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「不法投棄疑惑」通報を議会答弁で「営業妨害」と言い放った町長が説明しなかったこと~公園管理者・神石高原ティアガルテン社への県・町の指導の数々

指定管理者の説明を鵜呑み? 

 2020年9月、ピースワンコが本部を置いている森林公園「神石高原ティアガルテン」の敷地内に廃プラスチックや板や木屑などとともに放置されてた問題で、「不法投棄ではないか」と筆者が公園開設者の神石高原町役場や県環境事務所、警察に通報したことを、同町の入江嘉則町長が同年12月の町議会で「営業妨害だ」と答弁する一幕があったことが、2カ月遅れで公開された町議会議事録で確認されました。

 町長は公園管理の発注先、いわば町の取引業者、身内である指定管理者側から聞き取った「間接的な情報」をもとに答弁していて、通報者が誰か確認もせず、特定の町民であるかのような間違い情報、デマをまき散らすことにも加担する残念な結果にもなっています。

 当時、町の関係者から通報者だと名指しされていた方も、この答弁を聞いたらきっと憤慨なさることでしょう。

 10日ほど前にもnoteで取り上げましたが、質問者の公明党・寄定秀幸議員と答弁者の入江町長は、ともに「警察」による調査のことだけ取り上げています。とても不思議です。

「不法投棄」と解される可能性が非常に高い

 現場には県警のほか、県厚生環境事務所福山支所や神石高原町の環境問題の専門家も訪問し、県と町の共同調査では数々の問題点が確認されています。現地を調査し、指定管理者を指導した部下(環境衛生課長、まちづくり推進課長ら)から報告を受けていれば、入江町長は、神石高原ティアガルテン社の管理にも問題が多かったこと、そして通報者がたまたま別の目的で町を訪れた私であることを当然知っていたはずです。

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 町役場環境衛生課が作成した「苦情処理整理簿」にあるように専門家がみたところでも「保管の仕方がよくないため、不法投棄と解される可能性が非常に高いと判断した」という状態だったのです。

 そうした情報が入江町長の答弁から完全に欠落しているのは、町当局が議会に真実を説明するという点ではお粗末だったと言わざるを得ません。

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 整理簿の要点をまとめるだけでも上記の写真のように複数の問題点が指摘され、神石高原ティアガルテンは改善するよう指導を受けていました。「不法投棄かどうか」と二者択一の質問や答弁は、こうした問題を議論するときには極めて不適切といわざるを得ません。公園を管理する神石高原ティアガルテン社が県や町から問題点の指摘を受け、木材チップ等としてのリサイクル計画を立て、置き場も整えてようやく「不法投棄」の疑いが消えることになったのです。

 神石高原ティアガルテン周辺の自治会にも経過を説明するようですが、県や町の指摘事項や神石高原ティアガルテンがとった対策の内容も正確に、詳しく伝えて欲しいものです。議会答弁が地元での神石高原ティアガルテンに対する苦情や質問を封じこめるために利用されるようなことがあってはならないと思います。

「監督不行き届き」の責任を隠す?

 掘った穴に焼却灰を捨てるなど、他にもいくつもの問題が指摘されたたことは以前にも紹介した通りです。町議と町長の「二者択一」型の質疑応答では、事業者のずさんなゴミ管理、リサイクル計画の不備や、町の監督不行き届きが隠されてしまっているような気がします。

 まさか、お2人はそれを狙って、不法投棄かどうかという結論だけを取り上げたというわけではないでしょうが、町議会では、県や町が指定管理者にどのような問題を指摘し、改善を指導したかを丁寧に確認して欲しいものです。

 昨年9月、神石高原町訪問中にこの現場の様子を知った筆者は、写真を添えて、神石高原町役場環境衛生課と県東部厚生環境事務所福山支所、県警の福山北警察署に知らせました。地元の有力議員にも写真を添えて電子メールで伝えたところ、「早速確認して対応いたします。ありがとうございます」という返信もいただきました。

 公園内に、ゴミが投棄された状態になっている背景について、地元ではいろいろな噂、憶測がなされていましたが、噂は無価値というのがジャーナリストとしての私の立場です。その場の状況を写真に保存して、その事実を専門家に判断してもらうのが最善だと思ったからです。

県・町の行政文書に記された真実

 通報の結果、専門家たちはどう判断し、処理したかを確認するため、私はそれぞれの機関に情報公開請求して、現地調査の結果を知っています。

 開示された文書によると、広島県警は二度、現地を訪問していますが、どのように判断したかはもちろんのこと訪問日時も黒く塗りつぶして非開示扱いでした。

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 議会答弁で、入江町長は「関わってる人が分かってますから不法投棄ではありません」という警察の説明を伝聞として紹介していますが、公園を管理する業者に尋ねるのは発注者の町の立場からして構わないとしても、警察に裏付けをとっているのでしょうか?

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 不法投棄かどうかは警察のほか、産業廃棄物であれば県、一般廃棄物であれば町が判断できます。


 事業活動から出る産業廃棄物ではないと判断した県は、一般廃棄物として町の判断に委ねました。廃プラスチックを放置してはいけない等々いくつか指導もしています。

 町は木材チップなどとして再利用するために置いていたのだとする指定管理者に対し、前述のように置き方が悪いから「不法投棄」と見られてしまうことを指摘したうえで、リサイクルならその計画を示すように指導しました。町はその計画を受け取ったようです。

参考のために議事録抜粋を掲げておきます。


令和 2年第10回12月定例会 12月21日-05号
◆(寄定)
2番目の仙養ヶ原へのごみ不法投棄の事実関係ですけれども,この件については不法投棄ではなく,仙養ヶ原森林公園内から発生する剪定の枯れ葉や枝とか枯れ木,雑草等,公園を維持管理する際に発生する有機物を園内で処理,活用するための置場に持っていってたというふうに確認をしております。したがいまして,通報された方は再生可能な木質有機物等をごみの不法投棄というふうに思われたようですけれども,これはごみの不法投棄ではありません。
 3番目の犬殺処分ゼロの取組による環境への影響ですけれども,犬の排せつ物は,固形物は産業廃棄物として業者が収集,処分をしております。液状のものについては浄化設備に流入するようにし,処理をした上で放流しているというふうにお聞きをしております。

◎町長(入江)2番目の仙養ヶ原へのごみ不法投棄の事実関係ですけれども,この件については不法投棄ではなく,仙養ヶ原森林公園内から発生する剪定の枯れ葉や枝とか枯れ木,雑草等,公園を維持管理する際に発生する有機物を園内で処理,活用するための置場に持っていってたというふうに確認をしております。したがいまして,通報された方は再生可能な木質有機物等をごみの不法投棄というふうに思われたようですけれども,これはごみの不法投棄ではありません。
 3番目の犬殺処分ゼロの取組による環境への影響ですけれども,犬の排せつ物は,固形物は産業廃棄物として業者が収集,処分をしております。液状のものについては浄化設備に流入するようにし,処理をした上で放流しているというふうにお聞きをしております。
 以上です。

◆(寄定)  2点目の仙養ヶ原のごみの不法投棄ではないということでございますが,私はこの連休中にこうした騒ぎを起こされて,非常に営業妨害に当たることがあったということで,非常に私は地元として怒りを覚えたわけです。事実無根のことを,デマ,そういったものを元に警察へ通報し,警察が来て調査に入ったといって,それをネタに皆さんに不安をあおる,こういうことに対して,まあ時期が時期でありましたので一々反論できない部分があったかと思いますけどが,こういった事実はないんだよということを特に心配している地元住民に,また町民に正しい事実を周知する努力をしていただきたいと思うんです。でないと,それがうそやデマが続けばそれが真実のように受け止められて,不安だらけになるわけです。その点について,仙養ヶ原というのは町有地でございますけど,PFIによってティアガルテンが今管理しております。だから,ティアガルテンの管理がずさんなようなイメージを受けて,そして地元の住民がやはり疑心暗鬼,こういったことが起きたわけです。これに対してどのように真実を伝える努力をされるのかを伺いたいと思います。

◎町長(入江) 私もこの件の話を聞いて,そこの管理者から話を聞いたんですけれども,非常に多くのお客さんが来られているときにパトカーが2台も来て,しかもそれを呼ばれた方が町内の人間だったということで,非常に対応に苦慮されてるということをお聞きをしました。現実は警察の方ももう不法投棄ではないと,これは。明らかにそこに処理してるというか,関わってる人が分かってますから不法投棄ではありませんということで帰られたということだったんですけども,仙養ヶ原からのほうからすれば本当に大きな営業妨害ではないかというふうに私も思ってます。こういった事実を新年互礼会とかで私もちょっとお伝えをしようかなと思ったら,コロナの関係で中止になったということがありますから,自治振興会長さんを通じて,こういうことが真実ですということはお知らせをしたいというふうに思ってます。

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