イメージの百人一首89「玉の緒よ―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第89首】
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする
《たまのおよ たえなばたえね ながらえば しのぶることの よわりもぞする》

 あなたは今、耐え忍ぶ恋をしています。誰にも自分の思いを告げることはできず一人苦しむあなたは、もういっそのこと、この命が絶えるなら絶えてしまっても構わないとまで思い詰めます。恋の苦しさに死にたいというのではありません。そうではなく、生きながらえてしまうと、きっとこの恋の苦しみを誰かに話してしまわずにはいられなくなり、押し隠しておかなければいけない恋心が外に現われてしまうかもしれないと、それを恐れているからです。

 式子内親王《しょくしないしんのう》

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