ピースウィンズ・ジャパン向け融資は理事会で承認、担保の有無「事務局に聞いて」~公益法人Civic Force監事が回答

 東日本大震災で集まった寄付金などをもとに緊急支援活動をしている公益社団法人Civic Force(シビックフォース、東京都渋谷区、太西健丞代表理が、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、太西健丞代表理事)に財産の大半を貸し付けていることについて、Civic Force監事の建築家・荒木洋氏(an architects 一級建築士事務所)に質問を送ったところ、荒木氏が15日、筆者の質問に電話で回答してくれました。

 以下が電話での質疑応答の要旨です。

Q 2019年1月期3億円、2020年1月期2億5千万円というPWJ向けの貸し付けはご存じですか?

A 理事会で承認をしています。

Q Civic Force決算の2019年8月期の貸借対照表にPWJ向け融資がない。どんな事情からですか?

A. 私からお答えすることではないと思う。それは事務局を通して聞いてみて下さい。

Q 公益法人の活動目的、寄付金の使いみちに合致しているのでしょうか?どんな資金使途ですか?

A 私の方からお答えする話ではないので、事務局を通して聞いてもらったほうがいい。

Q (融資の目的は)定款、内規などに沿った手続きですか?

A という風に理解をしています。

Q 3億円はCivic Forceの財産の大半です。担保や保証は取り付けて債権保全措置はとっていますか?

A それは理事の了承もとっていますので。

Q 理事が承認したから大丈夫?担保は取っていますか?

A 事務局に問い合わせてもらえませんか?私の方からお答えする話ではないので、すみません。

Q 大西代表もPWJ向け貸し付けの理事会決定に参加しましたか?

A していない。

Q Civic Forceの決算期(8月)だけPWJ融資を回収しているようですね?

A それは事務局に聞いてみてもらえませんか?

Q 事務局長いつも本部に不在です。なぜですか?

A それはちょっとわからないですね。そこまで私は関与していないので。

以上のようなやり取りです。

 この件では、何度もCivic Force事務局に代表らにあてた質問を送っていますが、回答は皆無でした。

 融資の実行を決めた時期などは明らかではありませんが、Civic Forceの期末貸借対照表に記録が残らないPWJ向けの融資が、代表や事務局の独断ではなく、理事会の承認のもとに行われていることが確認できました。

 しかし、融資の目的や焦げ付き回避のための保証措置の有無については、「しかるべき人達に」という意味でしょう、「事務局を通して、聞いてみて下さい」と繰り返すのみで、判然としませんでした。

 Civic Forceは公益法人で、東日本大震災の時に集まった寄付金などをもとに運営をしていて、2019年8月期現在で4億円ほどの財産は公益目的の事業に使うことになっています。

 PWJ向け融資2億5千万円~3億円は財産の大半に相当しますが、PWJは一般向けの活動報告にこの事実を記載しておらず、どんな目的のために借り入れたのかも説明をしていません。

 Civic Forceの利息収入のデータをみると、ほぼ年間を通じて貸し付けは実行されていて、Civic Forceの決算期末にのみ回収して、PWJ向け貸し出しをゼロにしていると推定できるのですが、粉飾も疑わるかもしれないような不自然な資金操作を行っている理由や動機が分かりません。

 荒木氏の回答を踏まえ、PWJとCivic Forceの代表理事を兼務する大西健丞代表理事、そして、Civic Force事務局長として実務を取り仕切っているはずなのにふだんは大西氏がやはり代表を務める別のNPOの事務局長として佐賀県に駐在しているという根木佳織氏に、以下のような質問を送りました。

質問1、PWJ向け融資は理事会の承認を経たものという監事の説明は事実でしょうか?融資の目的を教えてください。
質問2、PWJもCivic Forceも代表者は大西健丞氏です。Civic ForceはPWJへの融資にあたって、どのような回収保全措置をとったでしょうか?(PWJから担保または大西氏ら関係者による借り入れ連帯保証をとっているのでしょうか?)もしそのような措置をとっていない場合、その理由を教えてください。
質問3、Civic Forceの最新決算(2019年8月期末の貸借対照表)には、PWJ向け融資はありません。利息収入はほぼ一年分を徴収していると推定されますので、期末のみPWJから返済してもらって特定資産(銀行預金)に戻しているのでしょうか?その理由も教えてください。
質問4、Civic ForceはPWJから寄付金も受け入れています。どのような目的に使っているのでしょうか?
質問5、内閣府への届け出では、大西代表理事が理事の中でただ一人の「常勤」(週3日以上勤務)となっていますが、常勤で間違いないでしょうか?

 荒木氏は、愛媛県上島町でもともと大西健丞氏と実妹が開業させた高級宿泊施設「ヴィラ風の音」などPWJグループが運営に関わる建物などの建築設計にかかわっています。大西代表の親しい友人の1人ということで、PWJや大西氏と利害関係を有する人物が監事を務めるのが適切かどうかは別として、当方の質問に回答をしていただけたことを感謝します。

 大西氏や側近の元朝日新聞記者、國田博史氏らも荒木氏のように誠実に対応していただければ、PWJグループの活動や資金の動きをめぐる数々の疑念も解消に向かうのにと思います。皆さまからの応援もよろしくお願いします。



 

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