小笠原満男

小笠原満男がいなくなった鹿島

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実感がわかない、というのが正直なところである。来季も40番のユニフォームを着て、ピッチに立っている。「40歳なのにすげえなあ」と思わされるんだろうな、と当たり前のように思っていた。それを考えると、あまりにもあっさりとした幕引きだった。

たしかに、今季は苦しいシーズンだった。クラブ初のアジア制覇を成し遂げたとはいえ、小笠原本人は先発出場のほとんどがスポット的な起用に限定され、シーズンの多くをベンチで過ごしていた。もっと言えば、メンバーに入らない試合も少なくなかった。シーズン途中でその原因の一つとなっているのが、膝の痛みであることを報道で知った。それを考慮すれば、よくやっていると言えるシーズンなのだろう。実際、ピッチに立てば正確なキックで攻撃の流れを変え、周りに声をかけゲームをコントロールしていた。その姿は、まさしく一流の選手のそれだった。

ただ、その膝の痛みが癒えれば以前のようにスタメンでキャプテンマークを巻きピッチに立つ小笠原満男を見続けることが出来るのか。そうは個人的には思えなかった。その影響を差し引いても、近年は明らかに動けなくなっていた。運動量は目に見えて減り、90分持っていなかった。相手のアジリティについていけずに振り切られるシーンもあった。もし、来季現役を続けていても、今季と同じような起用のされ方、戦力としてもバックアッパーの扱いだったように、失礼ながら思ってしまっていた。

と、ここまでネガティブなことばかり書いてしまったが、そうネガティブなことばかり思っている訳でもないのも事実だ。たしかに、もうユニフォームを着てプレーする姿を観られなくなるのは悲しい。それでも、これが決して無理な形ではなかったことに鹿島アントラーズというクラブとしての希望を見出すことが出来たのだ。

2016年のJリーグ優勝、天皇杯優勝、そして今年のACL優勝。いずれも優勝を決めた瞬間、小笠原満男はピッチに立っていない。今年のACLにおいては、決勝のピッチに立つことすらなかったのである。それでも、チームには小笠原満男がいないという不安を感じることはなかった。ボランチのポジションには柴崎岳が海を渡っても、レオ・シルバや三竿健斗、永木亮太という実力者たちが務め、チームを力強く支えていた。それ以外にも、遠藤康や昌子源は今や信頼の下にキャプテンマークを巻く程の選手になったし、今季は内田篤人が新たなリーダーとして帰ってきた。来季からは名古新太郎や武者修行から帰還した平戸太貴といった新たな力が、中盤に加わる。そうしてプラスを積み重ねていくことで、小笠原満男がいようともいなくとも、チームの戦い方、成績に大きな影響は出なくなっていた。「満男がいないと勝てない」と揶揄されるような声もあまり聞かれなくなってきた。このチームは小笠原満男がいなくても勝てるチームになりつつあるのである。

そして、それは小笠原本人が望んでいたことだ。若い選手にポジションを譲るようなことはしたくない、試合に出るのは若手ベテラン関係なく良い選手が選ばれて出るべき、どんなインタビューでも小笠原が世代交代について聞かれて答えていたのは、このようなことだった。本人が望んでいたか望んでいなかったかは別にして、それは現実のものとなった。小笠原は自分より若い選手にポジションを奪われたのである。この事実が、多くの悲しみを抱えながらも、何よりも鹿島アントラーズらしさを象徴するエピソードなのではないかと、私は思うのである。

鹿島が来季以降突入するのは「小笠原満男のいないシーズン」という新たなステージになる。それがどう転ぶのかは分からない。それでも何よりも「勝つ」ということにこだわってきたこのクラブが、来季以降もそのスタンスを貫き続けることは、例えそれを一番声高に訴えてきた選手がいなくなっても、変わらないことであるのは間違いないだろう。少なくとも、私自身はその行く末を見守っていきたい。

小笠原満男選手、お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。



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タケゴラ

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