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ポグバック考

いよいよブンデスリーガが再開。
ハイライトのみ鑑賞したが、個人的にはマスク姿のベンチメンバーとソーシャルディスタンスを取ったセレブレーションに違和感と寂しさを感じた。
セリエAはどうなるのか。

一方で、来季に向けた移籍市場の噂も活発になりってきた。(コロナ収束やシーズン後の動きが見えないため信憑性は疑わしい)
ユヴェントスにおいては中盤の再編は課題の一である。そして数年来、ユヴェントスのターゲットとなっているであろう選手がいる。マンチェスターUのポグバだ。

まずはユーヴェ在籍時のポグバのプレーを振り返ってみよう。

・規格外のモンスター

ポグバってどんな選手?と友人に聞かれると迷わず「ジダンとロナウジーニョを足して2で割ったような選手」と答えていた。

12-13シーズンに加入したポグバはすぐに頭角を現す。加入当初は若さが目立つ事もあったが年を経るにつれて彼のプレーは凄みを増していった。
圧巻だったのがラストシーズンとなった15-16シーズンだ。パス、シュート、ボールタッチ、ボール奪取すべての面で違いを作り出しており、まさしく1億€のプレイヤーだった。

・ユナイテッド移籍後のポグバ

マンチェスターUに移籍してからのポグバのプレーは継続的に観てないのでハイライトをいくつか再確認した。

超絶技巧で敵をかわすプレーは相変わらず、味方を使ってコンビネーションで崩すシーンが減る一方で局面を一気に変えるロングパスが冴えわたっていたのが印象的だ。

インサイドキック、アウトサイドキック、グラウンダー、フライパス、サイドチェンジから裏抜けまでバリエーションがとにかく豊富。ポグバはユナイテッドに移籍してパフォーマンスの質を落としたと言われてるが、もしかしたらプレースタイルが変わったのではないか?気になったのでスタッツも確認してみた。

https://www.whoscored.com/Players/97752/Show/Paul-Pogba

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今シーズンは怪我で出場試合が少ないので、昨年のデータとユーヴェの在籍最終年15‐16シーズンを比較。
アシストこそは減っているが、1試合毎のパスの比率(48.5→59.1)、ロングボール(3.3→4.7)はユーヴェ在籍時よりも確かに増している。パスの精度が若干下がっているが(83.4→82.8)、パス全体の比率が増している中0.6%しか精度が落ちていないのだ。ユーヴェ在籍時よりも中盤で組み立てに回る頻度が高いのではないか。

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次にオフェンスのスタッツ。
シュート、ドリブルの頻度が減っているのがわかる。しかし、キーパスの数値はほぼ一緒、ゴール数はキャリアハイの13ゴールを記録した。(うちPK7本、この是非は議論があるだろう)パスの頻度が増しているが、崩しやゴールに係わる数値は落ちていない。

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最後にディフェンス。タックル、インターセプトともにユーヴェ時代より減少(それぞれ2.2→1.3 、1.3→0.5)ポグバは守備をしないと言われているが確かにデータだけ見ると守備の貢献は少なくなっていると言わざるを得ない。

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こちらはヒートマップの比較(上がプレミア18-19、下がセリエA15-16)
意外にもヒートマップでプレーエリアの歴然たる差は出ていない。若干ユーヴェ時代の方がペナルティエリア手前でのプレーが多い気もする。組立てより崩しに関与したプレーが多いのかもしれない。

まとめると、
・ユーヴェ時代よりもパスを選択する割合が増している
・にも関わらず崩しやゴールに係るの数値は落ちていない
・守備の貢献は確かに落ちている

ポグバのプレーが若干変化した原因が、劣化なのかそれともチーム状況に合わせてプレースタイルを変化せざるを得なかったかはわからない。ポグバが怪我から復帰してコンスタントにプレーする機会を得られるのであれば、プレミアリーグの再開後ポグバのプレーに改めて注目したい。

ポグバックの是非

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ここからはポグバのプレーの変化を受け入れた上でポグバックについて検証。まずはメリットとデメリットを整理しよう。
<メリット>
・パサーの要素が増したポグバとサッリ監督との相性
・3CHシステムや現メンバーとのマッチ
・マーケティング面での収益増

まずパサーとしての要素を増したポグバのプレーはサッリの戦術にはまる可能性は以前より増したと考える。アンカーの出来に依存される今のユヴェントスの組み立てや崩しに新たなオプションが増す可能性は高い。
3CHシステムやディバラとの相性がいいのも好材料の一つだ。特にディバラとのコンビネーションは15-16シーズンに実証済みで2人で多くのチャンスを作っていたことは多くのファンが記憶していることだろう。しかもディバラ自身もより中盤に降りてくる頻度が高まっている。もしユーヴェで2人が再会したらどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。
最後に、マーケティングでのメリットも見逃せない。特にポグバとユヴェントスはともにadidasとサプライヤ―契約を結んでおり、新たなチームの顔として様々な広告に使用されるだろう。

<デメリット>
・移籍金と年俸が高額
・守備の貢献度が低くなった

ポグバの現在の市場価値は8,000万ユーロhttps://www.transfermarkt.com/
年俸は推定1500万€。クラブの詳しい懐事情は分からないが移籍金も年俸も捻出するには今いる戦力の売却が必須だ。それも数名の。
守備の貢献が少なくなったポグバをどう起用するかも問題。かつてユーヴェではピルロ、ヴィダル、マルキージオらとプレーしてポグバは比較的自由に振る舞う事ができたが、今のユーヴェの中盤で同じように振る舞えるかはやや疑問だ。ただでさえ前線にロナウドがいるため守備に問題がある選手の起用は得策ではない。

以上のメリットデメリットを考慮して、僕はポグバを今のチームで見たい反面、現有戦力を積極的に売却してまでポグバが欲しいかといったら微妙だ。そして、悩みに悩んだ末に条件付きでポグバックに賛成という立場を取りたい。その条件は「規律面を考慮してラビオを放出する決断をした場合」である。

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ラビオは今シーズンの頭にフリートランスファーで獲得。当初適応に戸惑ったが、徐々に存在感を増してきたこのタイミングでリーグ戦が中断してしまった。そして、ラビオの合流遅れ問題である。
真相は不明であるが、ユヴェントスは規律に問題がある選手は躊躇なく放出してきた過去がある。ラビオの合流遅れ問題をフロントが重く見た際には1年で放出を決めても不思議ではない(ラビオの母ヴェロニクがいろいろ厄介な存在であることは百も承知だが、それでもここまでは全く問題になることがなかった点は付け加えておこう)

何故ラビオかというと理由は2つ
・ポジションが被る(左インサイドハーフ)
・年齢ポテンシャルを考慮すると多額の移籍金が獲得できる
3CHにおけるポグバのポジションはヒートマップを見ても明らかだが左のインサイドハーフ。今のユヴェントスにおけるそのポジションはマテュィディとラビオがポジションを争っている。ここにポグバを加えると明らかに人材過多だ。以前の記事でもふれたがロナウドとともに歩むユヴェントスにおいてマテュイディは個人的に絶対に外せない。
多額の移籍金を得られる可能性で言えばピャニッチもそうなのだが、ピャニッチを放出するとアンカーに対応できる選手がベンタンクールのみとなり、またアンカーを獲得しなければならなくなるためポグバックどころではない。

逆に言うと、合流遅れが不問ならばポグバの獲得もラビオを1年で放出するのも反対だ。マテュィディの年齢を考慮するとそろそろ後釜をキープしたいし、ラビオのダイナミックかつ高い技術を駆使したプレーはまだまだユヴェントスで見てみたい。仮に完全にフィットしなくても適応が難しいセリエAで海外リーグ初挑戦の選手が苦労するのは当然なのだ。

しかし、放出が規律面での理由ならばクラブの決断を支持したい。その際はポグバ獲得に挑戦してもいいのではないか。未完成だが特大のポテンシャルを感じた15-16シーズンの続きを見たいと思うのは僕だけではないはずだ。

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