豊洲の初競り、マグロ続々~偽装排除へ「大間まぐろ」は大間水揚げが必須

 いよいよ5日は豊洲市場のマグロ初競り。初競りに向けたマグロが全国各地で水揚げされています。初競り最高値の常連、青森県大間漁協からもたくさんのマグロが初競り向けに出荷されています。

 独自に入手した大間漁協からの出荷状況をみると、100キロ台とやや小ぶりなマグロが多そうですが、はえ縄漁船からは200キロを超すものもそこそこの本数が出荷されています。

 過去に3度、一番マグロを出荷したという大間漁協所属第56新栄丸の竹内正弘船頭〈竹正工務店社長)も、年末に民放の日本テレビNEWSのマグロ価格高騰をめぐるニュース番組に登場。220キロ級のマグロなどを初競り用に出荷したもようです。

 船体が大きい19トン型の第56新栄丸は接岸場所が限られているためか、普段は大間の隣の佐井漁港を係留先として使用し、三陸沖などマグロの漁場が太平洋だった昨年は岩手県大船渡港など三陸を拠点に操業している様子がうかがえました。今年は津軽海峡でもマグロがよく取れているためか、三陸方面には向かわず、大間町内での水揚げを試みているようです。

 大間のほかのはえ縄漁船も200キロを超す大物マグロを出荷する予定。また、房総沖でもマグロがよく取れていて、5日早朝のマグロの目利きたちがどのマグロを選ぶか注目されます。

 大間のマグロといえば一本釣りを思い浮かべる人が多いのですが、漁獲量が多いのは何本も針をつけているはえ縄漁船です。複数の船員が乗り込んで、比較的遠い漁場にも行けるため、マグロの漁場が津軽海峡から太平洋側に移っている昨今は特にはえ縄漁船による水揚げが目立ちます。

 「大間まぐろ」の定義は「下北半島大間沖でとれたまぐろ」であるため、太平洋沖で獲れ、大間で水揚げもしないマグロは「大間まぐろ」と名乗れないはずですが、漁協はそうしたマグロにも「大間まぐろ」の商標ステッカーを与えていました。

 大間漁協は2021年10月に下北半島大間沖の定義を「竜飛崎から尻屋崎までの間」と決めました。これ対しては「大間で水揚げする理由がもうなくなったので、より操業に便利な港を使う」などと反発する意見もありました。

 その後11月にその大間沖の制限をなくし、太平洋側を含めてどこで獲ったもの出会っても大間町で水揚げをしたマグロを「大間まぐろ」として扱うことに変更しました。実質的に2021年までの運用を追認した内容です。大間町内で水揚げすることを前提としていることは商標制定時から変わっていません。

 大間では2021年、大量のヤミ漁獲も発覚して、青森県のほか県警も関係漁業者などを捜査中で、近く行政処分、刑事罰の適用も予想されています。産地表示についても過去に遡って説明責任を果たすことが求められています。


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