第19首 時雨やむ間

※このノートでは、冬の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第19首】
 むら時雨 もるや板まの ときのまも 思ひさだめぬ 月の影かな
《むらしぐれ もるやいたまの ときのまも おもいさだめぬ つきのかげかな》
(新千載和歌集/徽安門院一条《きあんもんいんのいちじょう》)

【イメージ】
 ひとしきり降り、降ってはやむ時雨。
 降るたびに、板葺きの屋根の透き間から、雨が漏る。
 雨がやむと、すぐに、雲間からあらわれた月が光を落とす。
 何とも慌ただしいことだよ。

【ちょこっと古語解説】
むら時雨《しぐれ》……ひとしきり降って、通り過ぎて行く時雨。時雨は、晩秋から初冬にかけて降る雨のこと。
板ま……板葺《ぶ》き屋根の透き間や裂け目。
ときのま……ほんのちょっとの間。
月の影……月の光のこと。「影」は、「光」を表す場合があるので、注意。

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