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どっちが先に逝くか

友だちと夫婦はどっちが先に逝くのが良いかを話している時に、私は自信を持って
「夫を一人残して死ねない」
と言った。

あまり社交的でない夫が一人残ったらどうなるんだろう。ごはんも、毎日ラーメンとか、カレーとか、パンとかになってしまうんじゃないか?と心配だったのだ。
すると友人は
「自分が長生きしたいだけちゃうの?」
と言った。

そんなことはない!とその時は強く思ったけれど、最近、そうなのか?と思い当たる節がある。
新聞に読者からの投稿欄があり、そこに亡き夫への思いが綴られたものを見ることがある。
「ありがとうお父さん。今年も庭の〇〇が咲きましたよ。」
そんな文章を読むと涙がぶわぁと溢れる。

ところが、反対側の場合、夫から妻への思いの場合、夫の方に同情するどころか、妻に苦労かけたんじゃないか?と怒りさえ湧いてくるのだ。ということは、1人にするのがかわいそうなのではなく、ただ長生きしたいだけじゃないのか?と自分が恐ろしくなる。

ドラマでも先に妻が逝くシーンが出てくることがある。
”いだてん”を2人で見ていたら、妻が先に逝くシーンがあった。
登場人物の夫は、その日の朝、妻が亡くなるとも思わずに「ごはんがかたい」と言ってしまったことを後悔し泣き崩れた。
隣にいる夫をふと見ると、涙をぬぐっていた。その時私は思った。

夫の中で私は先に逝ったな

と。もしかしたら、夫も私より長生きするつもりで暮らしているのかもしれない。一人になったら、毎日カレー、毎日ラーメン、好きなものを食べて喜びさえ感じるかもしれない。友達もどんどんできるかもしれない。もしかしたら、恋人だってできるかもしれない。夫をおいていけないっていうのは、自分勝手な思い込みなような気がしてきた。

「ごはんがかたい」と言ったドラマの夫の後悔も勝手な思い込みだろう。私だったら、かたいかな、と思ったら、柔らかくするし、かたいの食べたいと思ったらそのままにする。
「はい、はい」って言いながらどうするか私が決めるので、夫側は夫側で好きなように言ったらといいと思うのだ。それに、良いことばっかりいってる人間関係なんてありえない。

今度そういう話になったら、なんて答えるかなぁ

どっちでもいいな

お互いが思っているより相手は強いのだろうし、周りに助けてくれる人はいるだろう。私だって友達が困っていたら、助けるもの。家族だけが世界じゃないということを覚えておこう。

夫が飲み会から帰ってきた。
「楽しかったー」とご機嫌だ。
2年ぶりに再会したらしい。
「みんな元気だった?」と尋ねると、ラインを見せてくれた。
居酒屋で、お互いの横顔やら、隠し撮りした写真を送りあっていた。
おじさんの写真の送り合い…
よく分からない。でも、楽しそうだ。
私の知らない、夫には夫の世界があるんだなー

#日記
#エッセイ
#夫婦

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