第54首 雲を作る桜

※このノートでは、春の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第54首】
 おしなべて 花のさかりに なりにけり 山の端ごとに かかる白雲
《おしなべて はなのさかりに なりにけり やまのはごとに かかるしらくも》
(千載和歌集/西行《さいぎょう》)

【イメージ】
 家を出ると、目を見張った。
 どこを見ても一様に花ざかり。
 山を見ると、どの山にも白雲がかかっているように見える。
 その全てが桜の花。

【ちょこっと古語解説】
おしなべて……一様に、の意。
にけり……「に」は元の形は「ぬ」で、完了を表す助動詞。「けり」は気づきを表す助動詞。「気づき」とは、「~だったんだな」と今気がついたことを表す用法。現代語の「昨日、宿題出てたっ『け』」の「け」は、この「けり」が元になっている。
山の端《は》……山が空に接する部分。稜線。山と空の境目。

※コメント無用に願います。

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