PWJとのわかれ道、広島県開示文書から

 狂犬病予防法や動物愛護法違反で昨年から2度、代表らが書類送検されたNPOピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、PWJに捨て犬を大量に譲渡している広島県にとっても非常に悩ましい存在になっているようです。

情報公開の求めに応じて広島県やPWJ本部がある神石高原町が開示したいくつかのメモや報告資料から紹介してみましょう。

◇その1、PWJと広島県との動物愛護に対する論点について(副知事説明概要、広島県)

まず、2018年5月2日午後4時、広島県庁の副知事室で行われた会議の記録です。動物愛護を所管する健康福祉局の部長や経営企画監、食品生活衛生課長ら6人が副知事のもとを訪れて、PWJ対策を話し合いました。

食品生活衛生課は会議の冒頭で「PWJが対応不能になれば殺処分も検討する必要が出てくるかもしれない。そうならないために、他の愛護団体に対するアプローチを行う」という考えを明らかにしています。

昨年の5月といえば、広島県から譲渡を受けた保護犬が多すぎて、法律で義務付けられた狂犬病予防注射が追い付いていないという疑いで県警がPWJの内偵を続けている頃です。

県は2017年12月にPWJから予防注射が追い付いていないことを打ち明けられて、地元の開業獣医師らに協力を依頼するよう助言したりしていましたが、PWJに頼るのも限界に近付いていると危機感を覚えたのでしょう。

所管する食品生活衛生課の報告を受け、副知事は「今後接触する愛護団体が実際どれくらいの犬猫を引き取ることができるのか、具体的な数を確認すること(身分の検証も)。あいまいな確認のまま、その場しのぎで譲渡を行っても継続的ではない」として、よいシミュレーション、悪いシミュレーションをできれば犬猫別に正確に作成するよう指示しました。

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