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富山県は本当に「『寿司』と言えば富山」になれるか? vol.7(魚津その1)

 前回までの連載(noteの過去記事をご参照ください)で私は、富山県が「『寿司』と言えば富山になるぞ!」と宣言したことに私がいろいろ考えを巡らせ、まずは2泊3日で富山市内の6軒の寿司屋を回ったり、富山県成長戦略カンファレンスのセッション『「寿司と言えば、富山」地方ブランドは本当に作れるのか?』に登壇したことから、「世界標準寿司を増やしてまずは富山にフーディーを呼び、そこでキトキトの魚を富山産のコメの酢飯に乗っける呑み寿司の魅力も知ってもらう流れを作ること」がいいのではと考え、地方第一弾として氷見市を2泊3日で回り、6軒の寿司屋を取材。一軒、素晴らしい寿司屋を発見したことなどを記した。

実は魚津に行く前、富山市内でランチでいただいた「すし 琉之輔」。バイ貝、コショウダイが美味。

 氷見市を巡り、富山の魅力は地方にあると考えた私は、次なる寿司行脚の場所として魚津を選んだ。寿司フリークならすぐにピンとくるだろう。魚津には富山県を代表するミシュラン1つ星の寿司屋「鮨大門」があるからだ。しかも大門、予約は「ポケットコンシェルジュ」というサイトからしか取れず、調べてみると数カ月先まで埋まっている。まずは大門に行ける日を決めてから、ほかのスケジュールを考えることにした。

香箱蟹が季節を感じる。
白子もいいですね。
マグロは大間産。
駅から、わずか1分。

(以下の記述に私の勘違いがあり、訂正、削除します)
 そこで、私の行ける日程と大門の空いている日を照らし合わせたのだが、空いている日がない! 予想していた以上の人気店だった。「ウェイティングリスト登録可能」という日程はあるのだが、これは恐ろしいことに「ウェイティングリストから確定した時点で店舗の定めるキャンセルポリシー上キャンセル料が発生するタイミングであった場合、キャンセル料をご負担いただきます」とあり、キャンセルポリシーは、来店3 営業日以前であっても「コース代金の 50%」となっている。私はドタキャンやノーショーをする客に対しては批判的で店に寄り添いたいと思っているほうだが、3ヶ月以上前のキャンセルでも50%取られるのは辛いなあと思うし、キャンセルが出たら「即時予約確定」だから、複数入れておくわけにはいかない。(この記述は私の認識間違いで、3営業日前は50%だが、4営業日以前はゼロでした。これならば常識内ですし、これはポケットコンシェルジュのキャンセルポリシーです。申し訳ありません)
 だが、大門に行かずして富山の寿司は語れないとも思うので、意を決して一日だけウェイティングリスト登録をした。すると数日後にあっさりと予約確定になってしまったのである。
 ということはキャンセル料を払わないためにはインフルエンザにもコロナにも罹れないというわけで、私はしっかり養生をして当日を迎えた。そして、こんな経緯があるから、大門の大将はさぞや厳格な人だろうと思っていた。正直なところ、面倒くさい人かもしれないなあとも思っていた。(この記述も私の認識違いから起こった勝手な思い込みでした。すいません)

職人肌の大将。
香箱蟹は外子を炙って。
12キロのブリ。
甘海老も魚津名物。

 ところが、17時の予約には私しかいないし、大将はとてもフレンドリーで拍子抜けしてしまったほどだった。ポケットコンシェルジュの話をしてみると「サイトでは一組しかご案内していないのですぐに満席になってしまいますが、普通にお電話してくだされば空いている場合も多いんですよ」とのこと。東京では人気店はすっかりサイト優先だが、大門ではまだそんなことはないらしい。取り越し苦労をしたなと思いながらも、この日を迎えられたことを喜ぶことにした。(この件も私が細かい確認をしていなかったので、大将はサイト予約一般の話をしたのだと思われます)
 そんなわけで大将との距離が近くなると、とても腰が低い職人気質だということがわかった。酒肴や握りは、ひとつひとつ丁寧に説明してくれ、基本は魚津の魚を使う。酒肴がかなり凝っていて東京の寿司屋にいるみたいだ。もちろん、握りは呑み寿司を超えた水準で、これはインバウンドにも寿司フリークにもご満足いただける世界標準寿司だね。だけど、キャンセルポリシーはもう少しやさしいといいなあ。(こちらも同様、削除します)とはいえ、魚津は楽しい。

鯛はお見事。
魚津の小肌。
バイ貝の握りは富山ならでは。
鯵は素晴らしかった。
つめがいい塩梅の穴子。

 というわけで、勢いでもう一軒行くことにした。「お気軽寿司 小政」である。「小政」と聞くと私は石原プロを思い出すが(ほとんどの人はわからないと思うけど)、ここはお気軽寿司とあるようにほんとに気軽。だってランチでもないのに、おまかせ9貫で900円だからね。でも、大門のあとだったから、9貫もいけず、お好みで5貫とおつまみを頼んだが、それでも「ほんと?」という値段。これこそ、呑み寿司の優等生。ディープな富山を知れば知るほど、富山の寿司の魅力が見えてくる。「寿司と言えば富山県」、きっと行けるね。

このおしながきには感激。
お好みで5貫ほど。
バイ貝があるとつい頼んでしまう。
お気軽寿司、素晴らしい。

こうして魚津、寿司の旅の一日目は更けたのだが、実は最後にお気に入りのバーを発見して一杯。そして私はマンテンホテルの大浴場で旅の疲れを癒したのだった。

バスタブという名のジン。
路地裏の2階。

 結局この日は寿司3軒。まだまだ続く、富山寿司の旅。




 

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