本の長い遠洋漁業の歴史の成果、実績の反映として認められた枠をそう簡単に中国に移譲してよかったのだろうか、という思いを当時から抱いていました。

 そこで農林水産省にこの日中農相会談そのものや準備、フォローアップに関する行政文書を開示するよう請求したのですが、大臣官房のある農林水産省農林水産省には一切の文書が存在しないそうで、請求先を制度上受付窓口が異なる水産庁に変更しました。

 昨日、水産庁国際課の担当官から電話があり、10日夕刻から16日まで職員が2人がかりで庁内の書庫を総ざらいしたものの該当の文書が存在しない、と説明を受けました。

 文書管理規定では重要文書は最長30年は保管するよう決めてあるのですが、農相会談の記録はそれに該当しない扱いのようです。

 これだけデジタル化が進んでいて、紙を物理的に収納するスペースなど不要になっているというのに、年限がきしだい役所では文書を廃棄するよう指示が出されているそうです。安倍政権の情報公開軽視はとてもひどいものでしたが、民主党政権も同様かそれ以下の意識だったかもしれません。残念なことです。

 これで外務省にも関係文書がないという結果になったらどう考えればよいでしょうね。過去の貸し借りの記録なしに国家間の話し合いを進めるなんてお人好しでは、これからの時代やっていけそうにないと思います。

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