故人尊重法

202X年、故人尊重法が可決された。

主な内容として
①遺族の権利 ②墓地の管理 ③デジタル遺産 ④遺品整理  ⑤肖像権 ⑥遺言文 ⑦文化・宗教的配慮 ⑧名誉毀損防止
といったものが挙げられる。

ただし、故人尊重法の保護対象となる人物について、実在性・死後何年までを保護対象期間にするかは大いに揉めた。

例えば死後数百年経っている「織田信長」であれば、
「歴史研究と表現の自由・文化遺産の扱い・商用目的・適用範囲・法的整合性・公共の利益」
といった観点から、大きなデメリットが出ることが予想された。

特に適用範囲は「どこまでを遺族とするか」といった点、併せて実在性についても議論が交わされ、結果として保護対象期間も含め
「戸籍法が制定された1871年以降を対象とし、遺族は直系のみ、その権限を有す」ことになった。


「はい!やられました。うちらゲーム業界、近いところでフィクション系の小説だと1871年時点に存命していた偉人は出せません。ぶっちゃけ、少し遡って明治維新に活躍した偉人もギリギリアウトかもしれんな。」
「なんで?」
「厄介なのは"遺族の権利"と併せた"名誉毀損防止"。これが罠だった。」
「慣例的に、エンタメ的なフィクションであればセーフでは?」
「と、誰もが思っていた。けど実際には"先祖の〇〇は男です!女性に変わっただけでなく、魔女っ娘に変身させられるのは本人にも遺族にも名誉棄損に当たります!"ってなるわけよ。」
「あーーー…あぁ…」
「他にもあるぞ。"時代の流れで大鉈を振るい、悪役として振舞ったように見えるが実際にはそうじゃない。にもかかわらず悪の代名詞として扱われるのは不本意!"とか"先祖の〇〇は目からビームを出したりしない"とかな!」
「ワンチャン、ビーム出してる偉人とかないかね」
「ねぇよ」

【続く】

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